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画質は、機能はどう進化した? −日立“Wooo”「P50-XP05」導入レポート
■ノイズをうまく抑制。超解像技術の効果は非常に大きく画質向上は顕著
さて、P50-XP05に初めて火を入れ、お手並みを拝見してみよう。今年春にプリプロ(量産試作機)を視聴した時は、色彩バランスの良さと鮮鋭感に感心する一方、ビデオ映像や映画ソフトでは、おしなべてノイズの抑制が今一歩だった。
設計責任者氏からS/Nよりも精細感と映像のマチエール(地肌・質感)を殺さない自然な画質を狙った、という説明を伺ったのだが、家庭用の大画面テレビはマスモニのようにソフトの「アラ」をチェックするために存在するわけではないので、ノイズリダクションを適切に設定し、エンドユーザーが快適に映像を見られることが大切では、と申し上げた。
いま私の目の前にあるP50-XP05は、PDP自体のノイズ、テスト用ブルーレイソフトを再生した際のノイズともに、見事に抑えられている。本機のパネルは予備放電を暗部でゼロにし、発光効率を画期的に改善しているが、PDPとして急進した部分だけに使いこなしが難しいようで、基本的に同一のパネルを使用するパナソニックのVIERAでもノイズが制御し切れていない場合がある。P50-XP05はこのノイズの抑制に関して、VIERAを一歩リードしていると断言できる。
私がテスト視聴によく使うQtecのディスクでは、舞妓の白塗りの顔の肌理細かい質感となめらかさ、色被りのなさに目が吸い寄せられ、竹林を撮影したショットでは竹の幹にノイズが乗らず自然な立体感があり、女性モデルもメイキャップの強調が少なく、佇まいが自然で品がある。
P50-XP05の超解像は、一部機器に見られる「なんちゃって超解像」とは異なる本格的なものだが、この効果も大きい。地上デジタルでは被写体と映像の背景との自然な立体感が出る。映画BDでは、鮮鋭感はやや控え目だが、PDPらしいまったりした艶があって美しい。繰り返すがノイズもよく抑えられている。
黒浮きはさすがに少なく「烏の濡羽色」と表現したくなる、どっしりした艶のある黒だが、同時に非常に明るいプラズマテレビである。
BD「パブリック・エネミーズ」の月夜の銃撃戦はコントラストが豊かで、ハイライトも明る過ぎるくらいだ。人間の哀しい所業、暴力の応酬を見つめる煌々たる月明りの存在(神)がクローズアップされるが、調整でさらに追い込むと、現場に立ち会っているような、生々しい迫真的映像が生まれる。
さて、これからしばらく、このP50-XP05でテレビ放送からBD-ROM、ダウンロードコンテンツまで映像の最前線をウォッチングしていく。
次回は、本機の録画機能を使って、NHK-BSの「スター・ウォーズ」サーガ全6作放映を視聴する予定だ。
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数。2006年に評論家に転身。