公開日 2018/11/28 06:00
【特別企画】DAC/HPAを独立搭載した音質追求型モデル
オーディオテクニカの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」を聴く ー 独立DAC/アンプ搭載で音質追求
海上 忍
オーディオテクニカのSound Realityシリーズに登場した完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」は、接続安定性はもちろん、完全ワイヤレス方式ながらそのサウンドをとことん突き詰めたモデルだ。ATH-CKR7TWはなぜ革新的なのか、完全ワイヤレスイヤホンのこれまでの課題を踏まえつつ海上忍氏が分析した。
■完全ワイヤレスイヤホンの課題とトレンド
ATH-CKR7TWという製品の詳細を述べる前に、完全ワイヤレスイヤホンという製品の難しさについて、改めて説明しておきたい。各社から次々新製品が発売されるのは、売れ行き好調だからということももちろんあるが、山積される課題に新製品を出すことで答えているという側面もあるからなのだ。そしてその課題を解決するための技術トレンドも存在する。
課題のひとつは、通信性能/受信感度の向上。Bluetooth/A2DPが利用する2.4GHz帯は、Wi-Fiの一部規格でも利用されるなど混雑しやすく、スマートフォンの普及がそれに拍車をかけている。完全ワイヤレスイヤホンの場合、左右ユニットが頭部をまたぎ通信するというさらなる難問を突きつけられるため、通信性能/受信感度が製品の生命線を握るといっても過言ではない。
もうひとつは、Bluetooth SoC(System On Chip)の選択。受信感度はSoCの性能によって決まるが、親指大程度のユニットにドライバーや小型バッテリーとともに格納可能であることが絶対条件であり、サイズは重要。連続再生時間を延ばすには消費電力の少なさもポイントとなる。対応するコーデックもSoCによって決まる部分がある(たとえばaptX対応にはQualcomm製SoCが必須)ことから、どのメーカーのどの世代のSoCを採用するかは製品のキャラクターを左右するほどの一大事だ。
完全ワイヤレスやリケーブル製品を含むBluetoothイヤホン全体の新たなトレンドとして、「Bluetooth SoCとは独立したDAC/ヘッドホンアンプを搭載する」というものがある。そもそもからDACやヘッドホンアンプを内蔵しているBluetooth SoCとは別に、あえて高性能なDAC/ヘッドホンアンプを用意することで、ワンランク上の音を狙おうというものだ。必要十分な機能がコンパクトかつ効率的に集約されたSoCを否定するつもりはないが、増幅/出力段にこだわるアプローチはオーディオのいわば正攻法。サイズの制約が甚だしい完全ワイヤレスイヤホンでは難易度が高いものの、今後当方式を採用する製品が増えることは確かだろう。
■ハイエンドコンポの技術を完全ワイヤレスに
オーディオテクニカが満を持して発表した完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」は、前述したBluetoothイヤホン全体の課題と技術トレンドを意識した設計が光る。従来の完全ワイヤレスとは、設計コンセプトがひと味もふた味も違うのだ。
特筆すべきは、前述した「独立したDAC/ヘッドホンアンプの搭載」であり、ATH-CKR7TWは旭化成エレクトロニクス(AKM)製DAC&ヘッドホンアンプ「AK4375」を採用する。
約2.5mm四方というサイズのこのチップには、新開発の32ビット Advanced Audio DACとヘッドホンアンプ、非同期サンプリングレートコンバータ(SRC)の機能が含まれ、モバイル用途としては業界最高水準というTHD+N(全高調波歪み+ノイズ) -99dB、S/N比 110dBというスペックを達成。PLLと水晶発振器を内蔵、クロックジッター除去機能も装備されるなど、小粒ながら充実の機能を備えている。簡単にいえば、ハイエンドコンポで実績豊富なAKMの「VELVET SOUNDアーキテクチャー」の技術が、完全ワイヤレスイヤホンに持ち込まれたのだ。
■完全ワイヤレスイヤホンの課題とトレンド
ATH-CKR7TWという製品の詳細を述べる前に、完全ワイヤレスイヤホンという製品の難しさについて、改めて説明しておきたい。各社から次々新製品が発売されるのは、売れ行き好調だからということももちろんあるが、山積される課題に新製品を出すことで答えているという側面もあるからなのだ。そしてその課題を解決するための技術トレンドも存在する。
課題のひとつは、通信性能/受信感度の向上。Bluetooth/A2DPが利用する2.4GHz帯は、Wi-Fiの一部規格でも利用されるなど混雑しやすく、スマートフォンの普及がそれに拍車をかけている。完全ワイヤレスイヤホンの場合、左右ユニットが頭部をまたぎ通信するというさらなる難問を突きつけられるため、通信性能/受信感度が製品の生命線を握るといっても過言ではない。
もうひとつは、Bluetooth SoC(System On Chip)の選択。受信感度はSoCの性能によって決まるが、親指大程度のユニットにドライバーや小型バッテリーとともに格納可能であることが絶対条件であり、サイズは重要。連続再生時間を延ばすには消費電力の少なさもポイントとなる。対応するコーデックもSoCによって決まる部分がある(たとえばaptX対応にはQualcomm製SoCが必須)ことから、どのメーカーのどの世代のSoCを採用するかは製品のキャラクターを左右するほどの一大事だ。
完全ワイヤレスやリケーブル製品を含むBluetoothイヤホン全体の新たなトレンドとして、「Bluetooth SoCとは独立したDAC/ヘッドホンアンプを搭載する」というものがある。そもそもからDACやヘッドホンアンプを内蔵しているBluetooth SoCとは別に、あえて高性能なDAC/ヘッドホンアンプを用意することで、ワンランク上の音を狙おうというものだ。必要十分な機能がコンパクトかつ効率的に集約されたSoCを否定するつもりはないが、増幅/出力段にこだわるアプローチはオーディオのいわば正攻法。サイズの制約が甚だしい完全ワイヤレスイヤホンでは難易度が高いものの、今後当方式を採用する製品が増えることは確かだろう。
■ハイエンドコンポの技術を完全ワイヤレスに
オーディオテクニカが満を持して発表した完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」は、前述したBluetoothイヤホン全体の課題と技術トレンドを意識した設計が光る。従来の完全ワイヤレスとは、設計コンセプトがひと味もふた味も違うのだ。
特筆すべきは、前述した「独立したDAC/ヘッドホンアンプの搭載」であり、ATH-CKR7TWは旭化成エレクトロニクス(AKM)製DAC&ヘッドホンアンプ「AK4375」を採用する。
約2.5mm四方というサイズのこのチップには、新開発の32ビット Advanced Audio DACとヘッドホンアンプ、非同期サンプリングレートコンバータ(SRC)の機能が含まれ、モバイル用途としては業界最高水準というTHD+N(全高調波歪み+ノイズ) -99dB、S/N比 110dBというスペックを達成。PLLと水晶発振器を内蔵、クロックジッター除去機能も装備されるなど、小粒ながら充実の機能を備えている。簡単にいえば、ハイエンドコンポで実績豊富なAKMの「VELVET SOUNDアーキテクチャー」の技術が、完全ワイヤレスイヤホンに持ち込まれたのだ。