PRノイキャン搭載など大進化を遂げた「ZE3000」後継機をレビュー
日本発、高コスパイヤホン新本命。final「ZE3000SV」は機能充実、そして何より音が良い!
finalは「いい音」に妥協を許さない職人気質な日本のオーディオメーカーだ。様々な価格帯でイヤホン・ヘッドホンの名機を産んできたfinalが、満を持して初の完全ワイヤレスイヤホン「ZE3000」を商品化したのは2021年の秋だった。
先行するオーディオブランドよりも少し遅れて、「完全ワイヤレスイヤホンブーム」の市場が十分に温まるまで機を待った理由も「いい音」にこだわり抜いたからだ。finalが中途半端なプロダクトを世に送り出すことはブランドの名前を傷つけるだけでなく、世界のオーディオファイルが憧れる「Made in Japanの高品質」への期待を裏切ることになる。そんなストイックな思いを抱きながら、当時finalのエンジニアたちはZE3000を丁寧に開発してきたのかもしれない。
結果、finalのZE3000は、音質・装着感・デザインともに上質な完全ワイヤレスイヤホンとして大きな成功を収めた。筆者がこのレポートを書いている11月中旬時点も、本機はまだfinalの現行モデルとして好評発売中だ。聞けば約3年間に8万台を越えるユニットを売り上げたという、完全ワイヤレスイヤホンのモンスター級ヒットモデルの後継機、「ZE3000SV」が遂に登場する。
ZE3000SVはZE3000の成功をベースに、finalがさらに肉付けをした1万円台のプレミアムエントリーモデル。筐体をさらに小さく・軽くしながら、サウンドはハイレゾ対応の高音質オーディオコーデックであるLDACをサポート。そしてサウンドへの影響を回避しながら、静寂なリスニング空間を実現するハイブリッド方式のアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載した。ほか、ZE3000の良いところはほぼすべて受け継いだ。
finalはイヤホン・ヘッドホンの心臓部であるドライバーを、自社で設計・開発することにこだわってきた。ZE3000SVにも本機に最適化した新しいダイナミック型のドライバー「f-Core SV」を搭載する。
本機のような1万円台のワイヤレスイヤホンの場合、通常は部品単位の製造を手がけるOEMメーカーが用意したドライバーを土台にして、ソフトウェアによるチューニングを重ねてブランド独自の音に色づけしていくものだ。
しかしfinalには、有線イヤホンの開発により培ってきた豊かなノウハウがある。その知見を活かした独自のドライバー「f-Core for Wireless」を搭載したZE3000は、当時同価格帯のワイヤレスイヤホンが描けなかった鮮やかなサウンドを再現してみせた。
ZE3000SVのドライバー「f-Core SV」は振動板の口径を前世代機の6ミリから10ミリに大きくしている。ZE3000が特徴とする芯が強くしなやかなサウンドに、いっそうの柔らかさと温かみが加わった。音質については後ほどまた触れたい。先に高音質を向上するためにfinalが取り組んだ筐体構造の改革を説明する。
ZE3000SVは前世代のモデルよりもイヤホン本体、充電ケースがともに大幅な小型化を達成している。伴って高音質化と装着性能の改善を果たす目的で、finalがいくつかの技術にチャレンジした。
大型化したドライバーの性能を引き出し、特に小さな筐体で充実した低音を再現するために内部音響空間の圧力制御を最適化。イヤホン本体のエンクロージャーにはベンチレーションポート(通気孔)をドライバーユニットの前後2箇所に設けて背圧を逃がす「デュアルf-LINKポート」がある。
ワイヤレスイヤホンはユーザーが屋外で使ったり、本体が汗ぬれすることなど考慮して設計しなければならないポータブルオーディオデバイスだ。内部の気密性を高めるためには、筐体外部に通気孔を空けることが難しくなる。ところが通気孔のないイヤホンのサウンドは高域・低域のバランスが崩れやすい。
finalではZV3000の開発時に実現した「f-LINK ダンピング機構」により、筐体外部に通気孔を設けることなく内部圧力を最適化する技術を開発した。新機種のZE3000SVではさらに設計をブラッシュアップした結果、IPX4の防滴性能を確保したままクリアでキレのあるサウンドを実現できた。
finalが有線イヤホンのデザインから確立してZE3000に踏襲した「筐体の3点保持」は、いっそう小さくなったZE3000SVの筐体に合わせてブラッシュアップされている。耳のポケット(外耳の後頭部側)、耳珠(顔側にある軟骨が張り出している部分)と、耳穴の中でグリップするイヤーピースによる3点保持だ。コンパクトな筐体が外耳にゴツゴツとあたることがないため、おそらく本機を試着した多くの方々が優しい装着感に満足すると思う。
本機にはfinalが開発した完全ワイヤレスイヤホン専用ショートタイプのイヤーピース 「TYPE E」が付属している。左右の耳のサイズに合うイヤーピースを選び、イヤホンを少し反時計回りに回転させながら耳に深く挿入すると、多少身体を激しく動かしてもビクともしないほどに装着が安定する。筐体の背丈も低いのでイヤホンが耳から飛び出して見えることもない。
ゆえに、イヤホンを正しく装着するだけでパッシブな遮音効果が十分に高められる。音楽を再生しない状態のままでも、仕事や読書などに集中する目的で耳栓として高い効果を発揮した。ほか、2台のデバイスに接続できる「マルチポイント」や「低遅延ゲームモード」、専用アプリから調整できる7バンドイコライザーなど、機能面の充実ぶりもポイントだ。
先行するオーディオブランドよりも少し遅れて、「完全ワイヤレスイヤホンブーム」の市場が十分に温まるまで機を待った理由も「いい音」にこだわり抜いたからだ。finalが中途半端なプロダクトを世に送り出すことはブランドの名前を傷つけるだけでなく、世界のオーディオファイルが憧れる「Made in Japanの高品質」への期待を裏切ることになる。そんなストイックな思いを抱きながら、当時finalのエンジニアたちはZE3000を丁寧に開発してきたのかもしれない。
結果、finalのZE3000は、音質・装着感・デザインともに上質な完全ワイヤレスイヤホンとして大きな成功を収めた。筆者がこのレポートを書いている11月中旬時点も、本機はまだfinalの現行モデルとして好評発売中だ。聞けば約3年間に8万台を越えるユニットを売り上げたという、完全ワイヤレスイヤホンのモンスター級ヒットモデルの後継機、「ZE3000SV」が遂に登場する。
■final印の人気完全ワイヤレスに後継機登場! 音響・機能・デザイン全てが進化した「ZE3000SV」
ZE3000SVはZE3000の成功をベースに、finalがさらに肉付けをした1万円台のプレミアムエントリーモデル。筐体をさらに小さく・軽くしながら、サウンドはハイレゾ対応の高音質オーディオコーデックであるLDACをサポート。そしてサウンドへの影響を回避しながら、静寂なリスニング空間を実現するハイブリッド方式のアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載した。ほか、ZE3000の良いところはほぼすべて受け継いだ。
finalはイヤホン・ヘッドホンの心臓部であるドライバーを、自社で設計・開発することにこだわってきた。ZE3000SVにも本機に最適化した新しいダイナミック型のドライバー「f-Core SV」を搭載する。
本機のような1万円台のワイヤレスイヤホンの場合、通常は部品単位の製造を手がけるOEMメーカーが用意したドライバーを土台にして、ソフトウェアによるチューニングを重ねてブランド独自の音に色づけしていくものだ。
しかしfinalには、有線イヤホンの開発により培ってきた豊かなノウハウがある。その知見を活かした独自のドライバー「f-Core for Wireless」を搭載したZE3000は、当時同価格帯のワイヤレスイヤホンが描けなかった鮮やかなサウンドを再現してみせた。
ZE3000SVのドライバー「f-Core SV」は振動板の口径を前世代機の6ミリから10ミリに大きくしている。ZE3000が特徴とする芯が強くしなやかなサウンドに、いっそうの柔らかさと温かみが加わった。音質については後ほどまた触れたい。先に高音質を向上するためにfinalが取り組んだ筐体構造の改革を説明する。
ZE3000SVは前世代のモデルよりもイヤホン本体、充電ケースがともに大幅な小型化を達成している。伴って高音質化と装着性能の改善を果たす目的で、finalがいくつかの技術にチャレンジした。
大型化したドライバーの性能を引き出し、特に小さな筐体で充実した低音を再現するために内部音響空間の圧力制御を最適化。イヤホン本体のエンクロージャーにはベンチレーションポート(通気孔)をドライバーユニットの前後2箇所に設けて背圧を逃がす「デュアルf-LINKポート」がある。
ワイヤレスイヤホンはユーザーが屋外で使ったり、本体が汗ぬれすることなど考慮して設計しなければならないポータブルオーディオデバイスだ。内部の気密性を高めるためには、筐体外部に通気孔を空けることが難しくなる。ところが通気孔のないイヤホンのサウンドは高域・低域のバランスが崩れやすい。
finalではZV3000の開発時に実現した「f-LINK ダンピング機構」により、筐体外部に通気孔を設けることなく内部圧力を最適化する技術を開発した。新機種のZE3000SVではさらに設計をブラッシュアップした結果、IPX4の防滴性能を確保したままクリアでキレのあるサウンドを実現できた。
finalが有線イヤホンのデザインから確立してZE3000に踏襲した「筐体の3点保持」は、いっそう小さくなったZE3000SVの筐体に合わせてブラッシュアップされている。耳のポケット(外耳の後頭部側)、耳珠(顔側にある軟骨が張り出している部分)と、耳穴の中でグリップするイヤーピースによる3点保持だ。コンパクトな筐体が外耳にゴツゴツとあたることがないため、おそらく本機を試着した多くの方々が優しい装着感に満足すると思う。
本機にはfinalが開発した完全ワイヤレスイヤホン専用ショートタイプのイヤーピース 「TYPE E」が付属している。左右の耳のサイズに合うイヤーピースを選び、イヤホンを少し反時計回りに回転させながら耳に深く挿入すると、多少身体を激しく動かしてもビクともしないほどに装着が安定する。筐体の背丈も低いのでイヤホンが耳から飛び出して見えることもない。
ゆえに、イヤホンを正しく装着するだけでパッシブな遮音効果が十分に高められる。音楽を再生しない状態のままでも、仕事や読書などに集中する目的で耳栓として高い効果を発揮した。ほか、2台のデバイスに接続できる「マルチポイント」や「低遅延ゲームモード」、専用アプリから調整できる7バンドイコライザーなど、機能面の充実ぶりもポイントだ。
次ページノイキャン性能も好感触。音を聴いた山本氏はため息をついた