高速連写テストの作例も紹介
ビクター「GC-PX1」徹底レビュー − プロカメラマン川村氏が動画&静止画のクオリティをチェック
ビクターから“HDハイブリッドカメラ”「GC-PX1」が発売された。今回はプロカメラマンの川村容一氏が、本機で撮影した動画、静止画のクオリティをチェック。高速連写撮影やハイスピード撮影の作例も含めて徹底レビューの成果を紹介する。なお「GC-PX1」の機能、ハンドリング性能を中心に紹介した「第一回目のレビュー」もぜひご参照いただきたい。
■映像エンジン「FALCONBRID」が“新しいカメラの楽しみ方”をつくりだした
ビクターの「GC-PX1」は、従来は「動画はビデオカメラ、静止画はスチルカメラ」という垣根を取り払った“HDハイブリッドカメラ”である。このカメラの使い勝手として、筆者が最も優れていると感じるところは、とにかく大事なシーンはすべて36MbpsのハイビットレートによるフルHDの1080/60p動画で記録しておいて、あとから決定的なシャッターチャンスを高画質な静止画で切り出せることだ。切り出したデータは約207万画素の16対9サイズとなるが、大画面テレビで鑑賞したり、2L判程度のプリントで鑑賞するには充分すぎるほどの鮮明さが楽しめると思う。デジタルカメラで一瞬のシャッターチャンスを逃さず捕まえるためには技術も運も必要だが、本機であれば二度と出会えない貴重な瞬間を、逃さず手軽に、かつキレイに写すことができるのだ。この点はビクターが独自に開発した、動画と静止画の両方を高速信号処理可能な次世代映像エンジン「FALCONBRID」の高度なパフォーマンスだからこそ、実現できた使い勝手だと言える。
そして本機を静止画撮影を中心としたデジタルカメラとして見た場合、大容量32GBの内蔵メモリーを搭載している点はとてもユニークだと思う。この後に紹介する高速連写撮影機能を活用する上でも大きなメリットになるはずだ。
■カメラとしての基本性能が高く、静止画もハイクオリティに撮れる
静止画モードでは画素を補完することなく、最大約1,000万画素の撮影ができる。シャッターレスポンスがよく、AFや露出も正確だ。シャッターチャンスを落ち着いて狙える被写体などを撮影する際には、ぜひ本機の静止画モードで高画質な写真を撮影に挑戦したい。
光学10倍対応のコニカミノルタHDズームレンズは、広角側から望遠側まで歪みやニジミが少なく、逆光環境下の撮影でもコントラスト感の表現に優れ、画像全体に締まりがある。テクスチャ部分などもモヤっとせず、スッキリした感じだ。
最大の特徴はその解像度の高さだろう。エッジ部分や被写体の文字がとても鮮明に写る。電子的に輪郭を補正しているためではなく、レンズ自体のキレが良いからなのだろう。さらに高感度な裏面照射型のCMOSセンサーが光を効率よくキャッチしながら、高精細に記録してくれる点も強みだ。夜景や暗い室内でも、鮮明かつ豊かな色彩が表現される。被写体の最低照度は4ルクスを実現している。暗所撮影時のノイズコントロールの実力についても、これまでのデジタルカメラよりも一世代進んでいると実感した。
動画モードはフルHDの1080/60p記録で、通常のハイビジョン放送などの倍のフレーム数で記録するプログレッシブ方式を採用している。データの容量は大きくなるが、その画質の違いは一目瞭然だ。動いている被写体は、その滑らかな動きが記録でき、再生時にはどこで一時停止しても美しい一枚一枚の映像が記録されており、静止画として切り出した場合にも非常に美しく情報量が豊富だ。写真として見応えたっぷりのクオリティだ。また最大36Mbpsという高いビットレートながら、記録はMPEG-4 AVC/H.264方式を採用しているので、AVCHD方式に比べると圧縮量が少なく、パソコンでの編集・再生時にもストレスが少ないのが嬉しい。
今回は本機を使って、プロカメラマンである筆者が撮影した静止画と、動画から切り出した静止画など、作例の一部を以下に紹介したいと思う。
【川村氏 フォトギャラリー Part.1】 GC-PX1で撮った!「静止画」作例紹介
※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
【川村氏 フォトギャラリー Part.2】 GC-PX1で撮った!「動画からの静止画切り出し」作例紹介
※動画ファイルの画面をクリックすると再生を開始します。動画作例は元のファイルを圧縮したものをFLV形式で掲載しています。切り出した静止画ファイルの元となっている映像として参照下さい。
※動画ファイルはストリーミング再生となりますので、お手元のPC、インターネット環境によってはスムーズに再生されない場合もあります。
■作例その1:イルカたちの“ご挨拶”
<切り出した静止画>
※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
イルカーショーの観客に向かってあいさつするイルカたち。一連の動きを動画で撮影していると、「ここを止めたい!」と思う瞬間がある。撮影した後からでも鮮明な静止画が得られるのはありがたい。解像感やトーンも申し分ない。
■作例その2:イルカのジャンプ
<切り出した静止画> ※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
イルカのジャンプ。あの巨体が5メートルは飛ぶのだろうか。高さなどのスケール感がわかるように周囲を入れて引き気味の画角で撮影してみた。
■作例その3:イルカのハイ・ジャンプ
<切り出した静止画> ※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
イルカ達は水の中だけではなく、空中も得意のようだ。美しく滑らかな胴体だ。水の動きが生々しく止められている。動画だけでは見逃してしまう一瞬である。
■作例その4:2匹そろってジャンプ!
<切り出した静止画> ※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
スチルカメラで高速連写しても、動きの速い被写体ではどうしてもコマの間に決定的チャンスがある場合があった。動画でも一時停止で見るとブレている時が多かった。60P記録はどこで止めても滑らかで2匹の息のあった演技が良くわかる。
■作例その5:美しいクマノミのストライプ模様
<切り出した静止画> ※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
映画でも人気者になったカクレクマノミ。鮮やかなオレンジ色と大胆なストライプ。常に動き回っているので、動画から切り出せば、最もキレイに写っている一枚も見つけやすい。
■映像エンジン「FALCONBRID」が“新しいカメラの楽しみ方”をつくりだした
ビクターの「GC-PX1」は、従来は「動画はビデオカメラ、静止画はスチルカメラ」という垣根を取り払った“HDハイブリッドカメラ”である。このカメラの使い勝手として、筆者が最も優れていると感じるところは、とにかく大事なシーンはすべて36MbpsのハイビットレートによるフルHDの1080/60p動画で記録しておいて、あとから決定的なシャッターチャンスを高画質な静止画で切り出せることだ。切り出したデータは約207万画素の16対9サイズとなるが、大画面テレビで鑑賞したり、2L判程度のプリントで鑑賞するには充分すぎるほどの鮮明さが楽しめると思う。デジタルカメラで一瞬のシャッターチャンスを逃さず捕まえるためには技術も運も必要だが、本機であれば二度と出会えない貴重な瞬間を、逃さず手軽に、かつキレイに写すことができるのだ。この点はビクターが独自に開発した、動画と静止画の両方を高速信号処理可能な次世代映像エンジン「FALCONBRID」の高度なパフォーマンスだからこそ、実現できた使い勝手だと言える。
そして本機を静止画撮影を中心としたデジタルカメラとして見た場合、大容量32GBの内蔵メモリーを搭載している点はとてもユニークだと思う。この後に紹介する高速連写撮影機能を活用する上でも大きなメリットになるはずだ。
■カメラとしての基本性能が高く、静止画もハイクオリティに撮れる
静止画モードでは画素を補完することなく、最大約1,000万画素の撮影ができる。シャッターレスポンスがよく、AFや露出も正確だ。シャッターチャンスを落ち着いて狙える被写体などを撮影する際には、ぜひ本機の静止画モードで高画質な写真を撮影に挑戦したい。
光学10倍対応のコニカミノルタHDズームレンズは、広角側から望遠側まで歪みやニジミが少なく、逆光環境下の撮影でもコントラスト感の表現に優れ、画像全体に締まりがある。テクスチャ部分などもモヤっとせず、スッキリした感じだ。
最大の特徴はその解像度の高さだろう。エッジ部分や被写体の文字がとても鮮明に写る。電子的に輪郭を補正しているためではなく、レンズ自体のキレが良いからなのだろう。さらに高感度な裏面照射型のCMOSセンサーが光を効率よくキャッチしながら、高精細に記録してくれる点も強みだ。夜景や暗い室内でも、鮮明かつ豊かな色彩が表現される。被写体の最低照度は4ルクスを実現している。暗所撮影時のノイズコントロールの実力についても、これまでのデジタルカメラよりも一世代進んでいると実感した。
動画モードはフルHDの1080/60p記録で、通常のハイビジョン放送などの倍のフレーム数で記録するプログレッシブ方式を採用している。データの容量は大きくなるが、その画質の違いは一目瞭然だ。動いている被写体は、その滑らかな動きが記録でき、再生時にはどこで一時停止しても美しい一枚一枚の映像が記録されており、静止画として切り出した場合にも非常に美しく情報量が豊富だ。写真として見応えたっぷりのクオリティだ。また最大36Mbpsという高いビットレートながら、記録はMPEG-4 AVC/H.264方式を採用しているので、AVCHD方式に比べると圧縮量が少なく、パソコンでの編集・再生時にもストレスが少ないのが嬉しい。
今回は本機を使って、プロカメラマンである筆者が撮影した静止画と、動画から切り出した静止画など、作例の一部を以下に紹介したいと思う。
【川村氏 フォトギャラリー Part.1】 GC-PX1で撮った!「静止画」作例紹介
※写真をクリックして元サイズの静止画ファイルを別ウィンドウで拡大表示できます。
都心の公園で暮らす猫。アウトフォーカスになった背景から浮かび上がって、毛並みの質感もよく描写されている。 | 曇り空であったが、噴水から背後のビルまでシャープに描写されている。直線の歪みが少なく、室内の光の滲みも認められない。 |
早春のツバキに雪が降ってきた。鮮やかな花と渋い葉の色、そして雪の白。絶妙のバランスであった。質感と立体感がすばらしい。 | とても滑らかな10メガ画素の静止画である。質感や奥行き感がよく表現されている。グラデーションも美しい。 |
夕暮れの隅田川とライトアップされた橋を撮影した。マニュアルでシーンを「夜景」にセットしたので、夜の青味がかった色彩がイメージ通りに表現されている。ノイズの浮きは少なく、画面周辺でも光量低下が目立たない。 | 鳥たちを撮影。一眼レフと違ってシャッター音などが聞こえないので、鳥も安心しているようだ。 |
室内でも色鮮やかに羽根の色を写す事ができた。暗い状況では感度も自動で上がるので、手ブレ補正機構と相まって、ブレの発生が少なくなる。 |
【川村氏 フォトギャラリー Part.2】 GC-PX1で撮った!「動画からの静止画切り出し」作例紹介
※動画ファイルの画面をクリックすると再生を開始します。動画作例は元のファイルを圧縮したものをFLV形式で掲載しています。切り出した静止画ファイルの元となっている映像として参照下さい。
※動画ファイルはストリーミング再生となりますので、お手元のPC、インターネット環境によってはスムーズに再生されない場合もあります。
イルカーショーの観客に向かってあいさつするイルカたち。一連の動きを動画で撮影していると、「ここを止めたい!」と思う瞬間がある。撮影した後からでも鮮明な静止画が得られるのはありがたい。解像感やトーンも申し分ない。
イルカのジャンプ。あの巨体が5メートルは飛ぶのだろうか。高さなどのスケール感がわかるように周囲を入れて引き気味の画角で撮影してみた。
イルカ達は水の中だけではなく、空中も得意のようだ。美しく滑らかな胴体だ。水の動きが生々しく止められている。動画だけでは見逃してしまう一瞬である。
スチルカメラで高速連写しても、動きの速い被写体ではどうしてもコマの間に決定的チャンスがある場合があった。動画でも一時停止で見るとブレている時が多かった。60P記録はどこで止めても滑らかで2匹の息のあった演技が良くわかる。
映画でも人気者になったカクレクマノミ。鮮やかなオレンジ色と大胆なストライプ。常に動き回っているので、動画から切り出せば、最もキレイに写っている一枚も見つけやすい。
次ページNEXT>> 決定的シャッターチャンスも逃さずに捕まえる!「高速連写機能」を試す