【特別企画】手軽かつ高音質にハイレゾを楽しめるコンパクトなDAC
ZOOM「TAC-2」を岩井喬がレビュー − Thunderbolt対応のオーディオインターフェース
■Thunderbolt対応のオーディオ向けDACがZOOMから登場
MacにThunderboltが搭載されるようになってからしばらく時間が経過したが、オーディオ分野ではプロ用機器でオプションとして採用されているものが中心で、まだまだ数が少ないというのが現状である。そうしたなかで、楽器やエフェクター分野で強みを発揮しているZOOMから本格的なThunderbolt対応オーディオインターフェイス「TAC-2」が発表され話題となったのも記憶に新しい。
ZOOMが取り扱う個性的な製品群のなかでも、特にオーディオ分野に近いものが“ハンディオーディオレコーダー”とカテゴライズされているリニアPCMレコーダーではないだろうか。96kHz/24bit対応モデルの投入も早く、直近では96kHz/24bit・WAVで6ch同時録音が可能な「H6」(関連ニュース)など、価格からは想像できないほど機能性やスペック、サウンドに優れたモデルを次々に発売しており、マニアからも一目置かれるブランドだ。
そして、本格的にThunderboltへ対応したオーディオ向けDACとしては業界初の製品と言える「TAC-2」も、従来からあるUSBオーディオインターフェイスと変わらない手頃な価格設定が大きな魅力となっている。
■Thunderboltの優位性は高速伝送や給電性能にとどまらない
そもそもThunderboltとはどういったフォーマットなのか、規格そのものについても簡単に解説しておこう。Thunderboltはインテルとアップルが共同開発した新たなI/Oインターフェイスで、2011年2月に登場した「MacBook Pro」から本格的に取り入れられている。
高速シリアルバスとして定着しているPCI Expressとマルチディスプレイ環境構築にも用いることができるDisplay Portという二つのプロトコルの同時双方向伝送が可能で、10Gbpsの圧倒的な転送スピードを持つ。このデータ転送速度は昨今一般的なUSB2.0(最大480Mbps)と比較すると約20倍、USBの上位規格USB3.0(5Gbps)と比較しても約2倍というものだ。
Thunderboltのメリットは伝送速度だけではない。今回の「TAC-2」で用いるプロトコルはPCI Expressの方であるが、このPCI ExpressはUSB伝送とは違い、PC内でバスに直結されたCPUやメモリと同列に存在するインターフェイスとなる。よってUSBよりも直接的に、メモリとの間で大容量データのやりとりが可能だ。
つまりThunderboltを用いることで、ホスト側であるPCとデバイス側の「TAC-2」との間でメモリ空間を共有することができるのである。そのためバッファの枯渇を気にせずに、お互い好きなタイミングで、この共有のメモリの中でやりとりができる。USBで用いられるアイソクロナス伝送のように不安定なクロックに頼ることなく、場合によっては「TAC-2」がマスタークロックとして動作し、データをPC側に要求することもできるという。結果、これまでのオーディオインターフェイスで多用されてきたUSB伝送よりもジッターが発生する要素を極力抑えることができる。
さらにThunderboltがUSBと大きく違うポイントとして挙げられるのが、大容量なバスパワー給電が可能となっている点だ。これまで一般的に用いられているUSB2.0のバスパワー供給能力は2.5W、USB3.0でも4.5Wという値だが、Thunderboltは3m以内の銅線であれば倍以上となる10Wもの電力供給を行える。
「TAC-2」のように48V電源(ファンタム電源)供給が必要なコンデンサーマイク入力を備えた機器であると、バスパワー電力供給能力の高さが動作の余裕を生むだけでなく、ノイズも回り込みにくくなる。言い換えればファイル再生のみで本機を用いるネットオーディオ用途の場合は、こうしたマイクへの電源供給の必要がないため、余剰電力を有効に活用できるわけだ。
MacにThunderboltが搭載されるようになってからしばらく時間が経過したが、オーディオ分野ではプロ用機器でオプションとして採用されているものが中心で、まだまだ数が少ないというのが現状である。そうしたなかで、楽器やエフェクター分野で強みを発揮しているZOOMから本格的なThunderbolt対応オーディオインターフェイス「TAC-2」が発表され話題となったのも記憶に新しい。
ZOOMが取り扱う個性的な製品群のなかでも、特にオーディオ分野に近いものが“ハンディオーディオレコーダー”とカテゴライズされているリニアPCMレコーダーではないだろうか。96kHz/24bit対応モデルの投入も早く、直近では96kHz/24bit・WAVで6ch同時録音が可能な「H6」(関連ニュース)など、価格からは想像できないほど機能性やスペック、サウンドに優れたモデルを次々に発売しており、マニアからも一目置かれるブランドだ。
そして、本格的にThunderboltへ対応したオーディオ向けDACとしては業界初の製品と言える「TAC-2」も、従来からあるUSBオーディオインターフェイスと変わらない手頃な価格設定が大きな魅力となっている。
■Thunderboltの優位性は高速伝送や給電性能にとどまらない
そもそもThunderboltとはどういったフォーマットなのか、規格そのものについても簡単に解説しておこう。Thunderboltはインテルとアップルが共同開発した新たなI/Oインターフェイスで、2011年2月に登場した「MacBook Pro」から本格的に取り入れられている。
高速シリアルバスとして定着しているPCI Expressとマルチディスプレイ環境構築にも用いることができるDisplay Portという二つのプロトコルの同時双方向伝送が可能で、10Gbpsの圧倒的な転送スピードを持つ。このデータ転送速度は昨今一般的なUSB2.0(最大480Mbps)と比較すると約20倍、USBの上位規格USB3.0(5Gbps)と比較しても約2倍というものだ。
Thunderboltのメリットは伝送速度だけではない。今回の「TAC-2」で用いるプロトコルはPCI Expressの方であるが、このPCI ExpressはUSB伝送とは違い、PC内でバスに直結されたCPUやメモリと同列に存在するインターフェイスとなる。よってUSBよりも直接的に、メモリとの間で大容量データのやりとりが可能だ。
つまりThunderboltを用いることで、ホスト側であるPCとデバイス側の「TAC-2」との間でメモリ空間を共有することができるのである。そのためバッファの枯渇を気にせずに、お互い好きなタイミングで、この共有のメモリの中でやりとりができる。USBで用いられるアイソクロナス伝送のように不安定なクロックに頼ることなく、場合によっては「TAC-2」がマスタークロックとして動作し、データをPC側に要求することもできるという。結果、これまでのオーディオインターフェイスで多用されてきたUSB伝送よりもジッターが発生する要素を極力抑えることができる。
さらにThunderboltがUSBと大きく違うポイントとして挙げられるのが、大容量なバスパワー給電が可能となっている点だ。これまで一般的に用いられているUSB2.0のバスパワー供給能力は2.5W、USB3.0でも4.5Wという値だが、Thunderboltは3m以内の銅線であれば倍以上となる10Wもの電力供給を行える。
「TAC-2」のように48V電源(ファンタム電源)供給が必要なコンデンサーマイク入力を備えた機器であると、バスパワー電力供給能力の高さが動作の余裕を生むだけでなく、ノイズも回り込みにくくなる。言い換えればファイル再生のみで本機を用いるネットオーディオ用途の場合は、こうしたマイクへの電源供給の必要がないため、余剰電力を有効に活用できるわけだ。