HOME > レビュー > クラウド/ローカルをシームレスにつなぐ“総合音楽鑑賞プレーヤーソフト”「Roon」の魔法とは?

海外で話題の革新的音楽管理・再生ソフトをレビュー

クラウド/ローカルをシームレスにつなぐ“総合音楽鑑賞プレーヤーソフト”「Roon」の魔法とは?

公開日 2015/12/25 12:20 逆木一
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
海外メディアを中心に、「Roon」というオーディオ用のライブラリ管理/プレーヤーソフトが話題を集めている。Roonが示すネットオーディオの未来とはどんなものなのか、逆木 一氏が解説する。

「総合音楽鑑賞ソフト」と呼ぶべきRoon

PC用の音楽再生ソフトは、大きく二つに分けることができる。音源の再生に焦点を当てた「再生特化型」と、音源をライブラリとして管理する機能を持つ「ライブラリ統合型」である。両者はともに長い歴史を持つが、近年では機能と音質の両面から、JRiver Media CenterやAudirvana Plusといったライブラリ統合型のソフトが高い評価を受けているように思う。最先端のスペックのハイレゾ音源への素早い対応や、優れた外部コントロールアプリと連携したネットワークオーディオの実践など、再生ソフトの機能面は既に煮詰まった感すらある。

そんなある意味では成熟した再生ソフト界に現れた新星が、今回紹介する「Roon」である。Roonは「ライブラリ統合型再生ソフト」からさらに一歩進んだ、「総合音楽鑑賞ソフト」とでも言うべきものだ。既に海外では非常に高い評価をもって受け入れられており、名だたるオーディオメーカーがハードウェアパートナーとして名を連ねている。Roonの理念は、公式HPでこのように述べられている。

“音楽は単なるファイルやストリームではない。音楽とは制作に携わった作曲者や演奏者、すべての情熱ある人々の成果物である。単にリストを眺めるのはもうやめにして、音楽の多面性を楽しもう。”

言わんとしていることはよくわかる。確かに、ライブラリが下の画像のような有様では、本当にその音楽のすべてを楽しんでいることになるのかと不安になる。

管理が行き届いていないライブラリの例。曲名もアーティスト名も「不明」では、もはや何を再生しているかさえ判別できない

PCオーディオやネットワークオーディオは、既に「音を出すだけ」ならばほとんど苦労することはなくなっている。しかし、そこから一歩進んで、より快適に音楽を聴こうと思えば、音源管理の時点で理解・実践すべき事柄は多岐にわたる。「面倒」「大変」と思われてしまっても仕方がない。PCを活用してオーディオをやりたいけれど、音源管理まで手が回らない――そんな人にとって、Roonは最高のパートナーとなり得るはずだ。

Roonは日本語化されていないものの、問題なく日本でも使うことができる。ソフト本体はWindows版とMac版、コントロールアプリはiPad版とandroid版が用意されている。ソフトは買い切りではなく、あくまで「サービスを利用する」という形態のため、Roonは月額の課金制をとっている。現在の料金は1年契約で119ドル、永年契約で499ドル。純粋な再生ソフトとして考えると、他のソフトと比べて割高に思えるが、Roonの真価はそこに加わる「サービス」の部分にあるため、そこに価値を見出せるか否かが鍵となる。それでは、実際に使いながら、Roonがどのようなソフトであるかを見ていこう。

次ページ“Roonだからできること”とは?

1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE