公開日 2022/01/07 06:30
【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞2022 グランプリ受賞
カーボン素材で軽さと振動抑制を徹底追及。ティグロンのアナログアクセサリーがもたらす未体験のレコード再生
鈴木 裕/井上千岳/生形三郎/小原由夫
ティグロンより発売されたレコードスタビライザー「BFA-CLAMP」とターンテーブルシート「BFA-MAT」。盤面を密着させることを徹底的に追求、機構や素材を吟味した上に完成したのが軽量仕様のアイテム。「オーディオアクセサリー銘機賞2022」にて最高栄誉の“グランプリ”を獲得している。ここではその効果を認め愛用する4人の評論家によるレポートをお届けしよう。
■軽量級プレーヤーにも適応できる画期的なアナログアクセサリー(鈴木)
着々と製品のラインナップを増やしつつ、技術的にも進化しているティグロン。ドイツのブラック・フォレスト・オーディオ社のゲルト・フォルカー・キューン氏。この両者が共同開発したアナログ関連のふたつの製品が独創的だ。スタビライザーとターンテーブルシートだが、作動原理や構造、素材自体が独自。軽量級のプレーヤーにも使える製品だ。
まずスタビライザーのBFA-CLAMP。本体はカーボン添加剤を調合した特殊な樹脂で、重量としては100g。そのまま通常のスタビライザーのようにレコードの上に置けば、レコードの音ミゾをスタイラスが辿ることによって発生するミクロ単位の振動をコントロール。さすがに音の変化量は限定的だが、カーボンを含んだ樹脂によって雑味が抑制され、見通しが良くなる。
しかしこの製品が本領を発揮するのはレコードをプラッターに載せる前に、スピンドルに付属のフェライトのリングをはめてからレコードを置き、センターのスピンドルピンにBFA-CLAMPをチャッキングして(くわえこんで)聴いた時だ。
力のかかり方としてはレコードのレーベル面の外周を押さえこむ形になっており、まず盤面のソリがかなり抑制される。また、それでも残る盤のミクロ単位の振動もコントロール。メーカーでは再生音の「ダイナミクスと(音の出る)タイミングを大幅に安定させる」と説明するが、ビニールという素材の付帯音をリジェクトしつつ、頭を押さえつけられたような重ったるさのない開放感や、伸びやかな空間の感じが出てくる。
ターンテーブルシートのBFA-MATの素材も独自だ。メーカーは「カーボンファイバー」という言葉を使っているが、表面は硬めの板状であるのに対して内部は細かい発泡構造となっており、これでプレーヤーのモーターやベアリングなどから発生する余分なエネルギーを「内部で熱に変換する」と説明する。
これだけで試すと、録音現場にあった空気感が見事に再現される印象で、サウンドステージの立体感も素晴らしい。SN感も上がるし、音像の輪郭がはっきりとしてくる。
■マスターを聴いているような未体験の世界をもたらす
BFA-CLAMPとBFA-MATを併用すると、音のクオリティの到達度がかなり高くなる。たとえば無伴奏ヴァイオリンの音色が、弦と弓の毛が擦れる成分や、木製の胴体が響いている感じなど複数の要素から成立している複雑な音だったことが聴こえてくる。あるいは、編成の大きなオーケストラを再生すると、メゾフォルテで叩いたシンバルの余韻なども抜けて聴こえてくるのだ。
印象としてはレコードと言うよりも元のマスターテープを聴いているような感じと言ってもいいかもしれない。同時に良質な低音感も持っていて、アナログレコードらしいという、ちょっと未体験の世界をもたらしてくれる。「オーディオアクセサリー銘機賞」でグランプリを授賞した所以である。
■軽量級プレーヤーにも適応できる画期的なアナログアクセサリー(鈴木)
着々と製品のラインナップを増やしつつ、技術的にも進化しているティグロン。ドイツのブラック・フォレスト・オーディオ社のゲルト・フォルカー・キューン氏。この両者が共同開発したアナログ関連のふたつの製品が独創的だ。スタビライザーとターンテーブルシートだが、作動原理や構造、素材自体が独自。軽量級のプレーヤーにも使える製品だ。
まずスタビライザーのBFA-CLAMP。本体はカーボン添加剤を調合した特殊な樹脂で、重量としては100g。そのまま通常のスタビライザーのようにレコードの上に置けば、レコードの音ミゾをスタイラスが辿ることによって発生するミクロ単位の振動をコントロール。さすがに音の変化量は限定的だが、カーボンを含んだ樹脂によって雑味が抑制され、見通しが良くなる。
しかしこの製品が本領を発揮するのはレコードをプラッターに載せる前に、スピンドルに付属のフェライトのリングをはめてからレコードを置き、センターのスピンドルピンにBFA-CLAMPをチャッキングして(くわえこんで)聴いた時だ。
力のかかり方としてはレコードのレーベル面の外周を押さえこむ形になっており、まず盤面のソリがかなり抑制される。また、それでも残る盤のミクロ単位の振動もコントロール。メーカーでは再生音の「ダイナミクスと(音の出る)タイミングを大幅に安定させる」と説明するが、ビニールという素材の付帯音をリジェクトしつつ、頭を押さえつけられたような重ったるさのない開放感や、伸びやかな空間の感じが出てくる。
ターンテーブルシートのBFA-MATの素材も独自だ。メーカーは「カーボンファイバー」という言葉を使っているが、表面は硬めの板状であるのに対して内部は細かい発泡構造となっており、これでプレーヤーのモーターやベアリングなどから発生する余分なエネルギーを「内部で熱に変換する」と説明する。
これだけで試すと、録音現場にあった空気感が見事に再現される印象で、サウンドステージの立体感も素晴らしい。SN感も上がるし、音像の輪郭がはっきりとしてくる。
■マスターを聴いているような未体験の世界をもたらす
BFA-CLAMPとBFA-MATを併用すると、音のクオリティの到達度がかなり高くなる。たとえば無伴奏ヴァイオリンの音色が、弦と弓の毛が擦れる成分や、木製の胴体が響いている感じなど複数の要素から成立している複雑な音だったことが聴こえてくる。あるいは、編成の大きなオーケストラを再生すると、メゾフォルテで叩いたシンバルの余韻なども抜けて聴こえてくるのだ。
印象としてはレコードと言うよりも元のマスターテープを聴いているような感じと言ってもいいかもしれない。同時に良質な低音感も持っていて、アナログレコードらしいという、ちょっと未体験の世界をもたらしてくれる。「オーディオアクセサリー銘機賞」でグランプリを授賞した所以である。
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