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PR脱ビギナーに推したい、ワンランク上のモデル

オーディオテクニカのプレーヤーで充実のアナログオーディオライフを。「AT-LP8X」の魅力を紐解く

公開日 2024/10/03 06:30 小原由夫
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世界的なアナログレコード復権の中で、比較的堅調なセールスを示しているのが、数万円で購入できるビギナー向けのエントリーモデルである。そのカテゴリーに属するモデルでも、レコードならではの音の魅力は充分に味わえることはもちろんだが、コスト的な制限、あるいは初心者向け機能を重視した反動として、本格設計・仕様の難しさ等を伴うこともまた現実である。

そうしたニーズ、つまりエントリー向けモデルでは飽き足らないビギナー卒業派、あるいは以前にキャリアを積んだ “アナログ再エントリー” のシニア層には、10万円を若干オーバーした脱エントリー/準本格モデルを推したいところ。今回紹介するオーディオテクニカの新製品「AT-LP8X」は、下位モデル「AT-LP7」に対し、アナログオーディオ/レコード周りの最新動向を加味して音質/操作性の向上が図られたモデルに仕上がっている。

「AT-LP8X」:税込143,000円

■本格的なレコード再生を追求した「質実剛健」な仕様の数々



AT-LP8Xは、この価格帯としては貴重なダイレクトドライブ方式を採用。同じ価格帯の一般的なベルトドライブ機と比べて、規定回転の立ち上がりが早く、停止も瞬時。なおかつDCサーボモーター駆動ダイレクトドライブ型ならではの安定、かつ正確な回転性能がセールスポイント。しかも78回転に対応しているので、古いSP盤等の再生も叶う。

以下に本機の本格仕様を列挙してみると、筐体脚部にはコムダンパーを装備し制振性を確保。プラッターもアルミダイキャスト製とすることで振動対策を徹底している。キャビネットは16mm厚MDF製ボックス構造となっており、堅牢性はまったく問題ない。

トーンアームはジンバルサポートタイプのユニバーサル型で、カートリッジ(ヘッドシェル込み)の付け替えも容易。重量級カートリッジ(本機の最大適合質量は23.5g)にも対応するサブウェイトが付属する。なお、付属ヘッドシェルは新型のアルミダイキャスト製「AT-LT10」で、リード線にはOFC(無酸素銅)を採用している点が見逃せない。また、カートリッジは同社独自のVM型「AT-VM95E BK」が付属。ベーシックな接合楕円針を採用したもので、互換性のある針先の純正交換針に入れ替えることで、好みのサウンドを追求できる点もセールスポイントだ。

ジンバルサポートタイプのユニバーサル型トーンアームを装備

33回転/45回転の再生のほか、78回転にも対応

併せて、付属電源ケーブルが3Pインレットタイプなので市販電源ケーブルと交換することができ、ここでも好みの音質やグレードアップが可能となっている。

他方、使い勝手にも工夫が盛り込まれた。オートストップ機能が内蔵されているのだ。具体的には、レコード再生が終わるとトーンアームが上がり、プラッターが自動停止する。うっかり音楽を聴きながら気持ち良くて寝てしまったという場合でも、ハード/ソフトを傷めることはない(同機能のオフも選択できる)。また、トーンアームの昇降をレバー式リフターでなくボタン式としたため、不意の事故も起きにくい仕様といえる。

筐体の背面部。電源部は3Pインレットタイプを採用。市販ケーブルとの付け替えも楽しめるほか、オートストップの切り替えスイッチを備える

なお、下位モデルAT-LP7にあったフォノイコライザー回路の内蔵は本機では見送られた。この辺りも、より本格的なレコード再生を目指すならば、よりベターな仕様といっていいだろう。

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