11.2MHz DSDにも対応

デノン、新DDFA搭載ヘッドホンアンプ/USB-DAC「DA-310USB」。12月中旬発売、68,000円

公開日 2016/11/09 10:00 編集部:小澤貴信
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デノンは、USB-DACを搭載したフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプ「DA-310USB」を12月中旬より発売する。価格は68,000円(税抜)。

「DA-310USB」

縦置きも可能

本機は10月に開催された「秋のヘッドホン祭2016」に参考出展されたモデル(関連ニュース)で、今回の正式発表に伴って発売日と価格が明らかになったかたちだ。

クアルコム社のデジタルアンプ「DDFA」によるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを搭載。フルデジタル処理による鮮度の高いサウンドと、プリメインアンプにも採用されたデジタルアンプデバイスだからこそ可能な高い駆動力を獲得した。

Macbook Airと組み合わせたところ

USB-DAC機能も搭載しており、ライン出力も備えている。PCからのUSB入力は、11.2MHz DSDや384kHz/32bit PCMの再生に対応。PCノイズを遮断するデジタルアイソレーターも搭載する。

背面端子部

同軸・光デジタル入力も搭載。同社のプリメインアンプ「PMA-50」やネットワークレシーバー「DRA-100」と同様のコスメティックデザインを採用し、縦置き、横置きの両方に対応する。以下に詳細を説明していく。

新DDFAによるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを搭載

本機は2013年に登場したデノン初の単体USB-DAC/ヘッドホンアンプ「DA-300USB」(関連ニュース)の後継モデルだが、その内容はほぼ完全に刷新された。

DA-310USB(左)と従来モデルのDA-300USB(右)。秋のヘッドホン祭2016にて

最大の特徴は、クアルコム社の「DDFA」によるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを新たに搭載したことだ。

フルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプは、同社のネットワークプレーヤー「DNP-2500NE」(関連ニュース)で初搭載。ソースの入力から出力までをデジタル信号のまま処理することで、D/A変換を繰り返すことによる音質の劣化を排除している。また、フルデジタル処理によって音楽信号が持つ本来の情報を高鮮度で再現できること、デジタルアンプによる高い駆動力も特色としている。

フルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプの回路イメージ

デジタルアンプに採用されたDDFAは、デノンのプリメインアンプ「PMA-50」やネットワークレシーバー「DRA-100」で採用。そして上述のDNP-2500NEのフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプにて、初めてヘッドホンアンプに用いられた。

今回のDA-310USBについては、これまでのDDFAより世代が新しくなった新DDFAを採用。従来は複数チップで構成されていたが、新DDFAは1チップへの集積を実現したため、本機のようなコンパクトな筐体への搭載が可能になったという。なお、この新DDFAは正式発表前のもので、DA-310USBへの搭載が世界初であることが、秋のヘッドホン祭における発表会で明かされている(関連ニュース)。

DDFAによりフルデジタルプロセッシングが可能になったことに加え、さらにはDDFAの特徴である独自のフィードバックシステムが音質に悪影響のあるDCオフセットをキャンセルすることも音質に貢献。DCオフセット除去には必要だが、低域のゲイン低下や位相回転の原因になってしまうカップリングコンデンサーも不要となった。また、コンデンサー固有の色づけを避けることも可能となり、可聴域の下限までフラットに伸びた周波数特性を実現したという。

カップリングコンデンサーを排除することで、音の色付きを最小化した

また、スピーカー駆動用のアンプに用いられるDDFAは、ヘッドホンアンプとしても高い駆動力を発揮。高アンプゲイン設計も行われ、300Ωや600Ωといったハイインピーダンスのヘッドホンも余裕で鳴らす駆動力を備えるとのこと。なお、ヘッドホン出力はステレオ標準端子となる。

ヘッドホンアンプの出力は380mW+380mW(32Ω)、130mW+130mW(300Ω)、74mW+74mW(600Ω、いずれも1kHz、T.H.D 0.7%)。対応インピーダンスは8〜600Ω。ヘッドホンアンプ部の全高調波歪率は0.003%(32Ω、1kHz)、S/Nは112dB(32Ω、1kHz、IHF-A)、周波数特性は5Hz〜80kHz(32Ω、-3dB)となる。

ボリュームもデジタル領域で調整。35bitのデジタルドメイン処理による0.5dBステップのボリュームにより、全てのボリューム領域での細かな音量調整を実現すると共に、小音量時などに左右の音量差を生じるギャングエラーも排除している。ゲインは3段階(Low/Mid/High)で切り替えが可能だ。

DA-310USBの筐体内部

筐体内部の前半分をアップしたところ。写真下がフロント側となる。右中央あたりに配置されているチップがDDFAだ

PCからのUSB入力は、最大で11.2MHz DSDおよび384kHz/32bit PCMの再生が可能。DSDはASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP再生の両方に対応。アシンクロナスモードにも対応する。同軸デジタル入力を1系統、光デジタル入力を1系統備え、こちらはそれぞれ最大192kHz/24bitのPCM入力が可能となる。

USB-DAC機能も搭載。ヘッドホン出力についてはDDFAによるフルデジタルプロセッシングが行われるが、ライン出力については、DACチップによるD/A変換を経て出力が行われる。DACチップには、バー・ブラウン「PCM1795」を採用している。また、上位のSACDプレーヤーなどでも採用されているDACマスター・クロック・デザインも採用。44.1kHz/48kHzで2系統のクロック発振器も搭載する。

DA-310USBのD/A基板

デジタル入力からのノイズ流入対策も実施。USB-B入力および同軸デジタル入力から流入する高周波ノイズへの対策として、高速デジタルアイソレーターを搭載。ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気によりデータ転送を行い、音楽データのみを伝送することで、ノイズ流入を防いでいる。

デノン独自のアナログ波形再現技術の最新バージョン「Advanced Al32 Processing Plus」も搭載。最大384kHz/32bitの入力信号までに対応したデータ補完アルゴリズムを用いて、DACおよびDDFAが許容する最大サンプリング周波数/ビット深度まで拡張を行う。

コンパクトモデルながら、デノンのフルサイズコンポーネントにも採用されたオーディオ用電解コンデンサーや抵抗器、フィルムコンデンサーなどを採用。それぞれサウンドマネージャーを中心に試聴を重ねて、慎重に選定が行われたという。また電解コンデンサーについては、共同開発によるカスタム部品が用いられた。

電源は、DA-300USB同様にデジタル系、アナログオーディオ系それぞれに安定化のためのレギュレーターを搭載して分離。アナログオーディオ用電源には、音質面で有利な低出力インピーダンスのリニア・レギュレーターを搭載する。また、ACアダプターから供給した電源を再安定化する過程で、外部からのノイズを除去。各回路へクリーンな電源を供給する。

縦置き時には、ディスプレイの向きも自動で変更される

ボディには新たに3mm厚のアルミカバーを採用(DA-300USBのボディカバーは樹脂製だった)。縦置き・横置きに併せて自動回転する有機ELディスプレイも搭載する。縦置き時の専用スタンドは廃止され、縦置き時はインシュレーターをその際に底面になる側に付け替えられるようになった。これによりDA-300USBより筐体サイズは大きくなったが、設置面積は削減された。

オーディオ特性は、周波数特性が2Hz〜96kHz(PCM)、S/Nが112dB、ダイナミックレンジが105dB高調波歪率が0.0018%(1 kHz)、出力レベルが2.0 V(10 kΩ)となる。外形寸法は180W×71H×197Dmm(縦置き時)、質量は1.5kg。

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  • ジャンルその他
  • ブランドDENON
  • 型番DA-310USB
  • 発売日2016年12月中旬
  • 価格¥68,000(税抜)
【SPEC】<ヘッドホンアンプ部>●出力:380mW+380mW(32Ω)、130mW+130mW(300Ω)、74mW+74mW(600Ω、いずれも1kHz、T.H.D 0.7%) ●対応インピーダンス:8〜600Ω ●全高調波歪率:0.003%(32Ω、1kHz) ●S/N:112dB(32Ω、1kHz、IHF-A) ●周波数特性:5Hz〜80kHz(32Ω、-3dB) ●入力端子:同軸デジタル×1、光デジタル×1 <オーディオ特性>●周波数特性:2Hz〜96kHz(PCM) ●S/N比:112dB ●ダイナミックレンジ:105dB ●高調波歪率:0.0018%(1kHz) ●出力レベル:2.0V(10kΩ) ●外形寸法:180W×71H×197Dmm(縦置き時) ●質量:1.5kg