S9800の後継機がついに登場
【更新】ハーマン、JBL「Project K2 S9900」を発売 − EVERESTの技術を多く採用
ハーマンインターナショナル(株)は、米JBLの新スピーカー「Project K2 S9900」を2月25日より発売する。価格は2,100,000円(1本・税込)。本日、東京都内で発表会が開催され、同社社長の安田耕太郎氏などが出席した。
「Project K2 S9900」は型番から分かるとおり、「K2 S9800」「K2 S9800 SE」の後継機種。EVEREST DD66000の技術も多く採り入れられており、デザイン面でもDD66000を想起させるディテールを備えている。なお、仕上げはリアルウッド サテン・マホガニー・フィニッシュの1種類のみ。同社マーケティング部次長の藤田氏は、「フロントのカーブをそのままホーンに応用するなど、かたちから見るとシングルEVEREST。技術でもEVERESTのものが多く使われれている」と説明。ただし、「EVERESTはあくまで孤高の存在。本機はK2のフラグシップモデルとして位置づけている」という。なお、システムエンジニアリングはGreg Timbers氏、インダストリアル・デザインはDaniel Ashcraft氏によって行われた。
エンクロージャーは、DD66000と同じ積層エンクロージャーおよびブレイシング手法を採用。平面部分はすべて25mm厚のMDFが用いられている。本機はフロントバッフルや背面部に曲面が多用されているが、曲面部分は溝が刻まれた2枚の異なる厚さのMDFから構成され、こちらも合計厚は25mmとなる。本体サイズは、S9800に比べて、高さは8〜9cmほど低くなっている。ホーンの中心位置も5cm低くなり、それに従ってウーファーの位置も下がっている。横幅は逆に、5cm広がった。奥行きについては、もともと設置性の良かったS9800をさらに3cm短縮。ただしバスレフポートを背面に装備しているので、壁よせ設置はできない。なお、本体は4個のステンレス製フットで接地する。
搭載しているユニットは380mm径のパルプコーン・ウーファー(1500AL-1)、100mm径のマグネシウム・コンプレッションドライバー(476Mg)+ホーン、そして25mm径ベリリウム・コンプレッションドライバー(045Be-1)+ホーンの3基。周波数特性は33Hz〜50kHz(-6dB)。上下のホーンには精密な鋳型で製造されたSonoGlass製のものが用いられている。
ウーファー「1500AL-1」は、S9800に搭載した「1500AL」の改良版。同社マーケティング部次長の藤田氏は、「S9800の後継機には、EVERESTで搭載した1501ALの8Ωバージョンを搭載するのかと考えていたが、JBLは1500ALを改良するという選択をした」と説明。ボイスコイル長を20.3mmから25.4mmに延長し、若干薄くしたことで、コイルの表面積を増やして放熱効果を高めた。また、コイルフォーマーの穿孔を無くしたことも冷却効果の向上に寄与し、これらの対策によって、1500AL-1では1500ALより25%大きなパワーを扱うことが可能になったという。
「1500AL-1」はアルニコマグネットを採用。巨大なショートリングを装着する事で、大電力駆動に起因する消磁というアルニコの欠点を抑えた。またエッジ素材には、高い耐久性・周波数特性と密度を両立させたEPDMフォームド・ラバーを採用した。コーンには独自のアクアプラス・ダンピング処理が施されたペーパーパルプが用いられている。なお、1500AL-1の磁気回路は16kgと重いため、肉厚なダイキャストフレームが保持に用いられている。
高域ドライバー+ホーン「476Mg」は、新たに開発されたもの。振動板は4インチで、藤田氏は「パラゴンやS9500など、4インチドライバーは特別なモデルのみに搭載されてきた」と説明する。このユニットもハーマン・コンシューマー・グループの主任開発技術者であるJerry Moro氏により設計された。最大の特徴は、振動板にベリリウムと比べてもさらに低い比重のマグネシウムを採用したこと。この軽さを利用し、ダイアフラムはJBLのスタンダードである76ミクロン厚アルミダイアフラムの1.7倍の厚さを持つ127ミクロン厚となっている。ダイアフラムを厚くしたことで強度が上がり、アルミやチタンに比べ、高周波数帯域での正確なピストン運動が可能になると言う。「実は、EVERESTの開発の際にも、振動板にマグネシウムを使うことを検討していたが、その時点ではJBLが求めるマグネシウムの純度やコーティング、厚さなどを満たすことができず、ベリリウムに絞って開発を行った」(藤田氏)という。その後もJerry Moro氏はマグネシウムの研究を続け、最近になって素材のオプションが豊富になってきたことから、今回マグネシウムの採用を決めた。
「476Mg」はまた、99mm径エッジワイズ巻アルミニウムリボン・ボイスコイルと100mm径のマグネシウム振動板を採用し、JBL独自のラピッドフレアタイプのコヒーレント・ウェイブ・フェーズプラグを試用している。また銅スリーブ付きポールピースを採用したことで電気伝導率を高め、10kHz以上の高域の出力を高めた。さらにネオジウムマグネット素材には8個の孤型セグメントからなる「アウターリング」構造が採用され、1ピース設計の同サイズのものに比べ、大きな直径とマグネットエリアを得ることを可能にしている。
また476Mgでは、トッププレートのダイヤモンド・エッジの下に特殊なアコースティック・ベントを設置。音響フィルターとシーリングも同じ理由から磁気ギャップ部に用いられており、これによりサラウンド・チェンバーの共振をコントロールししている。フェーズプラグは同ブランドではおなじみの、ラピッドフレアタイプのコヒーレント・ウェイブ4スロット設計。素材は高精度亜鉛ダイキャストを用いている。
超高域ユニット「045Be-1」には、25mm径ベリリウム振動板と50mm径ネオジウム磁気回路を搭載。K2 S9800に搭載した「045Be」を改良したもので、EVERESTも搭載しているもの。ダイヤフラムとフェーズプラグの位置調整などを行い、30kHz以上の帯域で5dBの出力改善を果たした。
本機のネットワークの手法もEVERESTに準じたもので、「K2 S9800SEのクオリティとほぼ同じ」(藤田氏)という。本機のクロスオーバー周波数は900Hz/15kHz。ネットワークは4個の独立したボードで構成され、クロストークを避けるため、エンクロージャーの異なる位置に配置している。またインダクターに空芯コイルを、キャパシターにポリプロピレンフォイル製コンデンサーを採用するなど、電気部品も高品位なものを採用している。また、低域/高域/超高域ネットワークには、実質的にクラスAモードで動作させるためにバッテリーバイアスを用いることで抵抗素子を不要とし、ユニットのレスポンスを引き出すことが可能になった。
「Project K2 S9900」は型番から分かるとおり、「K2 S9800」「K2 S9800 SE」の後継機種。EVEREST DD66000の技術も多く採り入れられており、デザイン面でもDD66000を想起させるディテールを備えている。なお、仕上げはリアルウッド サテン・マホガニー・フィニッシュの1種類のみ。同社マーケティング部次長の藤田氏は、「フロントのカーブをそのままホーンに応用するなど、かたちから見るとシングルEVEREST。技術でもEVERESTのものが多く使われれている」と説明。ただし、「EVERESTはあくまで孤高の存在。本機はK2のフラグシップモデルとして位置づけている」という。なお、システムエンジニアリングはGreg Timbers氏、インダストリアル・デザインはDaniel Ashcraft氏によって行われた。
エンクロージャーは、DD66000と同じ積層エンクロージャーおよびブレイシング手法を採用。平面部分はすべて25mm厚のMDFが用いられている。本機はフロントバッフルや背面部に曲面が多用されているが、曲面部分は溝が刻まれた2枚の異なる厚さのMDFから構成され、こちらも合計厚は25mmとなる。本体サイズは、S9800に比べて、高さは8〜9cmほど低くなっている。ホーンの中心位置も5cm低くなり、それに従ってウーファーの位置も下がっている。横幅は逆に、5cm広がった。奥行きについては、もともと設置性の良かったS9800をさらに3cm短縮。ただしバスレフポートを背面に装備しているので、壁よせ設置はできない。なお、本体は4個のステンレス製フットで接地する。
搭載しているユニットは380mm径のパルプコーン・ウーファー(1500AL-1)、100mm径のマグネシウム・コンプレッションドライバー(476Mg)+ホーン、そして25mm径ベリリウム・コンプレッションドライバー(045Be-1)+ホーンの3基。周波数特性は33Hz〜50kHz(-6dB)。上下のホーンには精密な鋳型で製造されたSonoGlass製のものが用いられている。
ウーファー「1500AL-1」は、S9800に搭載した「1500AL」の改良版。同社マーケティング部次長の藤田氏は、「S9800の後継機には、EVERESTで搭載した1501ALの8Ωバージョンを搭載するのかと考えていたが、JBLは1500ALを改良するという選択をした」と説明。ボイスコイル長を20.3mmから25.4mmに延長し、若干薄くしたことで、コイルの表面積を増やして放熱効果を高めた。また、コイルフォーマーの穿孔を無くしたことも冷却効果の向上に寄与し、これらの対策によって、1500AL-1では1500ALより25%大きなパワーを扱うことが可能になったという。
「1500AL-1」はアルニコマグネットを採用。巨大なショートリングを装着する事で、大電力駆動に起因する消磁というアルニコの欠点を抑えた。またエッジ素材には、高い耐久性・周波数特性と密度を両立させたEPDMフォームド・ラバーを採用した。コーンには独自のアクアプラス・ダンピング処理が施されたペーパーパルプが用いられている。なお、1500AL-1の磁気回路は16kgと重いため、肉厚なダイキャストフレームが保持に用いられている。
高域ドライバー+ホーン「476Mg」は、新たに開発されたもの。振動板は4インチで、藤田氏は「パラゴンやS9500など、4インチドライバーは特別なモデルのみに搭載されてきた」と説明する。このユニットもハーマン・コンシューマー・グループの主任開発技術者であるJerry Moro氏により設計された。最大の特徴は、振動板にベリリウムと比べてもさらに低い比重のマグネシウムを採用したこと。この軽さを利用し、ダイアフラムはJBLのスタンダードである76ミクロン厚アルミダイアフラムの1.7倍の厚さを持つ127ミクロン厚となっている。ダイアフラムを厚くしたことで強度が上がり、アルミやチタンに比べ、高周波数帯域での正確なピストン運動が可能になると言う。「実は、EVERESTの開発の際にも、振動板にマグネシウムを使うことを検討していたが、その時点ではJBLが求めるマグネシウムの純度やコーティング、厚さなどを満たすことができず、ベリリウムに絞って開発を行った」(藤田氏)という。その後もJerry Moro氏はマグネシウムの研究を続け、最近になって素材のオプションが豊富になってきたことから、今回マグネシウムの採用を決めた。
「476Mg」はまた、99mm径エッジワイズ巻アルミニウムリボン・ボイスコイルと100mm径のマグネシウム振動板を採用し、JBL独自のラピッドフレアタイプのコヒーレント・ウェイブ・フェーズプラグを試用している。また銅スリーブ付きポールピースを採用したことで電気伝導率を高め、10kHz以上の高域の出力を高めた。さらにネオジウムマグネット素材には8個の孤型セグメントからなる「アウターリング」構造が採用され、1ピース設計の同サイズのものに比べ、大きな直径とマグネットエリアを得ることを可能にしている。
また476Mgでは、トッププレートのダイヤモンド・エッジの下に特殊なアコースティック・ベントを設置。音響フィルターとシーリングも同じ理由から磁気ギャップ部に用いられており、これによりサラウンド・チェンバーの共振をコントロールししている。フェーズプラグは同ブランドではおなじみの、ラピッドフレアタイプのコヒーレント・ウェイブ4スロット設計。素材は高精度亜鉛ダイキャストを用いている。
超高域ユニット「045Be-1」には、25mm径ベリリウム振動板と50mm径ネオジウム磁気回路を搭載。K2 S9800に搭載した「045Be」を改良したもので、EVERESTも搭載しているもの。ダイヤフラムとフェーズプラグの位置調整などを行い、30kHz以上の帯域で5dBの出力改善を果たした。
本機のネットワークの手法もEVERESTに準じたもので、「K2 S9800SEのクオリティとほぼ同じ」(藤田氏)という。本機のクロスオーバー周波数は900Hz/15kHz。ネットワークは4個の独立したボードで構成され、クロストークを避けるため、エンクロージャーの異なる位置に配置している。またインダクターに空芯コイルを、キャパシターにポリプロピレンフォイル製コンデンサーを採用するなど、電気部品も高品位なものを採用している。また、低域/高域/超高域ネットワークには、実質的にクラスAモードで動作させるためにバッテリーバイアスを用いることで抵抗素子を不要とし、ユニットのレスポンスを引き出すことが可能になった。
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