公開日 2021/02/17 06:40
本気のオーディオシステムを用意
実は高音質な「アンパンマンのマーチ」、800万円超のハイエンドオーディオで聴いてみた
工藤寛顕
皆さんのオーディオとの出会いはなんだっただろうか。家に置いてあった親のコンポ、お小遣いを貯めて買ったMDプレーヤーやiPod。今ならスマートフォンと答える人が大半を占めているかもしれない。
オーディオ機器を『音楽を聴くための物』として捉えていたところから、皆さんはどこかでそれ自体を『趣味』とするようになった(この記事を読んでいる人の9割9分がオーディオ好きだろうという推測の元に書いています)。オーディオを趣味とする、すなわち再生機器自体を趣味とすることは、音楽への関心の向け方が大きく変わると言ってもよい。音楽を単純なコンテンツとしてだけでなく、再生品質というベクトルを含めて楽しむようになるからだ。
初めて高品質なオーディオに触れた人がよく言う言葉に「聴こえなかった音が聴こえた」というものがある。楽曲の音源に込められていた本来の情報量をより多く再生できるようになることで、「ここでこんな音が鳴っていたんだ!」という発見があり、それがそのままオーディオを趣味とする楽しさに繋がっていく。逆に言えば、そこに気がつくまでに耳にしてきた音楽は、どれも本来の音にたどり着いていなかった可能性が高い。先ほどの言葉になぞらえるなら「聴こえるはずの音が聴こえていなかった」といったところか。事実、オーディオを趣味としてから、昔のCDを引っ張り出して聴いている・・・、そんな人も多いはずだ。
一方で、あまりにも昔の音楽、自分でCDなどを集め始めるより前の音楽については、なかなか振り返るのが難しかったり、そもそも振り返ろうと思い至らないかもしれない。
小学生の頃に流行ったヒットソングや、夢中になったゲームのサウンドトラック。果ては幼少期の児童向け番組やアニメの楽曲など、それらを『子供向けのカルチャー』として捉えてしまい、なかなか音楽として向き直る機会も少ないのではないだろうか。
子供のためのコンテンツというのは、必ずしも「子供だまし」であるとは限らない。むしろ、純真無垢な子供に届けるからこそ、シンプルかつ魅力に富んだものでなくてはならないのだ。大人が良いと思えないものを、子供が良いと思うべくもない。昨今の少女向けアニメや特撮、直近でいえば『PUI PUI モルカー』などの作品が大人にまで評価されているのも、ある種の必然といえよう。
前置きが長くなったが、今回僕が何の話をしたいのかというと、『それいけ!アンパンマン』である。もっというと、主題歌の『アンパンマンのマーチ』である。30年を超えるアンパンマンのアニメの歴史において、いつもその始まりを彩ってきた名曲。日本人の誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。
この『アンパンマンのマーチ』だが・・・実は、 “音が良い” ことでも知られている。1988年発表の古い楽曲ではあるものの、その優れた音質はオーディオ界隈でもたまに話題になったりするほどだ。つい先日もSNSで盛り上がっていたし、ここはひとつ、ハイエンド環境でアンパンマンのマーチを聴いてみた記事でも書くか・・・。
工藤(ライター) というわけで、超高音質なアンパンマンを聴きたいんです。
編集部 相変わらずよくわからない企画を持ってきますね。
工藤 今回は、最新のコンピレーションである『それいけ!アンパンマン ベストヒット'21』のCD音源を用意しました。こちらの音源を使って、レコメンドのような形でお届けできればと思いまして。
編集部 なるほど、企画の趣旨は理解しました。再生機器は何をお使いになりますか?
工藤 そうですね、やはり僕はポータブルオーディオ専門なので、手持ちの中で一番ハイエンドなDAPやイヤホンを・・・。
編集部 せっかくだったら、その『ポータブルオーディオ専門』という枠を飛び越えてみませんか?
工藤 え?
編集部 最高の環境をセッティングいたします。ぜひお越しください。(ブツッ! ツー…ツー…)
工藤 なんなんだ。
かくして、編集部にお邪魔することになった。一体何が待っているというのか?
■後日 音元出版 試聴室
編集部 お待ちしておりました。
工藤 え?
編集部 今回はDACにアキュフェーズの『DP-750(132万円)』、プリアンプに『C-3900(209万円)』、パワーアンプに『M-6200(99万円×2)』を用意しました。スピーカーはBowers & Wilkinsの『803 D3(148.5万円×2)』を組み合わせています。(価格はいずれも発表時/税込のもの)
工藤 夢?
編集部 雄大なスケールとダイナミックな躍動感で、アンパンマンの楽曲が持つ魅力を余すことなく引き出してくれることでしょう。
工藤 やべ〜〜〜。
総額にして800万円を超えるセットは、ことピュアオーディオの世界においては決して “最高額” の領域には無いものの、十分にハイエンドというべき構成だ。企画を提出した僕も僕だが、それを快諾した編集部も大概だ。完全に狂ってしまっている。僕は「引き返せないな」という覚悟を胸に、トランスポーターとして使用するMacBook Proを取り出した。
工藤 では、聴かせていただきます。
オーディオ機器を『音楽を聴くための物』として捉えていたところから、皆さんはどこかでそれ自体を『趣味』とするようになった(この記事を読んでいる人の9割9分がオーディオ好きだろうという推測の元に書いています)。オーディオを趣味とする、すなわち再生機器自体を趣味とすることは、音楽への関心の向け方が大きく変わると言ってもよい。音楽を単純なコンテンツとしてだけでなく、再生品質というベクトルを含めて楽しむようになるからだ。
初めて高品質なオーディオに触れた人がよく言う言葉に「聴こえなかった音が聴こえた」というものがある。楽曲の音源に込められていた本来の情報量をより多く再生できるようになることで、「ここでこんな音が鳴っていたんだ!」という発見があり、それがそのままオーディオを趣味とする楽しさに繋がっていく。逆に言えば、そこに気がつくまでに耳にしてきた音楽は、どれも本来の音にたどり着いていなかった可能性が高い。先ほどの言葉になぞらえるなら「聴こえるはずの音が聴こえていなかった」といったところか。事実、オーディオを趣味としてから、昔のCDを引っ張り出して聴いている・・・、そんな人も多いはずだ。
一方で、あまりにも昔の音楽、自分でCDなどを集め始めるより前の音楽については、なかなか振り返るのが難しかったり、そもそも振り返ろうと思い至らないかもしれない。
小学生の頃に流行ったヒットソングや、夢中になったゲームのサウンドトラック。果ては幼少期の児童向け番組やアニメの楽曲など、それらを『子供向けのカルチャー』として捉えてしまい、なかなか音楽として向き直る機会も少ないのではないだろうか。
子供のためのコンテンツというのは、必ずしも「子供だまし」であるとは限らない。むしろ、純真無垢な子供に届けるからこそ、シンプルかつ魅力に富んだものでなくてはならないのだ。大人が良いと思えないものを、子供が良いと思うべくもない。昨今の少女向けアニメや特撮、直近でいえば『PUI PUI モルカー』などの作品が大人にまで評価されているのも、ある種の必然といえよう。
前置きが長くなったが、今回僕が何の話をしたいのかというと、『それいけ!アンパンマン』である。もっというと、主題歌の『アンパンマンのマーチ』である。30年を超えるアンパンマンのアニメの歴史において、いつもその始まりを彩ってきた名曲。日本人の誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。
この『アンパンマンのマーチ』だが・・・実は、 “音が良い” ことでも知られている。1988年発表の古い楽曲ではあるものの、その優れた音質はオーディオ界隈でもたまに話題になったりするほどだ。つい先日もSNSで盛り上がっていたし、ここはひとつ、ハイエンド環境でアンパンマンのマーチを聴いてみた記事でも書くか・・・。
工藤(ライター) というわけで、超高音質なアンパンマンを聴きたいんです。
編集部 相変わらずよくわからない企画を持ってきますね。
工藤 今回は、最新のコンピレーションである『それいけ!アンパンマン ベストヒット'21』のCD音源を用意しました。こちらの音源を使って、レコメンドのような形でお届けできればと思いまして。
編集部 なるほど、企画の趣旨は理解しました。再生機器は何をお使いになりますか?
工藤 そうですね、やはり僕はポータブルオーディオ専門なので、手持ちの中で一番ハイエンドなDAPやイヤホンを・・・。
編集部 せっかくだったら、その『ポータブルオーディオ専門』という枠を飛び越えてみませんか?
工藤 え?
編集部 最高の環境をセッティングいたします。ぜひお越しください。(ブツッ! ツー…ツー…)
工藤 なんなんだ。
かくして、編集部にお邪魔することになった。一体何が待っているというのか?
■後日 音元出版 試聴室
編集部 お待ちしておりました。
工藤 え?
編集部 今回はDACにアキュフェーズの『DP-750(132万円)』、プリアンプに『C-3900(209万円)』、パワーアンプに『M-6200(99万円×2)』を用意しました。スピーカーはBowers & Wilkinsの『803 D3(148.5万円×2)』を組み合わせています。(価格はいずれも発表時/税込のもの)
工藤 夢?
編集部 雄大なスケールとダイナミックな躍動感で、アンパンマンの楽曲が持つ魅力を余すことなく引き出してくれることでしょう。
工藤 やべ〜〜〜。
総額にして800万円を超えるセットは、ことピュアオーディオの世界においては決して “最高額” の領域には無いものの、十分にハイエンドというべき構成だ。企画を提出した僕も僕だが、それを快諾した編集部も大概だ。完全に狂ってしまっている。僕は「引き返せないな」という覚悟を胸に、トランスポーターとして使用するMacBook Proを取り出した。
工藤 では、聴かせていただきます。
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