安蔵靖志氏が“真の姿”に迫る
「nasne」は何故誕生した?何ができる?将来展望は? − 開発陣直撃インタビュー
他社製機器の対応を大きくうたえないのは、DLNAがきっちりとした規格ではなく「ガイドライン」として策定されており、各メーカーがDLNAをベースに独自の拡張機能を搭載しているためだ。
「クライアントで接続検証しないと動作保証ができないため、SCEとしてはソニー機器を動作保証することになる。他社でもDLNAとDTCP-IPに対応するスマートフォンが出ているが、残念ながら動作保証はできない」(渋谷氏)とのことだが、実際に試してみると接続できる機器も結構あるのではないだろうか。
nasneは、DTCP-IP ムーブには対応しているが、今後はSonyTabletやPS VITAへのダビングも予定しているという。
「PS VITA向けアプリ『torne for PS VITA』(仮称)を年内に提供し、Wi-Fi経由でコンテンツをムーブできるようにしたい。XperiaやSony Tabletも検討中だが、対応時期は追ってご案内したい」(渋谷氏)
PS VITAには、ソニーBDレコーダーの「おでかけ転送」のようなチェックイン機能が付く予定だという。VITA用に圧縮した番組コンテンツをVITAに転送(チェックイン)して視聴できるという仕組みだ。
これが実現すればPS VITAとnasne 1台、約4万円強でどこでも録画番組を楽しめる仕組みが手に入る。出張先や通勤時に番組をたくさん視聴したいという人には便利なソリューションになりそうだ。
■真のホームサーバー化が今後の課題?
nasne発売当初はデジタルチューナー・レコーダーとしての機能のみ提供され、その後のバージョンアップによってプライベートコンテンツ(デジカメやビデオカメラで撮影した写真や動画、CDからリッピングした楽曲など)もDLNA経由で楽しめるようになる。
SMB(Windowsファイルサーバー)機能も備えており、Windows PCやMacからNASとして利用することもできる。内蔵の500GBではちょっと物足りないが、外付けHDDを増設すれば、まさに自宅内のメディアを一括管理するホームサーバーにもなりそうだ。
そうなると、スマートフォンで撮影した写真や動画などを手軽にアップロードできる「WebDAV」機能(Webシステムを利用したファイルサーバー機能)や、インターネット経由でファイルにアクセスするパーソナルクラウド機能なども欲しくなってしまう。
そういった機能追加についても「検討していく」(渋谷氏)とのことだが、torneでは実際に数多くのバージョンアップを実施しており、期待が持てる。
nasneはなかなかユニークなコンセプトで、デジタルAVファンだけでなく、PCユーザーからも注目されている。比較的割安なレコーダー+ホームサーバー製品が、今後どのように進化していくのか。発売前から楽しみだ。
(安蔵 靖志)