[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第31回】オススメのスマホ高音質化アプリを紹介! 〜iOS編〜
■一歩踏み込んだ調整ができる「UBiO」
「UBiO」
https://itunes.apple.com/jp/app/ubio/id563103341?mt=8
こちらは設定を追い込もうとするとけっこう深いのだが、とりあえずはデフォルトの設定で使うだけでも音質向上を得られる。デフォルトでオンになっている音響技術「UBiO」の効果だ。どういう理屈でどういう処理を行っているのかは明らかにされていないが、確かに設定画面からこれをオンオフすると音が変わる。
こちらはKlipshの「Image X7i」を組み合わせて試してみた。こちらの効き具合はさらに実に自然だ。音圧を高めつつも全体のバランスを大きく変えることはなく、クリアさを増し、細かな音を引き出しつつも音色に目立つ癖を付けることもない。例えばベースはぐいっと厚みと力強さを増し、ハイハットシンバルはより明確になりつつも音色は綺麗なキレを増し、ボーカルの感触を大きく変えることもない。こちらは常用して問題なさそうだ。
そのようにとりあえずこのアプリを使うだけでも好ましい音質向上効果を得られるUBiOだが、ちょいと手間をかけてもよいなら音質を微調整してさらに追い込むこともできる。設定画面の各項目を変更するのだ。
「SILENT」(右上)は別売の耳栓型アダプター「サイレントピース」と一緒に使うことで、騒音の大きい環境に合わせた音質を実現するモードとのこと。試しにそのサイレントピースなしでオンにしてみたところ、え〜と何ていうか、ただひたすらに騒がしい。シンバルが極端に強く全体にガシャガシャとした感じだ。
ただしもちろんそれには理由があって、本来組み合わせ使うサイレントピースには騒音を減衰させると同時にイヤホンの高音も減衰させる副作用があり、それとのバランスを考えるとこういう音作りになるというわけだ。
別売の耳栓型アダプター「サイレントピース」
http://www.soundscience.co.jp/aerospace/
二択になっている「MUSIC」「SPEECH」(中央)は、音楽を聴く際には通常は前者を用いる。後者は語学教材音源などで使うと子音が聞き取りやすくなってリスニングしやすいということだ。
さてしかしそれらよりも特徴的なのは、画面上でそれらの下に大きな面積が確保されているパッド。このパッドはグラフのようなもので、その中のポイントをタッチで指定することで低音・高音・臨場感を連動して調整できる。触ってみた感じだと上下の位置が低音〜高音の調整、左右の位置が音場感の調整と思われる。
上下での低音〜高音の調整は、複数のパラメーターを連動させているとは思われるが大雑把には、上にするほどに低音も高音も共に強調される。左右での音場感の調整は、左側は密度感のある印象で、右側に行くほどにオープン(開放的)な印象だ。例えば、屋外で周りが騒がしいときにはグラフの右上の隅がいちばん派手で聞き取りやすいといった具合に調整できる。
というわけで、iOSの高音質再生アプリ2本を紹介してみた。前者はまさに「高音質イヤホンとか購入するまでのつもりはないけれどタダで音が良くなるなら大歓迎!」という方におすすめ。後者も同様におすすめできるがそれに加えて、もう一歩踏み込んだ調整もできるので、こちらはこだわりのイヤホンファンの方が使っても楽しめるのではないだろうか。
【追記】2013/6/28:大好評につき第2弾! オススメのスマホ高音質化アプリを紹介! 〜iOS編その2〜を掲載しました。URLはこちら→http://www.phileweb.com/review/article/201306/28/855.html
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Mac、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。 |
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