【特別企画】OPPO「HA-1/PM-1」徹底検証<第1回>
OPPO「HA-1」を全方位レビュー。USB-DAC/ヘッドホンアンプに新たな注目機登場
■OPPOのUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「HA-1」を徹底レポート
OPPOの「BDP-105JP/DJP」は、ESS社のハイエンドDACチップ「ES9018」を投入し、7.1chアナログ出力を用意するなど、画質だけでなく音質にもこだわったBDプレーヤーとして、久しく高級機が途絶えていたこのジャンルの圧倒的な人気モデルとなった。下位モデル「BDP-103JP/DJP」も、機能性が豊富なコストパフォーマンスに優れたモデルで、ここ数年でBDプレーヤーにおけるOPPOの存在感は急激に高まってきた。
そんな追い風の中で昨年秋、OPPOは初のUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「HA-1」、平面駆動型ヘッドホン「PM-1」を発表。高い関心を集め、今年の「春のヘッドホン祭り」やミュンヘンの「HighEnd」でも多くの来場者がそのサウンドに耳を傾けていた。この2モデルについて、実際に使われるシーンを想定しながら、様々な組み合わせでその実力を検証し、詳細なレビューを全2回にわたってお届けする。第1回目は「HA-1」だ。
<1>「HA-1」のスペックをチェックする
■コンパクトな筐体に最新スペックと豪華な仕様を盛り込んだ
USB-DACを内蔵したヘッドホンアンプ「HA-1」は、ハーフラックサイズのフロントパネルに4.3インチTFTカラーディスプレイを搭載。VUメーターやスペクトラムアナライザーなど、視覚的にも楽しめるデザインを採用した。ボディはアルミ材をふんだんに用いた剛性の高い作りである。
内部の回路構成は前述した「BDP-105JP」の流れをくむ設計で、DACチップにESS製ハイエンドチップ「ES9018」を採用。最高384kHz PCM&11.2MHz DSDに対応するなど、現在考えられる上で最高のフォーマットに対応する。
ヘッドホンアンプ部も豪勢で、フルバランス構成のA級ディスクリートアンプを搭載。各パーツはペアマッチ品を厳選し、多様なヘッドホンへの対応能力を備える強力なドライブ段を採用した。ヘッドホン出力も一般的なステレオ標準端子に加え、ノイトリック製4ピンXLR端子を用いたバランス駆動出力も装備する。また、最大出力は600Ω負荷時で2,400mW、32Ω負荷時で3,000mW(いずれもステレオ標準出力時)と、スペック値からも高いドライブ力が伺える。
ライン入出力はRCAアンバランス/XLRバランス端子の両方を用意し、プリアンプとしても万全を期している。電源部には日本用100V仕様の強力な大型トロダルコアトランスを搭載。ノイズを生むスイッチング回路を用いないリニア電源レギュレーターや専用コンデンサーによるフィルターも装備し、徹底したクリアな電源環境を構築した。
そのデジタル入力は192kHz/24bit対応の同軸&光、AES/EBUを装備。フロントパネルにはiOSデバイスのデジタル接続に対応したUSB-A端子を備える。個性的なのは、低遅延で高音質なコーデックであるaptX対応のBluetooth入力を用意したことだ。専用アプリを使ってBluetooth接続したスマートフォンから、リモコンと同様の操作を行うこともできる。
■価格帯を超える物量とスペックを投入
USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプは、国内外問わずかなりの製品数がしのぎを削る分野。しかし、384kHz PCMや11.2MHz DSDの再生が可能なアシンクロナスモードUSB入力対応で、A級ディスクリート・ヘッドホンアンプを備える20万円以下のモデルというのは、本機以外に見当たらない。スペックや装備を確認するだけで、「HA-1」がコストパフォーマンスの高い製品であることは明らかだ。
本機の取り扱いで一点だけ注意したいのは、発熱対策だ。豪勢なA級アンプをコンパクトな筺体に収めたこともあり、一般的なヘッドホンアンプよりは発熱量が多い。筺体が小さいので、ラックの中などへの設置を検討されるかもしれないが、ラックの上段で周囲に遮るものがないオープンな環境に設置することをお薦めしたい。