公開日 2017/09/07 10:00
連続企画第一弾
BenQの4K DLPプロジェクター「HT9050」で観るUHD BD − そのベストな設定値を探る!
鴻池賢三
プロジェクターの世界的ブランドBenQ。ワールドワイドで高い認知度とシェアを獲得している理由は、先進性、クオリティーと価格を高い次元で両立し、ユーザーの支持を得てきたからに他ならない。
BenQと言えばDLPの雄で、DMDデバイスを供給するTI社との関係も深く、DLPの特性を活かした幅広いラインナップも魅力。ユーザーの用途や好みで選べるのも同社ならではだ。
当サイトでは、シリーズ記事で同社の「ホームシアタープロジェクター」シリーズを取り上げ、それぞれの画の特性を確認。話題のBD作品を用い、「A. プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整」と「B. 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整」を探って紹介してゆく。
第1回目は、4K対応でLED光源を採用したフラグシップモデル「HT9050」を検証していく。
■HT9050の特徴
本機はTHX HD認証を受けた4Kプロジェクター「HT8050」と多くの共通点を持ちつつ、LED光源を採用し、色域をDCI-P3相当に広げた最新モデル。DMDチップは415万画素(2,716×1,528)のマイクロミラーを備える0.66型で、画素ズラしにより830万画素相当の投写を実現。LCDタイプはフルHD(約214万画素)パネルを用いて4倍の解像度を得る製品が一般的なのに対し、本機はより高解像度のパネルを利用している点が特徴だ。
詳細は別途レビュー記事を参照いただきたいが、画質としては、HT8050のBT.709準拠に対し、本機はDCI-P3相当と広いのが特徴で、そうした色再現能力の高さをどう使いこなすかがポイントと言える。
■リファレンスとしたソフト紹介
映像調整の指針を明確にするために、取り上げたタイトルと理由を述べておこう。
まずは『レヴェナント:蘇えりし者』(UHD BD版)。映画作品の代表として選抜。理由は、自然の風景をナチュラルかつ高画質に収めた作品であり、記憶色と照合して判断できること。平均輝度が映画作品として標準的で、日没後の暗転シーンの見え方もポイントだ。美しく完成度の高い映像なので、制作者の意図を引き出すことを最優先にしたい。カメラはAlexa65でネイティブ4K撮影され、色域はDCI-P3(UHD BDの規格はBT.2020)。
続いては『宮古島』(UHD BD版)。数少ない60p収録作品。南国の明るい日差しで平均輝度が高く、制作者の意図として、空や海の青さ、緑の鮮やかさも強調されている。記憶色に近づけてナチュラルに映像に浸るか、制作者の意図を汲んでヴィヴィッドに色を楽しむか、2通りの楽しみが考えられる。撮影はCineAlta 4Kカメラ「F65」。
そして『君の名は。』(UHD BD版)。線画アニメ作品の代表として選抜。解像度面では、自然画のようなディテールはなく、グラデーションと輪郭線が特徴。本作品の場合、光を意識した映像美が魅力で、映像装置の性能や調整で、印象も大きく変わる。マスターはUHD BD版、BD版共に、1,920×1,080/RGB4:4:4/10bit/BT.709。
備考として、今回の視聴と調整は、限られた条件下で行ったもので、すべてのユーザーの視聴環境に必ずしも当てはまらない点を留意頂きたい。ちなみに視聴室は完全暗室で、スクリーンは100インチのマリブ。本記事では、読者が視聴環境に沿って応用できるよう、各調整項目と映像の変化の関連性も分かるよう心がけているので、各家庭で最適あるいは好みに仕上げて欲しい。
■作品視聴1.『レヴェナント:蘇えりし者』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
HT8050がBT.709に準拠したTHXモードを出荷時設定としているのに対し、本機は広色域の「DCI-P3」に設定されている。UHD BD版の本作品を再生するなら「DCI-P3」が正解だ。
シャープネスはデフォルト設定が「8」と、HT8050の「10」とは異なる。基準自体が異なる可能性も高いので、あくまでも参考だ。
本機では、シャープネスを「0」に設定すると、シュートの無いナチュラルでネイティブ4Kコンテンツと思わせる解像度の高い画が得られた。柔らかさも滲み出てくるかのようだ。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
「シネマ」モードを選択すると、基本の画調としてメリハリが加わり。自然さを損なわず奥行き感もアップできる。BenQの画作りの巧さがここに凝縮されているように思う。光源の「ライトモード」は、デフォルトで「省電力」(弱)に設定されているので「標準」に変更すると明るく画が力強くなる。
「ガンマ」は「2.2」から「2.4」にすると、よりコントラスト感を引き出せる。映画館では完全暗室を前提にガンマ2.6が標準だが、スクリーンサイズも違うので、ホームシアターでは「2.4」程度が好ましく、決して強調ではない。
本作品はDCI-P3で制作されているようだが、色味としては淡めのトーンなので、「カラーエンハンサー」で少し盛りたい。ただし、盛り過ぎると、血の赤が鮮血を通り越して朱色に転び、飛び出したように不自然になる。結論として「7」だと、血の刺激をアクセントとして表現しつつ、全編を通して不自然さが無く、ちょうど良い頃合いだ。
シャープネスは「0」にしてしまっても良いが、ヴィヴィッド方向に追い込んだカラーとバランスを取ると「3」で落ち着いた。
BenQと言えばDLPの雄で、DMDデバイスを供給するTI社との関係も深く、DLPの特性を活かした幅広いラインナップも魅力。ユーザーの用途や好みで選べるのも同社ならではだ。
当サイトでは、シリーズ記事で同社の「ホームシアタープロジェクター」シリーズを取り上げ、それぞれの画の特性を確認。話題のBD作品を用い、「A. プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整」と「B. 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整」を探って紹介してゆく。
第1回目は、4K対応でLED光源を採用したフラグシップモデル「HT9050」を検証していく。
■HT9050の特徴
本機はTHX HD認証を受けた4Kプロジェクター「HT8050」と多くの共通点を持ちつつ、LED光源を採用し、色域をDCI-P3相当に広げた最新モデル。DMDチップは415万画素(2,716×1,528)のマイクロミラーを備える0.66型で、画素ズラしにより830万画素相当の投写を実現。LCDタイプはフルHD(約214万画素)パネルを用いて4倍の解像度を得る製品が一般的なのに対し、本機はより高解像度のパネルを利用している点が特徴だ。
詳細は別途レビュー記事を参照いただきたいが、画質としては、HT8050のBT.709準拠に対し、本機はDCI-P3相当と広いのが特徴で、そうした色再現能力の高さをどう使いこなすかがポイントと言える。
■リファレンスとしたソフト紹介
映像調整の指針を明確にするために、取り上げたタイトルと理由を述べておこう。
まずは『レヴェナント:蘇えりし者』(UHD BD版)。映画作品の代表として選抜。理由は、自然の風景をナチュラルかつ高画質に収めた作品であり、記憶色と照合して判断できること。平均輝度が映画作品として標準的で、日没後の暗転シーンの見え方もポイントだ。美しく完成度の高い映像なので、制作者の意図を引き出すことを最優先にしたい。カメラはAlexa65でネイティブ4K撮影され、色域はDCI-P3(UHD BDの規格はBT.2020)。
続いては『宮古島』(UHD BD版)。数少ない60p収録作品。南国の明るい日差しで平均輝度が高く、制作者の意図として、空や海の青さ、緑の鮮やかさも強調されている。記憶色に近づけてナチュラルに映像に浸るか、制作者の意図を汲んでヴィヴィッドに色を楽しむか、2通りの楽しみが考えられる。撮影はCineAlta 4Kカメラ「F65」。
そして『君の名は。』(UHD BD版)。線画アニメ作品の代表として選抜。解像度面では、自然画のようなディテールはなく、グラデーションと輪郭線が特徴。本作品の場合、光を意識した映像美が魅力で、映像装置の性能や調整で、印象も大きく変わる。マスターはUHD BD版、BD版共に、1,920×1,080/RGB4:4:4/10bit/BT.709。
備考として、今回の視聴と調整は、限られた条件下で行ったもので、すべてのユーザーの視聴環境に必ずしも当てはまらない点を留意頂きたい。ちなみに視聴室は完全暗室で、スクリーンは100インチのマリブ。本記事では、読者が視聴環境に沿って応用できるよう、各調整項目と映像の変化の関連性も分かるよう心がけているので、各家庭で最適あるいは好みに仕上げて欲しい。
■作品視聴1.『レヴェナント:蘇えりし者』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
HT8050がBT.709に準拠したTHXモードを出荷時設定としているのに対し、本機は広色域の「DCI-P3」に設定されている。UHD BD版の本作品を再生するなら「DCI-P3」が正解だ。
シャープネスはデフォルト設定が「8」と、HT8050の「10」とは異なる。基準自体が異なる可能性も高いので、あくまでも参考だ。
本機では、シャープネスを「0」に設定すると、シュートの無いナチュラルでネイティブ4Kコンテンツと思わせる解像度の高い画が得られた。柔らかさも滲み出てくるかのようだ。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
「シネマ」モードを選択すると、基本の画調としてメリハリが加わり。自然さを損なわず奥行き感もアップできる。BenQの画作りの巧さがここに凝縮されているように思う。光源の「ライトモード」は、デフォルトで「省電力」(弱)に設定されているので「標準」に変更すると明るく画が力強くなる。
「ガンマ」は「2.2」から「2.4」にすると、よりコントラスト感を引き出せる。映画館では完全暗室を前提にガンマ2.6が標準だが、スクリーンサイズも違うので、ホームシアターでは「2.4」程度が好ましく、決して強調ではない。
本作品はDCI-P3で制作されているようだが、色味としては淡めのトーンなので、「カラーエンハンサー」で少し盛りたい。ただし、盛り過ぎると、血の赤が鮮血を通り越して朱色に転び、飛び出したように不自然になる。結論として「7」だと、血の刺激をアクセントとして表現しつつ、全編を通して不自然さが無く、ちょうど良い頃合いだ。
シャープネスは「0」にしてしまっても良いが、ヴィヴィッド方向に追い込んだカラーとバランスを取ると「3」で落ち着いた。
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