【特別企画】Sound Reality Sereiesの新モデルを聴く
海上 忍が聴くオーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」。有線をも凌ぐ描写力!Bluetoothヘッドホンの概念が変わる
2016年、Bluetoothヘッドホンを取り巻く環境は一変した。iPhone 7が3.5mmイヤホン端子を廃止。これを引き金に今後トレンドとして定着しそうだからだ。機動性と防水・防塵性が重要なスマートフォンにとってワイヤレスは好相性、Bluetoothヘッドホンの勢いは止まりそうにない。
これまでBluetoothヘッドホンは、本流・本命視されにくい存在だった。しかし、最初にワイヤード版を開発し、そのバリエーションとしてBluetooth版を用意するという従来の開発プロセスに沿っていては、オリジナルたるワイヤード版の音質を超えることは難しい。限られた帯域を使い情報を伝送するというハンディをいかにして克服するか、それはBluetoothの特性を生かした製品開発以外ありえない。
ここに紹介するオーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」は、Bluetoothヘッドホンとしての基礎部分にメスを入れた画期的な製品だ。新技術「ピュア・デジタル・ドライブ」と「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」、新コーデック「aptX HD」を中心に、その特長について解説してみよう。
Bluetoothを最終段までフルデジタル伝送
ATH-DSR9BTにおける信号伝送方式は、従来のBluetoothヘッドホンと大きく異なる。Bluetooth経由で入力した信号は、一度もアナログ信号に変換されることなく振動板の直前までデジタルのまま保たれるのだ。それが新技術「ピュア・デジタル・ドライブ」であり、DSR9BTがBluetoothありきで設計された製品だからこそ実現できたといえる。
一般的にBluetoothオーディオ機器では、PC/スマートフォンといった機器で符合化(エンコード)された音声信号はヘッドホンなどの機器に受信されると復号化(デコード)され、アナログ変換を経てアンプで増幅、その後最終段たるスピーカー/ドライバユニットに伝えられ「音」になる。
しかし、ATH-DSR9BTではデジタル信号はそのままデジタルオーディオプロセッサ(Dnote)へと伝えられ、ボイスコイルが振動板を駆動する。デジタルオーディオの肝であり、信号の変質ひいては音質低下の原因となりうるDA変換は一度も行われない。空気を動かす直前までデジタルのまま、それがピュア・デジタル・ドライブという技術の骨幹だ。
音の決め手となる部分が、ピュア・デジタル・ドライブ最終段に位置する「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」だ。デジタル信号の疎密をもとにDnoteが生み出した波形データは、新開発の4芯撚り線構造の高純度7N-OFCボビン巻ショートボイスコイルにより忠実に振動板へと伝えられる。一方、効率よく磁気エネルギーを伝え駆動力を最大限引き出す純鉄一体型ヨークと、振動板に剛性を高め高域特性を確保するDLCコーティングは、ART MONITORシリーズ最高峰のATH-A2000Zにも採用されたもの。新技術とともに、蓄積されたノウハウを生かしていることがポイントだ。
最新オーディオコーデック「aptX HD」にいち早く対応
最新オーディオコーデック「aptX HD」の採用も見逃せない。サンプリング周波数48kHz/量子化ビット数24bitが扱える情報量は、AACやaptXといった既存コーデックの48kHz/16bitを大幅に上回り、音質向上に大きく貢献する。特に量子化ビット数が24bitということは、2の8乗倍すなわち16bit比256倍もの細かさで音を表現できることを意味し、既存コーデックに対し大きなアドバンテージとなる。
PCとのUSB接続もサポートされる。USB Audio規格準拠によりPCにはUSB-DACとして認識されるため、foobar2000やAudirvana Plusといった定番ハイレゾ再生ソフトでも利用可能だ。アナログ入力には対応しないものの、「ピュア・デジタル・ドライブ」と「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」の実力をPCM 96kHz/24bitで堪能できる点はうれしい。
これがBluetooth? という音場感・分離感
ATH-DSR9BTというヘッドホンを理解するには、敢えて「Bluetooth」という言葉を外したほうがいい。確かに接続方式はBluetoothだが、聴こえてくる音は従来のBluetoothヘッドホンと明らかに次元が異なる。鮮烈にして明瞭、ともすればワイヤード機をも凌駕する描写力があるのだ。
これまでBluetoothヘッドホンは、本流・本命視されにくい存在だった。しかし、最初にワイヤード版を開発し、そのバリエーションとしてBluetooth版を用意するという従来の開発プロセスに沿っていては、オリジナルたるワイヤード版の音質を超えることは難しい。限られた帯域を使い情報を伝送するというハンディをいかにして克服するか、それはBluetoothの特性を生かした製品開発以外ありえない。
ここに紹介するオーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」は、Bluetoothヘッドホンとしての基礎部分にメスを入れた画期的な製品だ。新技術「ピュア・デジタル・ドライブ」と「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」、新コーデック「aptX HD」を中心に、その特長について解説してみよう。
Bluetoothを最終段までフルデジタル伝送
ATH-DSR9BTにおける信号伝送方式は、従来のBluetoothヘッドホンと大きく異なる。Bluetooth経由で入力した信号は、一度もアナログ信号に変換されることなく振動板の直前までデジタルのまま保たれるのだ。それが新技術「ピュア・デジタル・ドライブ」であり、DSR9BTがBluetoothありきで設計された製品だからこそ実現できたといえる。
一般的にBluetoothオーディオ機器では、PC/スマートフォンといった機器で符合化(エンコード)された音声信号はヘッドホンなどの機器に受信されると復号化(デコード)され、アナログ変換を経てアンプで増幅、その後最終段たるスピーカー/ドライバユニットに伝えられ「音」になる。
しかし、ATH-DSR9BTではデジタル信号はそのままデジタルオーディオプロセッサ(Dnote)へと伝えられ、ボイスコイルが振動板を駆動する。デジタルオーディオの肝であり、信号の変質ひいては音質低下の原因となりうるDA変換は一度も行われない。空気を動かす直前までデジタルのまま、それがピュア・デジタル・ドライブという技術の骨幹だ。
音の決め手となる部分が、ピュア・デジタル・ドライブ最終段に位置する「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」だ。デジタル信号の疎密をもとにDnoteが生み出した波形データは、新開発の4芯撚り線構造の高純度7N-OFCボビン巻ショートボイスコイルにより忠実に振動板へと伝えられる。一方、効率よく磁気エネルギーを伝え駆動力を最大限引き出す純鉄一体型ヨークと、振動板に剛性を高め高域特性を確保するDLCコーティングは、ART MONITORシリーズ最高峰のATH-A2000Zにも採用されたもの。新技術とともに、蓄積されたノウハウを生かしていることがポイントだ。
最新オーディオコーデック「aptX HD」にいち早く対応
PCとのUSB接続もサポートされる。USB Audio規格準拠によりPCにはUSB-DACとして認識されるため、foobar2000やAudirvana Plusといった定番ハイレゾ再生ソフトでも利用可能だ。アナログ入力には対応しないものの、「ピュア・デジタル・ドライブ」と「φ45mm“トゥルー・モーション"D/Aドライバー」の実力をPCM 96kHz/24bitで堪能できる点はうれしい。
これがBluetooth? という音場感・分離感
ATH-DSR9BTというヘッドホンを理解するには、敢えて「Bluetooth」という言葉を外したほうがいい。確かに接続方式はBluetoothだが、聴こえてくる音は従来のBluetoothヘッドホンと明らかに次元が異なる。鮮烈にして明瞭、ともすればワイヤード機をも凌駕する描写力があるのだ。