2009年秋登場の東芝「Cell TV」は“熟成超解像"技術を搭載
本日、(株)東芝は液晶テレビ“REGZA"やレコーダー“VARDIA"シリーズの新製品を発表した。発表会場では、来年以降の発売やサービスインを予定する様々な参考展示が行われていた。
■“熟成超解像"が可能なCell TV
同社は、かねてから2009年にCell Broadband Engine(Cell B.E.)を搭載した薄型テレビ、通称「Cell TV」を発売すると表明していたが、本日参考展示された実機デモでは、より具体的な機能が明らかにされた。また、発売時期についても2009年秋を予定しているとアナウンスされた。
Cell B.E.は、パワー・プロセッサ・エレメント(PPE)1基、シナジスティック・プロセッサ・エレメント(SPE)8基、さらに32ビット2チャンネルのXDR DRAMを搭載した処理回路。強大な処理スピードを持つことで知られる。
Cell TVにも、本日発表された液晶テレビ“REGZA"上位機種に搭載された超解像技術「レゾリューションプラス」(関連ニュース)が搭載される予定。アルゴリズムはREGZAと同じとのことで、超解像処理もREGZAと同様に1回だけ行うとのことだが、関係者によると「アルゴリズムの最適化によっては、リアルタイムで3回程度の処理も可能ではないか」とのことで、Cell B.E.の処理速度の速さを利用し、さらなる画質改善をねらっている。
また興味深いのは、非リアルタイムで行う超解像処理。同社の開発陣は、「熟成超解像」と呼んでいるのだという。選択したコンテンツに対して、長時間をかけて何度も超解像処理を行うことで、飛躍的に解像度を高める技術で、リアルタイムで行う超解像度処理に比べ、解像感をさらに向上させることができる。現在のところ、コンテンツの実時間の数倍程度が処理に必要とのことで、「予約録画の際にあらかじめ“熟成超解像"処理を行うことを選択しておけば、翌朝には非常に高精細なコンテンツが視聴できる。一晩寝かせれば画質が上がる」(同社説明員)というような使い方を想定しているという。ただし、アルゴリズムの最適化によっては、今後さらに処理が高速化する可能性があるほか、超解像処理を何回行うか選択することで、処理時間をユーザーが決められるというような使い方も検討しているという。
Cell TVのデモではこのほか、48個の映像を1画面で同時に再生するデモも実施。一つ一つの映像は、SD解像度で4Mbps程度のMPEG2とのこと。また、地上デジタル放送を8ch同時に表示したり、超高速でチャンネル切換を行うなどの、高速処理が可能なCell TVならではの機能もアピールしていた。なお、「Cell B.E.のメリットをアピールできるならば、3チャンネル以上の複数チューナー搭載も検討したい」(同社説明員)とのことなので、実現に期待したい。
また、映像や音声を分析して番組の特徴的な場面を検知し、好みのシーンを選択できるシーン分析機能についてもデモが行われた。
さらに、Cell B.E.の処理速度を利用した新たなGUIも公開。サムネイルが表示された無数のフォルダーを斜め上から俯瞰した3D GUIで、そのうちの一つのフォルダーを選択するとズームアップされる。まだ試作段階ながら非常になめらかに動作しており、Cell B.E.が画質や機能の向上だけでなく、使い勝手にも進化をもたらす可能性を実感することができた。
■HDD交換型レコーダー
カートリッジ型のHDDを交換できるレコーダーも参考展示された。横置きと縦置きの2タイプが展示され、縦置きはHDDスロットを2基装備しているほか、側面に液晶ディスプレイやSDカードスロットも備え、デジタルフォトフレームのような使い方も想定しているのだという。ただし両機ともモックアップ展示で、発売時期や価格等はまったく決まっていないとのこと。また、同社はiVDRコンソーシアムに加盟しておらず、カートリッジ型HDDにiVDRを採用することは考えていないという。
■Widget Channel
インテルとヤフーが連携して開発したテレビ向けのウィジェットプラットフォーム「Widget Channel」が動作する評価用ボードも公開された。
ウィジェットエンジンは「Yahoo! Widget Engine」をベースにしており、PC向けウィジェットのテレビ版を簡単に作成できる。デモではネット動画やニュース、天気情報、株価情報、写真共有サイトなどのウィジェットがすでに動いており、リモコンの左右キーで各ウィジェットを移動し、決定キーで即座に起動できる。ユーザーが自分の好みのウィジェットを追加することが可能。同社では、将来的にテレビなどのCE機器に同機能を採用する意向。
■店頭ダウンロード型コンテンツ配信サービス(MOD)
米MOD社が来春サービスインする予定の店頭ダウンロード型コンテンツ配信サービスに対応した機器も参考展示。販売店に設置された端末で映画などをSDカードにダウンロードし、自宅のPCや専用再生端末などで再生するというサービス。著作権保護技術には「SD-SD」を利用し、HDDにコンテンツをコピーした場合、コンテンツを購入したSDカードを鍵として利用し、再生を許可する仕組み。なお、PCはCPRM対応のSDホストコントローラーが搭載されたものならコンテンツの再生が行えるという。
映像コーデックはH.264で、サービス開始当初はSD画質のコンテンツを販売する予定。ビットレートは2Mbps程度で、標準的な映画作品の場合、3分程度でSDカードにダウンロードが可能。将来的にはHD画質のコンテンツも提供する予定という。コンテンツの販売価格は決まっていない。
■業務用MPEG4 AVCエンコーダー
同社が独自開発した、業務用のMPEG4 AVCエンコーダーソフトも展示。2パス処理を行うほか、映画やビデオ、アニメ、CGなど素材ごとに最適化した圧縮パラメーターをプリセット済みで、さらに画質改善を図る機能を豊富に用意し、部分再エンコードなどを行うことで画質を追い込むことも可能。サーバー1台から100台超の大規模システムまで、柔軟なシステム構成を可能にしたことも特徴。なお、8コアのサーバー1台を使用した場合、実時間の5倍速程度でエンコードが行えるという。デモでは、20Mbpsと6MbpsのAVC映像を同時に表示し、低ビットレートでも高画質なエンコードが行えることをアピールしていた。
(Phile-web編集部)
■“熟成超解像"が可能なCell TV
同社は、かねてから2009年にCell Broadband Engine(Cell B.E.)を搭載した薄型テレビ、通称「Cell TV」を発売すると表明していたが、本日参考展示された実機デモでは、より具体的な機能が明らかにされた。また、発売時期についても2009年秋を予定しているとアナウンスされた。
Cell B.E.は、パワー・プロセッサ・エレメント(PPE)1基、シナジスティック・プロセッサ・エレメント(SPE)8基、さらに32ビット2チャンネルのXDR DRAMを搭載した処理回路。強大な処理スピードを持つことで知られる。
Cell TVにも、本日発表された液晶テレビ“REGZA"上位機種に搭載された超解像技術「レゾリューションプラス」(関連ニュース)が搭載される予定。アルゴリズムはREGZAと同じとのことで、超解像処理もREGZAと同様に1回だけ行うとのことだが、関係者によると「アルゴリズムの最適化によっては、リアルタイムで3回程度の処理も可能ではないか」とのことで、Cell B.E.の処理速度の速さを利用し、さらなる画質改善をねらっている。
また興味深いのは、非リアルタイムで行う超解像処理。同社の開発陣は、「熟成超解像」と呼んでいるのだという。選択したコンテンツに対して、長時間をかけて何度も超解像処理を行うことで、飛躍的に解像度を高める技術で、リアルタイムで行う超解像度処理に比べ、解像感をさらに向上させることができる。現在のところ、コンテンツの実時間の数倍程度が処理に必要とのことで、「予約録画の際にあらかじめ“熟成超解像"処理を行うことを選択しておけば、翌朝には非常に高精細なコンテンツが視聴できる。一晩寝かせれば画質が上がる」(同社説明員)というような使い方を想定しているという。ただし、アルゴリズムの最適化によっては、今後さらに処理が高速化する可能性があるほか、超解像処理を何回行うか選択することで、処理時間をユーザーが決められるというような使い方も検討しているという。
Cell TVのデモではこのほか、48個の映像を1画面で同時に再生するデモも実施。一つ一つの映像は、SD解像度で4Mbps程度のMPEG2とのこと。また、地上デジタル放送を8ch同時に表示したり、超高速でチャンネル切換を行うなどの、高速処理が可能なCell TVならではの機能もアピールしていた。なお、「Cell B.E.のメリットをアピールできるならば、3チャンネル以上の複数チューナー搭載も検討したい」(同社説明員)とのことなので、実現に期待したい。
また、映像や音声を分析して番組の特徴的な場面を検知し、好みのシーンを選択できるシーン分析機能についてもデモが行われた。
さらに、Cell B.E.の処理速度を利用した新たなGUIも公開。サムネイルが表示された無数のフォルダーを斜め上から俯瞰した3D GUIで、そのうちの一つのフォルダーを選択するとズームアップされる。まだ試作段階ながら非常になめらかに動作しており、Cell B.E.が画質や機能の向上だけでなく、使い勝手にも進化をもたらす可能性を実感することができた。
■HDD交換型レコーダー
カートリッジ型のHDDを交換できるレコーダーも参考展示された。横置きと縦置きの2タイプが展示され、縦置きはHDDスロットを2基装備しているほか、側面に液晶ディスプレイやSDカードスロットも備え、デジタルフォトフレームのような使い方も想定しているのだという。ただし両機ともモックアップ展示で、発売時期や価格等はまったく決まっていないとのこと。また、同社はiVDRコンソーシアムに加盟しておらず、カートリッジ型HDDにiVDRを採用することは考えていないという。
■Widget Channel
インテルとヤフーが連携して開発したテレビ向けのウィジェットプラットフォーム「Widget Channel」が動作する評価用ボードも公開された。
ウィジェットエンジンは「Yahoo! Widget Engine」をベースにしており、PC向けウィジェットのテレビ版を簡単に作成できる。デモではネット動画やニュース、天気情報、株価情報、写真共有サイトなどのウィジェットがすでに動いており、リモコンの左右キーで各ウィジェットを移動し、決定キーで即座に起動できる。ユーザーが自分の好みのウィジェットを追加することが可能。同社では、将来的にテレビなどのCE機器に同機能を採用する意向。
■店頭ダウンロード型コンテンツ配信サービス(MOD)
米MOD社が来春サービスインする予定の店頭ダウンロード型コンテンツ配信サービスに対応した機器も参考展示。販売店に設置された端末で映画などをSDカードにダウンロードし、自宅のPCや専用再生端末などで再生するというサービス。著作権保護技術には「SD-SD」を利用し、HDDにコンテンツをコピーした場合、コンテンツを購入したSDカードを鍵として利用し、再生を許可する仕組み。なお、PCはCPRM対応のSDホストコントローラーが搭載されたものならコンテンツの再生が行えるという。
映像コーデックはH.264で、サービス開始当初はSD画質のコンテンツを販売する予定。ビットレートは2Mbps程度で、標準的な映画作品の場合、3分程度でSDカードにダウンロードが可能。将来的にはHD画質のコンテンツも提供する予定という。コンテンツの販売価格は決まっていない。
■業務用MPEG4 AVCエンコーダー
同社が独自開発した、業務用のMPEG4 AVCエンコーダーソフトも展示。2パス処理を行うほか、映画やビデオ、アニメ、CGなど素材ごとに最適化した圧縮パラメーターをプリセット済みで、さらに画質改善を図る機能を豊富に用意し、部分再エンコードなどを行うことで画質を追い込むことも可能。サーバー1台から100台超の大規模システムまで、柔軟なシステム構成を可能にしたことも特徴。なお、8コアのサーバー1台を使用した場合、実時間の5倍速程度でエンコードが行えるという。デモでは、20Mbpsと6MbpsのAVC映像を同時に表示し、低ビットレートでも高画質なエンコードが行えることをアピールしていた。
(Phile-web編集部)