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公開日 2019/11/23 16:44
ハイエンドスピーカーに連なるサウンドを追求

final、新フラグシップイヤホン「A8000」を約20万円で12/13発売。“トゥルーベリリウム振動板”搭載

編集部:成藤 正宣

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S’NEXTは、finalブランドのフラグシップイヤホン「A8000(FI-A8DSSD)」を、12月13日より発売する。価格は198,000円(税込)。本日同社が開催した発表会にて、同社代表の細尾 満氏からその詳細が解説された。

final「A8000」

A8000は、同社のフラグシップモデルとして開発期間に5年を要したというステンレス削り出しハウジングのダイナミック型イヤホン。最大の特徴は、ベリリウム箔を用いる「トゥルーベリリウム振動板」を採用した、「Truly Beryllium Dynamic Driver」(以下、トゥルーベリリウムドライバー)を搭載する点となる。

ベリリウムそのもので振動板を成形した「トゥルーベリリウム振動板」を搭載する

金属の中でも特に優れた剛性/伝搬速度/内部損失を備えるベリリウムは振動板の材質としても理想的だが、硬さと引き換えにもろさがあり、ベリリウムそのままを直に加工することは非常に難しい。そのためオーディオ製品では、これまでフィルムの表面に蒸着させる「ベリリウムコート振動板」のかたちで使われることが一般的だった。しかし、この手法ではコーティングされるフィルム側の物性が主体となってしまい、音質もその延長線上を出られない。

加工の難しさから、フィルムにコーティングするかたちで用いられることが多かったベリリウム。今回、ベリリウムそのものを振動板に加工し、優れた特性を引き出すことが可能となった

細尾氏によれば、同社は以前ODM事業において、素材メーカーと共同でヘッドホン向けベリリウム振動板の開発研究を行っていた実績があり、その際に得た知見がトゥルーベリリウム振動板の開発に活かされたのだという。同じくベリリウム加工のノウハウを積んだ素材メーカー側も、ヘッドホン/イヤホン向けに技術供給を行っているとのことで、細尾氏は「これからは他にもトゥルーベリリウム振動板を採用するメーカーが増えてくるのではないか」と述べていた。

S’NEXT代表 細尾氏

開発されたトゥルーベリリウムドライバーは非常に繊細な面を持ち、ハウジングの内部容積の違いが音質へ敏感に反映されてしまう。そのため、A8000内部は4分割の「テトラチャンバー構造」を採用。各部で何度も試作を繰り返し、内部容積を極めて高精度に最適化したという。

ハウジング内部を4分割する「テトラチャンバー構造」

また、ドライバーユニットはステンレス製のハウジングへダイレクトに取り付けられており、ステンレスの質量で不要振動を抑制。ドライバー後部は二重構造とすることで、容積の調節とともに音漏れも低減した。側面には低域の精度を安定させる開口部が設けられているが、ここからの音漏れもわずかだという。

ケーブルは1.2mのOFCシルバーコートケーブルで、MMCXで着脱が可能。耳に当たる部位に取り付けるイヤーフックはタッチノイズや異物感を軽減した新設計のものが同梱するほか、MMCX端子の着脱を容易にする器具「MMCX ASSIST」が付属し、安全かつ簡単にケーブル着脱ができる。

MMCXケーブルを簡単かつ安全に取り外す「MMCX ASSIST」

ケーブルに耳掛け用のカーブを付けるイヤーフックは、使いやすく装着感も良い新形状に

その他、ノズル部分のダストフィルターの予備が同梱し、汚れた際にユーザー自身で交換が可能。また、キャリーケースは同社従来製品に付属していたものと同じポケットに収まるデザインだが、外装が切削アルミに変更されており、内部にはハウジング同士がぶつからないよう仕切りも設けられた。

一見すると従来のシリコンケースと同じだが、外部がアルミ製となり、内部に仕切りも追加されている

感度は102dB/mW、インピーダンスは16Ω。質量は41g。

設計コンセプトは、ハイエンドスピーカーにも通じる“トランスペアレントな音”

細尾氏は、A8000のコンセプトについて「音楽を聴く高揚感をトランスペアレントな音で実現する」ことと説明する。

“トランスペアレントな音”の実現がA8000のコンセプト

トランスペアレント(Tranceparent)とは直訳すれば“透明な”という意味だが、あえて“透明感”と表現せず外語をそのまま使ったのは「“クリアな音”とは違う概念ということを強調するため」だと、細尾氏は次のように語った。

「海外の録音家やオーディオ評論では、空間に浮かぶような感覚の音、遠くに定位していても明瞭な音を“Tranceparent sound”などと表現する。例えば、空港のような音を聴くのに適さない環境でも、生の音とスピーカーから出た音とはすぐに判別がつくが、その差を生んでいるのが“トランスペアレントな音”の要素だと想像してほしい」

理想の特性を得るため、測定/分析方法から開発

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