評論家4名が語る
東芝 “4Kレグザ”「55XS5」大解剖!− 4Kアップスケーリング/表現力まで実力を徹底検証
55XS5・4Kアップスケーリング 画質検証 |
スタンダードソースのBDをさらに美しく、精細に映し出す「55XS5」
山之内、岩井両名に本機の実力を検証してもらった
『フェア・ゲーム』 text/山之内正
現実味のある空気感が生々しく迫る
4Kカメラ(レッド・ワン)で撮影された本作は手持ち撮影を多用したドキュメンタリー風の作風が独特のリアリティを引き出しており、作品のテーマにふさわしいリアルな映像が見どころだ。
精緻な解像感や安定したカメラワークとは対極の映像だが、特に中東の映像ではその撮影スタイルが大きな効果を生み、現実味のある空気感が生々しい。55XS5の映像は精細感の抽出とノイズの抑制がバランス良く両立しており、コントラストの強い屋外シーンから陰影の深い室内シーンまで描写に破綻がなく、不自然な強調感とも無縁だ。
特に感心したのはスキントーンのなめらかさで、ヴァレリー・プレイムを演じるナオミ・ワッツのクローズアップはシャドウ部まで階調を保ち、立体感に富んでいる。細部まで高いコントラストをキープしているので人物の表情を克明にとらえる良さがあり、ショーン・ペン演じるウィルソンの苦渋の表情には息を呑むほどの説得力がある。
『ベン・ハー』 text/山之内正
まるで撮影を終えたばかりの映像のよう
緻密なレストアを経てオリジナルの力強さが蘇った本作は、4Kディスプレイの威力をまざまざと見せ付け、驚異の映像と呼ぶにふさわしい。細部まで光のエネルギーが鈍ることなく、色の切れの良さも次元が異なる印象。戦車がぶつかり合う迫真の場面はまるで撮影を終えたばかりの映像と見紛うばかりの鮮度の高さがあり、半世紀を経たフイルム映像を見ているという事実が信じられなくなる。
観衆をとらえた引きの映像ではレンズの深度を正確に再現し、自然な遠近感を再現。その距離感とスケール感は明らかにハイビジョン映像の次元を超えており、70mmフイルムが生み出す緻密な密度感を実感することができる。55型の映像を至近距離で見ているので没入感は半端ではないが、この精細度ならさらにあとふた回りほど画面サイズを大きくしても十分に楽しめるのではないだろうか。次世代機の話は気が早いが、さらなる大画面でも4Kの醍醐味を味わってみたくなった
『星を追う子ども』text/岩井喬
至近距離でも鮮やかな映像が楽しめる
『星を追う子ども』は、通常の劇場アニメ作品以上にレイヤーを重ねる背景描写によって、緻密で奥深い作品世界をより魅力的に演出している。2Dに特化した55XS5の4Kアップスケーリングによって、エッジの滑らかさや色純度の向上に加え、きめ細やかで情報量が多くより背景の前後感が際立ってくる。
特に日本の2Dアニメとは相性が良いようだ(映画プロ+アニメモードで視聴)。キャラクターを包み込む光のエフェクトは非常に緻密であり、ナチュラルな陰影に結び付く。その輪郭は一切ジャギー感がなく、人物が小さく描かれるワイド時でも顔の表情や色味は全くにじまない。
一般的に大型サイズのテレビは間近で見ると精細感に乏しいが、55XS5はそのようなことはなく、至近距離でも解像感に優れた鮮やかな映像を楽しむことができる。4Kの真価を得るにはレグザサーバーとの組み合わせによる『レグザコンビネーション高画質』をぜひ活用したいところだ。