FHP、世界初の42V型フルHD PDPを開発−2007年春に出荷開始
富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)は、世界初の42V型 フルHDプラズマディスプレイパネルを開発した。2007年春に量産開始する予定で、日立製作所から本パネルを搭載した製品が発売される見込み。
フルHDとは1920×1080の解像度を指し、ハイビジョンの映像を間引くことなく再現できる。FHPでは、今年9月に55V型フルHDパネルの開発を発表、来年夏の商品化を予定している。また他社では、松下電器産業が65V型のフルHDプラズマテレビをすでに発売しているほか、今年のCEATECでは50V型フルHDパネル試作機を展示。パイオニアも、同じく50V型のフルHDパネルを発表している。
フルHD解像度を実現するためにはPDPのセルを微細化する必要があるが、セルを小さくすると十分な輝度やコントラストの確保が難しくなる。画面サイズが小さくなればなるほどセルのサイズも小さくなるので、42V型程度のパネルサイズではフルHD化が難しいと言われていた。
FHPの予想によれば、2005年に44%程度だったハイビジョンパネルの割合は、2008年には68%まで高まり、その中でもフルHDパネルの人気が高まると判断。プラズマテレビのボリュームゾーンである42V型のフルHDパネル開発に着手した。
今回の開発品では、同社が従来から採用しているALIS方式パネルを改良し、フルHD化を実現した。ALIS方式では奇数ラインと偶数ラインを交互に光らせることで垂直方向の解像度を高め、従来のパネルでも1024×1024の解像度を達成していた。FHP開発設計本部 開発統括部長の石垣正治氏は、「もともと垂直画素が1024あるので1080化は容易」と説明する。また石垣氏は、「ALISがシングルスキャンであることもフルHD化に有利。もともと水平方向のアドレス電極はパネルの下部のみに配置し、上には空きがあった。フルHDのALISパネルでは、上下から960×3本の電極を配置することで、電極端子のピッチが広くでき、高信頼性や高生産性につながる」としている。なお、シングルスキャンでは、光らせる画素を決めるアドレス動作を短くすることができ、そのぶん発光時間が長くなり、輝度向上にもつながる。
ちなみにALIS方式以外のパネルでフルHD化を実現しようとすると、通常、上下から1920×3本の電極を配置しなければならず、電極端子ピッチが狭くなってしまうという。
さらに今回は、同社従来比約2/3の薄さのスリムリブ構造を新たに開発した。セルピッチは従来の0.3mmから0.16mmとなり、これは同サイズのPDPとして最高レベルの数値となる。開口度も61%と高い数値をキープし、さらに高速駆動処理などを採用したことなどにより、フルHDながら輝度1000cd/m2、コントラスト3000対1の表示性能を実現した。
また、新開発の映像処理技術も搭載される見込み。「階調性と動画品質を改善し、動画に多い暗い場面など滑らかな階調表現が要求されるシーンや激しい動きのスポーツなどを美しく表現することができる」という。
本日の発表会では、FHP社長の井本義之氏が事業方針などについて説明。井本氏は「ハイビジョンパネルでトップポジションを目指すのが目標」とし、そのためには「業界最高レベルの性能とコストパフォーマンスの実現、宮崎工場の三番館を垂直立ち上げすることによる生産能力の増強」が必要と述べた。また、同社の市場での位置づけを、「2005年のPDPの市場規模が600万台。このうち300万台弱がハイビジョンパネル。ハイビジョンに特化しているFHPは今年90万台の出荷を予定しており、ハイビジョンではすでにシェア30%を取っている」と説明した。
井本氏は、宮崎工場の三番館についても「知りたがっている方が多いだろうから」と進捗状況を説明。当初2007年1月に立ち上げ予定だったものを、2006年10月に3ヶ月前倒しすることを明らかにした。先月の時点で建屋躯体はほぼ完成しているという。42型換算の生産枚数は、三番館立ち上げの2006年10月には現在の倍となる20万台/月となり、2008年までには三番館の生産能力を増強させることで30万台/月に引き上げる。
(Phile-web編集部)
フルHDとは1920×1080の解像度を指し、ハイビジョンの映像を間引くことなく再現できる。FHPでは、今年9月に55V型フルHDパネルの開発を発表、来年夏の商品化を予定している。また他社では、松下電器産業が65V型のフルHDプラズマテレビをすでに発売しているほか、今年のCEATECでは50V型フルHDパネル試作機を展示。パイオニアも、同じく50V型のフルHDパネルを発表している。
フルHD解像度を実現するためにはPDPのセルを微細化する必要があるが、セルを小さくすると十分な輝度やコントラストの確保が難しくなる。画面サイズが小さくなればなるほどセルのサイズも小さくなるので、42V型程度のパネルサイズではフルHD化が難しいと言われていた。
FHPの予想によれば、2005年に44%程度だったハイビジョンパネルの割合は、2008年には68%まで高まり、その中でもフルHDパネルの人気が高まると判断。プラズマテレビのボリュームゾーンである42V型のフルHDパネル開発に着手した。
今回の開発品では、同社が従来から採用しているALIS方式パネルを改良し、フルHD化を実現した。ALIS方式では奇数ラインと偶数ラインを交互に光らせることで垂直方向の解像度を高め、従来のパネルでも1024×1024の解像度を達成していた。FHP開発設計本部 開発統括部長の石垣正治氏は、「もともと垂直画素が1024あるので1080化は容易」と説明する。また石垣氏は、「ALISがシングルスキャンであることもフルHD化に有利。もともと水平方向のアドレス電極はパネルの下部のみに配置し、上には空きがあった。フルHDのALISパネルでは、上下から960×3本の電極を配置することで、電極端子のピッチが広くでき、高信頼性や高生産性につながる」としている。なお、シングルスキャンでは、光らせる画素を決めるアドレス動作を短くすることができ、そのぶん発光時間が長くなり、輝度向上にもつながる。
ちなみにALIS方式以外のパネルでフルHD化を実現しようとすると、通常、上下から1920×3本の電極を配置しなければならず、電極端子ピッチが狭くなってしまうという。
さらに今回は、同社従来比約2/3の薄さのスリムリブ構造を新たに開発した。セルピッチは従来の0.3mmから0.16mmとなり、これは同サイズのPDPとして最高レベルの数値となる。開口度も61%と高い数値をキープし、さらに高速駆動処理などを採用したことなどにより、フルHDながら輝度1000cd/m2、コントラスト3000対1の表示性能を実現した。
また、新開発の映像処理技術も搭載される見込み。「階調性と動画品質を改善し、動画に多い暗い場面など滑らかな階調表現が要求されるシーンや激しい動きのスポーツなどを美しく表現することができる」という。
本日の発表会では、FHP社長の井本義之氏が事業方針などについて説明。井本氏は「ハイビジョンパネルでトップポジションを目指すのが目標」とし、そのためには「業界最高レベルの性能とコストパフォーマンスの実現、宮崎工場の三番館を垂直立ち上げすることによる生産能力の増強」が必要と述べた。また、同社の市場での位置づけを、「2005年のPDPの市場規模が600万台。このうち300万台弱がハイビジョンパネル。ハイビジョンに特化しているFHPは今年90万台の出荷を予定しており、ハイビジョンではすでにシェア30%を取っている」と説明した。
井本氏は、宮崎工場の三番館についても「知りたがっている方が多いだろうから」と進捗状況を説明。当初2007年1月に立ち上げ予定だったものを、2006年10月に3ヶ月前倒しすることを明らかにした。先月の時点で建屋躯体はほぼ完成しているという。42型換算の生産枚数は、三番館立ち上げの2006年10月には現在の倍となる20万台/月となり、2008年までには三番館の生産能力を増強させることで30万台/月に引き上げる。
(Phile-web編集部)