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連載:藤岡誠のオーディオワンショット

【第6回】MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧方式への誘い<3> 対応フォノケーブルを試聴

公開日 2015/01/30 11:57 藤岡 誠
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・お薦め<3>Wire World「Silver Eclipse7 SET」

今回最後のお薦めは、ワイヤーワールドの「Silver Eclipse7 SET」の5PIN-DIN→XLRタイプである。これはワイヤーワールド(アメリカ)の本社で設計され台湾で生産されていることもあるが、価格は¥85,000(税別)。輸入製品の割にはそれほど高価ではないのが魅力。詳細は省くが、いかにもオーディオケーブルの専門メーカーらしく、特許技術を含む細やかな技法がいくつも注入されている。導体は銀メッキされた6N高純度銅線。アース線はサエクのSCX-5000と同様に1本で、5PIN-DINコネクターのセンターピンに接続されている。つまり、アーム本体と直結されたアース線でXLRコネクターの3番ピンはオープンである。

Wire World「Silver Eclipse7 SET」1m:¥70,000/1.5m:¥85,000(税抜)

試聴したSilver Eclipse7 SETの音質・音調は高密度で、明るい方向性と解放感を感じる。このため声楽やコーラスでは歌い手の口元が明確でとてもスッキリとした聴こえで臨場感がある。どちらかといえば、メリハリがあって一音一音がくっきりしているからジャズ系ソフトに向いているように私は感じる。低域方向はやや制動され、好みでいえば伸張と量感が更に加わるといいと思う。なお、今回は試聴できなかったが、ローエンドに「Eclipse」があるし、1ランク上位に「Gold Eclipse」、最高級型には「Platinum Eclipse」などが購入可能だから輸入元に問い合わせるといい。ワイヤーワールド自体が認めているが、ランク別に音のグレードが変化するようである。


■試聴に使用したバランス伝送対応機器

バランス伝送対応フォノケーブルのお薦めにあたって使用したバランス伝送対応機器は次の通りである。

プレーヤーは「その2」で紹介したタイプ。具体的にはテクニクスのターンテーブル「SP-10MK2」+3種類のサエクのアーム「WE-506」/「WE-407」/「WE-8000」。これらをサエクのターンテーブルデッキ「SBX-3」に搭載し、同じサエクのトーンアームブラケット「S-5」他を介して3本アーム対応としている。さらにターンテーブル上にはオーディオテクニカの金属製ディスクスタビライザー「AT-677」がある。総重量は約68kgである。

カートリッジはオルトフォンの「MC Windfeld」をリファレンスとし、必要に応じてデノンの「DL-103」などを聴く。アームは原則的にWE-506を用いた。昇圧トランスはフェーズメーション「T-500」。フォノEQアンプはBMC「MCCI」を主として使い、相対比較用にAYREの「P-5xe」も使用した。つまり、昇圧トランスでは判断しにくい高度なF/Dレンジ感、透明度と分解能などは、これらフォノEQアンプでの聴こえを参考にしている。

また、試聴に使用した主なレコードは以下の通り。

・『パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第2番〈ラ・カンパネラ〉他』(グラモフォンMG1108)
・『The Power of the Orchestra』(RCA VICTOR VCS-2659<45rpm/200g>)
・『二人でお茶を キングス・シンガーズ』(Victor VIC-28211)
・『COOL STRUTTIN/SONNY CLARK』(Blub Note 1588<200g>)
・『潮騒』五輪真弓』(CBSソニー 28AH1466-UM)




【筆者プロフィール】
<藤岡 誠>
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。

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