経営戦略説明会を開催
シャープ、「地産地消」で海外生産にシフト − 堺工場の今年10月稼働も決定
シャープ(株)は本日、経営戦略説明会を開催。同社取締役社長の片山幹雄氏が出席し、液晶テレビ事業など同社事業の今後の戦略について説明した。
09年2月6日に公表した業績予想(関連ニュース)を修正。09年3月期通期連結業績予測数について、売上高を2兆9,000億円から2兆8,500億円に修正し、営業利益は300億円の赤字から600億円の赤字に修正した。
下方修正の要因は、液晶テレビ、液晶パネルの流通在庫適正化、液晶部門を中心とした事業構造改革費用などの追加計上、株式相場の下落による投資有価証券評価損の増加の3点を挙げる。
流通在庫適正化について片山氏は「2009年度の4〜6月期の業績はより厳しさを増すと予想され、追加対策として液晶テレビに200億円、液晶パネルに約100億円を投入した。この対策により米国市場における液晶テレビの在庫状況は、昨年9月時には3.3ヶ月だったが09年2月には0.7ヶ月となった。大幅な短縮が実現したことで新製品の投入もスムーズに行える」と追加対策の効果を説明した。
2点目の事業構造改革費用は、液晶事業を中心に構造改革費用を約90億円追加計上したほか、電子デバイス事業等においても保有設備のより厳格な算定を実施し、古い設備の固定資産除売却損などがかさむ。投資有価評価損の増加については「第3四半期で433億円を計上していたが、日経平均がさらに下落し、通期で497億円になった」という。
「これらの収益回復へ向けた取り組みと堺工場の稼働により、2009年度の早期黒字化に向けて取り組んでいく」と意気込みを述べた。
単独業績予測についてもあわせて修正する予定。また部門別、主要製品別の詳細については4月27日に改めて公表される。
続いて今後の取り組み方針に話を移した片山氏は、現在の同社の状況について、世界同時不況による需要の減退、円高、デジタル製品の価格下落、経済のブロック化の動き、欧州ソーラー事業環境の悪化などを受け、厳しい現状であることを説明。また社内の課題として、液晶中心の先行投資型ビジネスが鈍化していること、液晶テレビ、携帯電話などの垂直統合型商品の価格下落と成長鈍化、キャッシュフローの悪化などを挙げ、緊急業績対策と新しいビジネスモデルの構築が急務であると述べた。
「2009年度下期の経営環境が続いても収益が確保できる体制を構築する」ための緊急業績改善対策の1つ目として、液晶工場の再編を挙げた。「中小型液晶を生産している三重・天理工場の一部ラインを閉鎖する。テレビ用の大型パネルについては亀山第2工場で集中生産し、さらに建設中の堺の第10世代の液晶パネル工場(関連ニュース)を今年10月に稼働させる。液晶パネル生産の効率化を図り、2009年度以降の事業拡大、収益改善を行っていく」。
2つ目の対策として掲げたのは、人員体制の見直し等による総経費削減。国内で太陽電池を中心とした重点事業や営業部門へ人員の約1,700人をシフトするほか、非正規社員を約1,500人削減する。海外では昨年携帯電話ビジネスの参入を果たした中国を中心とした新興国向けに人員を導入し、販売体制の強化を図る。これらにより人件費だけで約450億円削減する。「人件費を含む固定費を1,000億円、変動費を1,000億円削減し、総経費削減は2008年度経営体制との対比で2,000億円の削減を目指す」計画だという。
■生産技術やノウハウを提供し、ロイヤリティーで利益回収する地産地消型事業を展開
また新たなビジネスモデルによりエンジニアリング事業を展開。中長期的な視点から抜本的な収益構造の変革を行っていくことを発表した。
「従来のような国内で製品を生産し輸出するというスキームでは、最先端技術を保有している企業でも生き抜くのが困難。今後は当社が国内で培った生産技術やノウハウを活かし、ビジネスモデルを展開する。具体的には海外の現地有力会社とアライアンスを組み、当社の技術とノウハウを提供。ジョイントベンチャーで現地生産を行うことで“地産地消"を目指す。利益はイニシャルペイメントやロイヤリティー、配当などで回収していく。これにより為替リスクの低減などを図れるほか、投資効率も向上する」と基本スキームを説明。
堺工場を最先端ラインのマザー工場として位置づけ、最先端技術は国内に保持する。「これらのスキームは当社が最先端技術を有する分野でしか通用せず、また今後も技術力を高めていく必要がある。太陽電池事業ではイタリア・エネル社との協業が第1弾。液晶パネルについても同様の考え方で海外展開することを検討している」と明かした。
下方修正の要因は、液晶テレビ、液晶パネルの流通在庫適正化、液晶部門を中心とした事業構造改革費用などの追加計上、株式相場の下落による投資有価証券評価損の増加の3点を挙げる。
流通在庫適正化について片山氏は「2009年度の4〜6月期の業績はより厳しさを増すと予想され、追加対策として液晶テレビに200億円、液晶パネルに約100億円を投入した。この対策により米国市場における液晶テレビの在庫状況は、昨年9月時には3.3ヶ月だったが09年2月には0.7ヶ月となった。大幅な短縮が実現したことで新製品の投入もスムーズに行える」と追加対策の効果を説明した。
2点目の事業構造改革費用は、液晶事業を中心に構造改革費用を約90億円追加計上したほか、電子デバイス事業等においても保有設備のより厳格な算定を実施し、古い設備の固定資産除売却損などがかさむ。投資有価評価損の増加については「第3四半期で433億円を計上していたが、日経平均がさらに下落し、通期で497億円になった」という。
「これらの収益回復へ向けた取り組みと堺工場の稼働により、2009年度の早期黒字化に向けて取り組んでいく」と意気込みを述べた。
単独業績予測についてもあわせて修正する予定。また部門別、主要製品別の詳細については4月27日に改めて公表される。
続いて今後の取り組み方針に話を移した片山氏は、現在の同社の状況について、世界同時不況による需要の減退、円高、デジタル製品の価格下落、経済のブロック化の動き、欧州ソーラー事業環境の悪化などを受け、厳しい現状であることを説明。また社内の課題として、液晶中心の先行投資型ビジネスが鈍化していること、液晶テレビ、携帯電話などの垂直統合型商品の価格下落と成長鈍化、キャッシュフローの悪化などを挙げ、緊急業績対策と新しいビジネスモデルの構築が急務であると述べた。
「2009年度下期の経営環境が続いても収益が確保できる体制を構築する」ための緊急業績改善対策の1つ目として、液晶工場の再編を挙げた。「中小型液晶を生産している三重・天理工場の一部ラインを閉鎖する。テレビ用の大型パネルについては亀山第2工場で集中生産し、さらに建設中の堺の第10世代の液晶パネル工場(関連ニュース)を今年10月に稼働させる。液晶パネル生産の効率化を図り、2009年度以降の事業拡大、収益改善を行っていく」。
2つ目の対策として掲げたのは、人員体制の見直し等による総経費削減。国内で太陽電池を中心とした重点事業や営業部門へ人員の約1,700人をシフトするほか、非正規社員を約1,500人削減する。海外では昨年携帯電話ビジネスの参入を果たした中国を中心とした新興国向けに人員を導入し、販売体制の強化を図る。これらにより人件費だけで約450億円削減する。「人件費を含む固定費を1,000億円、変動費を1,000億円削減し、総経費削減は2008年度経営体制との対比で2,000億円の削減を目指す」計画だという。
■生産技術やノウハウを提供し、ロイヤリティーで利益回収する地産地消型事業を展開
また新たなビジネスモデルによりエンジニアリング事業を展開。中長期的な視点から抜本的な収益構造の変革を行っていくことを発表した。
「従来のような国内で製品を生産し輸出するというスキームでは、最先端技術を保有している企業でも生き抜くのが困難。今後は当社が国内で培った生産技術やノウハウを活かし、ビジネスモデルを展開する。具体的には海外の現地有力会社とアライアンスを組み、当社の技術とノウハウを提供。ジョイントベンチャーで現地生産を行うことで“地産地消"を目指す。利益はイニシャルペイメントやロイヤリティー、配当などで回収していく。これにより為替リスクの低減などを図れるほか、投資効率も向上する」と基本スキームを説明。
堺工場を最先端ラインのマザー工場として位置づけ、最先端技術は国内に保持する。「これらのスキームは当社が最先端技術を有する分野でしか通用せず、また今後も技術力を高めていく必要がある。太陽電池事業ではイタリア・エネル社との協業が第1弾。液晶パネルについても同様の考え方で海外展開することを検討している」と明かした。