海上忍が速攻テスト
【レビュー】AirPlayやコンテンツ共有機能を強化、AV機能を高めた「iOS 4.3」を試す
■iTunesホームシェアリングの「クオリティ」をチェック
iTunes ホームシェアリングを利用するには、最初にiTunes側で公開の手続きが必要。メニューから[詳細]→[ホームシェアリングを入にする]を選択、Apple IDとパスワードを入力して機能を有効化しておかなければならない。その後iOSデバイスで「設定」→「iPod」の順に操作し、新設された「ホームシェアリング」項にiTunesで使用したものと同じAppleIDとパスワードを入力すれば準備完了だ。
その後iOSデバイスで「iPod」を起動すると、iPadの場合は画面左上に、iPhoneの場合は「その他」→「共有」にホームシェアリング実行中のiTunes(設定パネルで登録したライブラリ名)が現れる。利用したいライブラリを選択すれば、あとは、iOSデバイスに楽曲やビデオを転送した場合と同様に操作できる。
iTunes ホームシェアリングで視聴できるファイルフォーマットは、基本的にiTunes 10.2と同じだ。オーディオはMP3/AAC/HE-AAC/ALAC/WAVE/AIFF、ビデオはH.264/MPEG-4/Motion JPEGに対応、いずれもトランスコードなしにiOSデバイス上で視聴できる。iTunes Storeで購入したDRM付のコンテンツも支障なく再生でき、音声や映像が中断することもなかった。
一方、QuickTimeプラグインによりiTunes上で再生可能となるフォーマットは視聴できなかった。Mac OS X版iTunesでは、XiphQTとFLAC Importerを導入するとFLACの再生が可能になるが、iTunes ホームシェアリングではリストに表示されるものの、再生されずにスキップされてしまった。同様に、Perianの導入で再生可能となる動画フォーマットについても、iOSデバイス上では再生できなかった。
クオリティ面だが、再生開始直後にまとまった量のパケット転送が行われてからストリーミングが開始されることから、ある程度のデータをiOSデバイス上にキャッシュしたうえ再生を始めることがわかる。その後は500KB/秒前後のスピードでデータ転送されていることから判断すると、一般的な家庭用の無線LANルータでじゅうぶん賄えるはずだ。
なお、動画の画質についても、実ファイルをiOSデバイスへ転送したときと比べ遜色はなく、トランスコードの様子はうかがえない。ALACやWAVEの楽曲を試聴しても、iOSデバイス上にファイルが実在する場合に比べて音質で劣ることはなく、iTunesライブラリ上にあるデータは無変換でiOSデバイスへストリーミングされていると推測される。
使用されているプロトコルなど技術の詳細は明らかにされていないが、AirPlayの配信方式(RTSPベースの独自仕様)と類似または同一である可能性が高い。この点に関しては、後日別の機会に調査結果を報告したい。
(海上忍)