HOME > レビュー > 話題の音楽再生ソフト「Roon」は音も良い? RoonReady機器でネットワーク再生を検証

DLNAとの比較試聴も

話題の音楽再生ソフト「Roon」は音も良い? RoonReady機器でネットワーク再生を検証

公開日 2016/04/27 13:28 佐々木 喜洋
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
<試聴4>PlayPoint(DLNA) + e28 mk2(RoonとDLNAの音質を比較)

次はちょっと実験的な試みをしてみた。同じハード(PlayPoint + e28 mk2)を使用して、現在ネットワークオーディオでもっとも普及しているDLNA(uPnP)システムとRoonシステムとの比較を行ってみるというものだ。これはPlayPointがRoonにもDLNAにも対応しているという点を利用する。

<試聴4>のシステム構成イメージ(DLNA)

PlayPointでは、DLNAとRoonの切り替えもスムーズに意識することなく可能である。PlayPoint(+ e28 DAC)はここではDLNAレンダラーとして機能する。

NASはRoonのときと同じアイ・オー・データのFidataで、これがDLNAメディアサーバーとなる。DLNAコントローラーは同じくiPhoneで、ここでは「PlugPlayer」アプリを使用した。これによって使用しているハードウエアはRoon使用時と同じである(ただしRoonとは異なりMacは介さないことになる)。

実際に聴いてみると、興味深いことにDLNAでシステムを組んだ時よりも、同じハードでRoonのシステムを使用した場合の方が音質は良いと感じた。今回のシステムにおいては、やはりRoonの方が透明感に優れていてよりクリアに感じられ、音場感もより立体的だ。

「Core」でのデコード、そして「RAAT」方式が音質面で優位に?

DLNAとのシステムとしての違いは、Roonが「Core」で楽曲をデコードして「Output」に送るという音楽再生の流れであるため、「Output」であるPlayPointの負荷が軽いということが挙げられる。対してDLNAレンダラーではファイルの読み込みや圧縮伸長など楽曲のデコードがPlayPointで行われるため、より負荷は高い。またこのことにより新しい楽曲形式のサポートの必要性が発生した場合は、Macを使うRoonの方がより迅速に対応ができることも利点として挙げられるだろう。

加えてRoonで採用されているRAATという伝送方式はオーディオに特化しており、送り手と受け手のクロック差異などを考慮した、より正確な伝送が可能とRoonは説明している。この点も影響していると考えられる。

反面でRoonでは、「Core」を入れるためのパソコンが必要となるが、DLNAシステムではこの場合はパソコン不要である。そのためオーディオルームからパソコンを排したいと言う人にはDLNAが向いているだろう。ただしそれが音質のためと言うならば、また結論は異なるものになるかもしれない。

Raspberry Piを使った「PI-DAC」でRoonReadyを試す

最後にIQaudIOのPI-DACをRoonReady機器として試してみた。

このハイエンドシステム群に混ぜるとなんとも頼りなげで、太いオーディオケーブルを付けた時の安定性にも心配するような機材だが、実際に試聴してみると意外と音質が優れている点に驚いた。

IQaudIO「PI-DAC」をRoonReadyとして用いて、実際に音を聴いてみた

さすがにPlayPointのシステムとは音質は比べられないが、価格(ラズベリーパイと合わせて1万円程度)という点からは思えないような良い音を聴くことができた。このようなハイエンドシステムのなかに混ぜても大きく破たんすることはない。普及クラスのシステムであればこれで十分ではないかと思える音だ。

実際に海外ではBrystonの最新製品であるBDP-π(日本未発売)のようにラズベリーパイをオーディオシステムに採用する動きもあるのが納得できる。Roonがこうした低価格システムにも活かせるということが十分証明できたと思う。

なおRoon1.2ではラズベリーパイをRoonBridgeとすることが可能なので、手持ちのUSB-DACをRoonに組み込みたい方はラズベリーパイを活用してみるのも面白いだろう。

次ページ自由度の高さ、そして優れた音質もRoonの魅力

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク