[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第83回】ダイソー“108円イヤホン/ヘッドホン”一気聴き! その驚愕の実力とは?
■高橋敦、ダイソーでヘッドホン/イヤホン4製品を自腹購入
ということで今回は、実用性の高さを特に期待できそうな以下のアイテムを自腹で購入してチェックしてみた。僕は良い原稿を書くためなら自らの財布を痛めることも厭わないライターなのだ。そういった姿勢はプロとして逆に違うのかもしれないが、僕は不器用なのでこのやり方しか知らない。愚かな男と笑ってくれてかまわない。…ということで購入したのは、
・カナル型イヤホン(普通タイプ)
・カナル型イヤホン(イヤーモニター風)
・カナル型イヤホン用イヤーピース
・ヘッドホン
…だ。税込108円が4点で合計432円。正直、パッケージに入っている状態から受ける印象は、もっと普通の価格帯の製品と比べてもたいして違和感ないレベル。では開封して試していこう。
■1機種目:普通な感じのカナル型イヤホン
まずは普通な感じのカナル型イヤホン。…ケ、ケーブルが途中までしか左右分割されていない!?
いやもちろん、この状態から自分で割くことができる。ラインケーブルだとよく見かける方式だ。しかしイヤホンでお目にかかることは滅多にない。ほどよい地点に左右分岐のストッパー的なパーツがあるので、それ以上に割けてしまうことはない。まあちょっと驚いたが、実用上は問題ないだろう。
パッケージから取り出して眺めると本体の質感や精度は、前世紀のプラモデル的。近年のプラモデルだと素組でもっとかっこよい。また手にするととてもすごく軽いので、制振パーツ的なものは、値段からして当然だが、入っていないだろう。しかし以下の写真とそれに沿えたコメントを見て読んでほしいのだが、細部の作りは意外と悪くはないように見える。
では試聴!なお比較対象はiPhone 5以降の標準付属イヤホンであるEarPods。別売だと2900円。独特の形状の非カナル型で、聴きやすい音調で適当なバランスのイヤホンだ。正直、特別に音質とかを意識していない一般的な音楽リスナーの大半は、これに大きな不満は覚えないだろう。遮音性が皆無なことの他は。
さて、ではダイソーの普通っぽい方のカナルだが…。
こ…これは!す、すごい!!ここ数年、年に数十は超えるであろうイヤホンを聴き続けてきた僕だが、その数年でいちばんの衝撃ッッッ!日本よ!これがローファイだ!
これはもう、逆に感動的だ。オーディオライターとして音を言葉で伝えることについてはそれなりの経験を積んできて、それが仕事の僕だが、あえて言おう。何も聞かずに聴いてくれ!と。近所にダイソーさえあれば108円だし。
いやこれはもう本当にすごい。記載されているスペックとしての再生周波数帯域は20Hz〜20kHzと普通の水準で、人間の可聴帯域をカバーしている。このイヤホンは「スペックで音は判断できない」ということを、これ以上はない形で知らしめてくれているのだ。もう本当に、最初の一音で衝撃を受け、イントロが終わる頃には逆に楽しくてしかたなくなると思うので、ぜひ聴いてみてほしい。試聴する前に比較対象としてEarPodsを聴いたが、比べるまでもなくすごいので全く意味がなかった。
あ、でも遮音性だけはEarPodsより多少は良い。イヤーピースがひとつのサイズしか付属しない点も、通常のイヤホンであれば僕は「イヤーピースのフィットは音質と遮音性と装着感への影響が大!」と主張するが、このイヤホンのこの音なら細かいことは気にしないでよいだろう。これは他のモデルにも期待が高まる!
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