公開日 2018/06/25 08:05
予算10万円以内でここまで良い音が楽しめる! 評論家5名がおすすめオーディオシステムを提案
多彩な「いい音」が見つかる
選定:岩井喬
オーディオの醍醐味を味わえる、ハイレゾ相当のオールレンジシステム
・USB-DAC
iFi audio「nano iONE」¥27,000(税抜)
・プリメインアンプ
CAMBRIDGE AUDIO「Topaz AM5」 ¥19,880(税抜)
・スピーカーシステム
YAMAHA「NS-B330」¥43,000(税抜)/ペア
>>合計:¥89,880(税抜)
10万円でどれだけの優れたアイテムを揃えることができるか、かなり難しい課題であるが、ハイレゾ音源の数も増え、低価格でもそのクラス以上の性能を持つモデルも多いこともあり、今回はスピーカーを中心としたコンポーネントを選んでみた。
昨今はUSB-DACを内蔵するアクティブスピーカーも増えており、魅力的な選択肢だが、振動する筐体の問題やキャビネット内構造など課題となる点も多い。アクティブスピーカーで多機能を望むと価格も高くなるため、10万円以内となると逆に旧来のコンポーネントスタイルでシステムを組んだ方が良いのではないかと考えた。PCが手元にあるという前提から、ソース源を繋ぐのは予算配分の点でもUSB-DAC、もしくはUSB入力付きアンプが良いと考え、選考に当たった。
まず音の出口であるスピーカーには素性の良いものを選びたい。そこで先にスピーカーありきで考え、コストパフォーマンスの高さ、空間表現、質感再現性に優れるヤマハ「NS-B330」を選んだ。以前ヤマハのエントリークラス機だけで組んだシステムのレポートをお届けしたが(関連ニュース)、そこでもサイズ以上に広大な音場に加え、スッキリと女性ボーカルを艶良く表現してくれた。ハイレゾ対応の指標以上である45kHzまでの広帯域再生が可能であり、その仕上げに関してもペアで税抜43,000円(現在の市場価格ではもっと下がっているが)という価格を感じさせない上品さを持つ。
続くプリメインアンプの選定には多少苦戦を強いられたが、ハイレゾ対応のスペックを重視するならば、192kHz/24bit・PCM&5.6MHz・DSD対応USB入力やaptXコーデックにも対応したBluetooth接続機能を備える小型D級アンプ、ティアック『AI-301DA-SP』という選択肢でシステムが完結する。しかし、周波数特性の上限値にこだわらないのであれば、アナログアンプならではの伸びやかさ、価格面でのメリットからケンブリッジオーディオ「Topaz AM5」を選びたい。
ハイレゾ音源の空間再生をテーマに掲げていることもあり、AM5における周波数特性のスペック上限値が30kHzまでのため、選択においては迷いもあったが、トランスデューサーほど数値がシビアに反映しにくい分野でもあり、ゆったりと様々なジャンルの音楽を楽しめる、伸び良いナチュラルな気風というところでAM5を選ぶことにした。あとは税抜19,800円という圧倒的なコストパフォーマンスの高さを最大限活用し、この後に選ぶUSB-DACに対して割り振りたいという思惑がある。
そして最後のUSB-DACにはiFi Audioの「nano iONE」を選んだ。USB入力は384kHz/32bit PCM、11.2MHz DSD対応という現在における理想的なスペックを持ちながら、登場時点で同社製品初のBluetooth対応機という点も面白い。高音質なaptXコーデックへも対応できることも魅力であり、ワイヤレス環境にも順応したシステムが構築できる。DSDネイティブ再生に当初からこだわってきた、ハイレゾ対応機の革命児的な存在であるiFi Audioの製品群は、リーズナブルな価格であってもその性能の高さは折り紙付き。10万円以下のシステムにおいては重要なウェイトを占める存在である。
本当の最後に、おまけ的に考えたシステム案も加えておきたい。NS-B330とAM5までは同じだが、USB-DACに同じiFi Audio「nano iDSD LE」(16,000円/税抜、関連ニュース)を選ぶと1万円近く余る。そこで1万円前後のハイレゾ対応ヘッドホンとしてバランスに優れたパナソニック「RP-HD5」(12,000円前後、関連ニュース)を選べば、スピーカーからヘッドホンまで、まんべんなく楽しめるシステムが構築できる。オーディオの醍醐味を味わえる、ハイレゾ相当のオールレンジシステムの完成だ。