折原一也が画質/音質/装着感を試す
【レビュー】ソニーの最新ヘッドマウント「HMZ-T3」を前モデルと比較テスト
装着時の機構の変更も数多い。額に触れることになるヘッドパッドはサイズが従来比1.8倍と大きくなり、一方で後頭部に装着するバンドは2本のうち上部分が可動式に。より後頭部にフィットさせやすくなった。前モデルでは装着の際、額に対してバンドで締め付ける形で装着していたのに対して、HMZ-T3/T3Wは帽子のキャップのように被るようなイメージだ。装着時の目の位置は、個別に調整できる2本のバンドの締め付け具合で調整し固定できるようになった。
最適な画質を得るために入念な位置合わせが必要になるのは従来通りだが、キャップのように被れる形状となったことで、より気軽に装着しやすくなった。特に常時メガネをかけている筆者にとっては、上から被るという装着方法によってより使いやすくなっている。他にも目幅の調整機能も従来の5段階から外側に更に1段階追加されており、より最適な位置を得やすくなっている。本機で一新された光学設計によってもレンズ位置がズレた状態での視認性が向上している。ただし、HMZ-T3/T3Wでも装着時に位置合わせが必要なのは変わらない。HMZ-T2と比較して若干よくなった、と考えておこう。
■画質レビュー:「パネル性能の限界まで分解能を増している」
画質面では、専用LSIの搭載と、新設計の光学レンズを搭載している点がポイントだ。新エンジンのベースはソニーのBDレコーダーのフラッグシップである「BDZ-EX3000」の回路の中核となっているCREAS Proがベースだ。
実際に4KマスターのBDソフト『007スカイフォール』を再生して、HMZ-T3とT2を比較視聴してみた。パネル解像度は変わらない両機だが、同じ「シネマ」の設定であってもHMZ-T3の方は奥行き感を増すチューニングが施されており、パネル性能の限界まで分解能を増している。
ここが第3世代たる所以で、例えばシャープネスであれば中域と高域をそれぞれ調整できるなど、細かい画質調整が可能。テレビ番組の視聴なら画質モード「スタンダード」をベースにしてシャープネス(中域)を高めていく方向で調整すると、T2より精細方向に振った、BDにより近づいた高画質になる。
また、光学エンジンの設計により迷光(画面外の光の映り込み)も抑えられるようになっており、筆者のようにメガネ装着、かつ部屋の照明を付けたままで視聴しても画面に集中しやすくなるのもポイントだ。
■湾曲スクリーン設定も没入感向上に大きな効果
HMDで映像を視聴している際の特性として、特に従来機種を体験した人は理解できると思うが、「目の前に大画面スクリーンが浮かんでいる」と捉えられるか、「小さな画面を覗き込んでいる」と捉えられるかによって、映像世界への没入感に差が出る。そうした没入感を生み出す意味で新機能の「スクリーン」モードがとても有効に働く。