【レビュー有】パイオニア、AirPlay/ネットオーディオ/iOSアプリ操作対応のAVアンプ「VSA-1021」など3機種を発売

text／海上 忍
パイオニアが、この春エントリー〜ミドルクラスのAVアンプを一新する。2009年モデルではiPod/iPhoneのデジタル入力に対応するなど、いち早く"Apple製品の波"を捉えてきた製品シリーズだが、今回その方針をさらに進展。「Made for iPad」ロゴを取得、iOS 4でサポートされたワイヤレス配信技術「AirPlay」もサポートするという、意欲的な姿勢を見せる。

新ラインナップは、「VSA-1021」と「VSA-921」、「VSX-821」の3機。共通する新仕様としては、電源部の改良による出力向上や、iPad向けの2.1A充電に対応したことが挙げられるが、ネットワーク対応のVSA-1021とVSA-921ではネットオーディオへの対応強化も図られている。

VSA-1021とVSA-921では、冒頭に挙げたAirPlayをサポート。iPhoneなどiOSデバイスから可逆圧縮オーディオをワイヤレス転送できるようになり、データ経路の選択肢が増えた。最新のiOS 4.3では、iTunesライブラリに直接アクセスする「ホームシェアリング」に対応したため、PC上のオーディオをダイレクトにアンプ出力できるようになったことにも注目したい。

音元出版の試聴室でVSA-921をテスト機として、AirPlayによるオーディオ転送を試したところ、Mac版iTunesとiPod（iOS付属の再生アプリを使用）のいずれでも、iTunesライブラリ上にあるすべてのオーディオフォーマット（MP3/AAC/WAV/ALAC）を再生できた。Mac版iTunesではWMAとFLACを直接扱えないが、DLNAクライアントアプリ「PlugPlayer」を使い出力先としたところ、WMAと96kHz/24bitのFLACも支障なく再生できた。新リモコンアプリ「iControlAV2」のテストは間に合わなかったが、iPad最適化版も用意されるとのことで、試用の機会を楽しみに待ちたい。

3機ともBluetoothによるオーディオ転送が可能となり（別売のアダプタAS-BT200が必要）、エントリーモデルのVSX-821でも音質補正機能「サウンドレトリバーAIR」がサポートされたこともポイントだ。ネットワーク対応のVSA-1021とVSA-921については、App Storeで無償配布されるアプリ「Air Jam」を使用すると、接続しているiOSデバイス間で曲情報の共有が可能になる。

ネットワーク対応のVSA-1021とVSA-921には、新機能「AVナビゲーター」が用意される。ケーブルの配線を案内する「接続ナビ」、本体の操作にあわせPC（Windowsのみ）の画面に用語などの情報を表示する「取説連動」などから構成され、機能向上に比例して難解さを増すAVアンプの初期設定をフォローしてくれるというのだ。試しに「接続ナビ」を利用してみたところ、接続する機器をひと通り確認されたあと、アンプ背面の図を示しつつ具体的な配線方法を案内してくれた。


このように、新機能満載の3モデル。PCとの連係がオーディオライフを左右する昨今、優れたコストパフォーマンスもあり、ユーザを納得させてくれることは確かだろう。