素材やパーツの吟味でさらなる高音質化
数倍の価格のモデルに匹敵、デノンが4年かけて作った新フラグシップ “SX1 LIMITED” レビュー
■日本きっての老舗オーディオメーカーが節目に送り出す“SX1 LIMITED”
デノンのプリメインアンプ「PMA-SX1」とSACDプレーヤー「DCD-SX1」が、それぞれ「PMA-SX1 LIMITED」「DCD-SX1 LIMITED」に進化した。デノンは世界に冠たる我が国の老舗オーディオメーカーである。前身の日本コロムビアを含めると1世紀以上の長い歴史があり、2020年には創業110周年を迎える。
同社がプリメインアンプを手がけ始めたのは1972年のこと。当初から高い技術力を有していたが、現在につながるアンプ技術が確立されたのは「POA-S1」というモノラルパワーアンプをリリースした1993年だと筆者は認識している。このモデルの開発を通じて得られた、終段の素子であるUHC-MOSをシングル・プッシュプルで使用する回路設計や、パーツをメカニカルにグラウンディングさせる手法は、現在のプリメインアンプ群でも踏襲されている。
デジタルディスク・プレーヤーに関してもデノンの歴史は長く、1983年には放送局用の据え置き型CDプレーヤー「DN-3000FC」をリリースし、CDの普及に大きく貢献した。現在のプレーヤーの流れを作ったのは2010年にリリースした「DCD-SX」である。このモデルはSACDプレーヤーとして機能するのみならず、高度なアップサンプリング機能を装備しており、通常のCDからハイレゾを思わせる滑らかな再生音を得られるのが大きな特徴だった。
■山内サウンドマネージャーが4年をかけ、最高級機をさらに磨き上げた
「PMA-SX1」と「DCD-SX1」の立ち位置を確認しておこう。両モデルはデノンブランドの最高級品として企画され、後者が2013年に、前者が2014年にリリースされた。両モデルの大きな特徴は、必ずしもスペックにこだわらず、ひたすらに高音質を目指したことだ。
PMA-SX1の出力は50W×2(8Ω)。この数字はすぐ下のモデルである「PMA-SX11」(110W×2)の半分以下である。しかしながら回路を全段フルバランスとしたり、トーンコントロールやバランス調整回路、プリアウトを省いたり、超高級パーツを投入したりするなど、質にこだわった製品作りがなされている。
また、電子式音量調整回路が主流になっている今日にあって、バッファー段を省略できるアナログ式音量調整回路にこだわっていることも見逃せない。DCD-SX1は開発時期が早かったこともあって、USB入力はDSD 11.2MHzまでのフルスペックではないのだが、アマチュアのリスナーが楽しんで使用するうえではほとんど問題にならないというのが筆者の見解である。
“SX1 LIMITED”は同社のサウンドマネージャー、山内慎一氏が4年の歳月をかけて作り上げたものだ。山内氏がサウンドマネージャーに就任したのは両モデルのオリジナルが世に出た後の2015年のこと。当初は研究のつもりでパーツの変更が及ぼす音質改善効果を探っていたそうだが、途中から発売予定の製品開発という扱いになったという。
両モデルともオリジナルから基本的な設計に変更はないものの、カスタムメイドの電解コンデンサーやA7075超々ジュラルミン製のトップパネルと脚部などといったスペシャルなパーツが加えられた。山内氏は“VIVID&SPACIOUS”という言葉をキーワードとして音作りを進めたという。おそらくは躍動感と音場感を重視したチューニングを行ったのだろう。
デノンのプリメインアンプ「PMA-SX1」とSACDプレーヤー「DCD-SX1」が、それぞれ「PMA-SX1 LIMITED」「DCD-SX1 LIMITED」に進化した。デノンは世界に冠たる我が国の老舗オーディオメーカーである。前身の日本コロムビアを含めると1世紀以上の長い歴史があり、2020年には創業110周年を迎える。
同社がプリメインアンプを手がけ始めたのは1972年のこと。当初から高い技術力を有していたが、現在につながるアンプ技術が確立されたのは「POA-S1」というモノラルパワーアンプをリリースした1993年だと筆者は認識している。このモデルの開発を通じて得られた、終段の素子であるUHC-MOSをシングル・プッシュプルで使用する回路設計や、パーツをメカニカルにグラウンディングさせる手法は、現在のプリメインアンプ群でも踏襲されている。
デジタルディスク・プレーヤーに関してもデノンの歴史は長く、1983年には放送局用の据え置き型CDプレーヤー「DN-3000FC」をリリースし、CDの普及に大きく貢献した。現在のプレーヤーの流れを作ったのは2010年にリリースした「DCD-SX」である。このモデルはSACDプレーヤーとして機能するのみならず、高度なアップサンプリング機能を装備しており、通常のCDからハイレゾを思わせる滑らかな再生音を得られるのが大きな特徴だった。
■山内サウンドマネージャーが4年をかけ、最高級機をさらに磨き上げた
「PMA-SX1」と「DCD-SX1」の立ち位置を確認しておこう。両モデルはデノンブランドの最高級品として企画され、後者が2013年に、前者が2014年にリリースされた。両モデルの大きな特徴は、必ずしもスペックにこだわらず、ひたすらに高音質を目指したことだ。
PMA-SX1の出力は50W×2(8Ω)。この数字はすぐ下のモデルである「PMA-SX11」(110W×2)の半分以下である。しかしながら回路を全段フルバランスとしたり、トーンコントロールやバランス調整回路、プリアウトを省いたり、超高級パーツを投入したりするなど、質にこだわった製品作りがなされている。
また、電子式音量調整回路が主流になっている今日にあって、バッファー段を省略できるアナログ式音量調整回路にこだわっていることも見逃せない。DCD-SX1は開発時期が早かったこともあって、USB入力はDSD 11.2MHzまでのフルスペックではないのだが、アマチュアのリスナーが楽しんで使用するうえではほとんど問題にならないというのが筆者の見解である。
“SX1 LIMITED”は同社のサウンドマネージャー、山内慎一氏が4年の歳月をかけて作り上げたものだ。山内氏がサウンドマネージャーに就任したのは両モデルのオリジナルが世に出た後の2015年のこと。当初は研究のつもりでパーツの変更が及ぼす音質改善効果を探っていたそうだが、途中から発売予定の製品開発という扱いになったという。
両モデルともオリジナルから基本的な設計に変更はないものの、カスタムメイドの電解コンデンサーやA7075超々ジュラルミン製のトップパネルと脚部などといったスペシャルなパーツが加えられた。山内氏は“VIVID&SPACIOUS”という言葉をキーワードとして音作りを進めたという。おそらくは躍動感と音場感を重視したチューニングを行ったのだろう。