カーボン素材で軽さと振動抑制を徹底追及。ティグロンのアナログアクセサリーがもたらす未体験のレコード再生

■レコードだけのエネルギーが針先に伝わってくる（井上）

両者は併せて使うことで相乗効果を発揮するアイテムである。特にターンテーブルシートは、付帯音のない出方が印象に残る。アナログではどうかすると盤に接するものの響きが出やすいものだが、このシートではそういうことがほとんどない。むしろ素っ気ないくらいに余計な音がなく、レコード自体の音がじかに聴こえてくる印象がある。

ピアノなど高域に乗る余韻がていねいに整理されてタッチの芯が太く明瞭だし、室内楽は弦楽器の肉質感が厚い。オーケストラの瞬発的な力感も逡巡なく叩き出されて鮮烈である。

スタビライザーもこれに似て、不思議に無駄な余韻が収まっている。わずかに宙に浮いた形になるのが面白く、ほとんどレコードだけのエネルギーが針先に伝わっている感覚である。それでいて力が不足することはなく、やや重心の下がった厚手の質感が濁りなく引き出されている。ピアノのタッチはずっしりしているが透明だし、室内楽の弦楽器はハーモニーが弾力的だ。オーケストラも強靭で混濁がない。飾りのない出方である。

■スピーディーかつ鮮明なサウンドが得られる（生形）

BFA-MATは、内部に発泡構造をもったカーボンファイバー製となっており、再生時に生じる不要振動を熱エネルギーに変換する仕組みとなっている。その使用効果は、カーボンという素材からイメージする通り、実にスピーディーかつ鮮明なサウンドが得られるものだ。楽器の音像が驚くほど立体的かつ写実的に立ち現れる、実に爽快な音質効果だ。

BFA-CLAMPは、カーボン添加剤を調合した特殊樹脂素材で構成され、通常のスタビライザーとして使用できるほか、センターピンの長さが十分な場合は、チャッキングして圧力をかけて盤の反りを抑制することができる。スタビライザーとして使用すると、素材や100gという適度な重さの恩恵か、音楽再現の軽快さを損なわずに、歪み感が軽減される。さらに、チャッキングして使用すると、より高いS/N感と鮮明な音楽描写を得ることもできた。それぞれ単体での使用のほか、ぜひとも両者を組み合わせて楽しみしたいアクセサリーだ。

■組み合わせて使うとポテンシャルを120%発揮する（小原）

ティグロンが独ブラック・フォレスト社と共同開発したBFA-CLAMPとBFA-MAT、組み合わせて使うことでポテンシャルが120％発揮されるレコード用アクセサリーだ。使い始めて半年ほどになるが、私は日々そう実感している。

金属を利用した重量物で押さえ付けるよう考えられたこの手のアイテムが多い中で、この2モデルは非メタル系の軽量級だ。BFA-CLAMPはカーボン添加剤を調合した特殊合成樹脂系材料でできており、スピンドルにチャッキングした際のクランプ圧でレコードの反りを矯正する。樹脂系材料の内部損失とクランプによるダンピング性能に期待した設計と思われる。BFA-MATはレコード盤面上の微細な振動をカーボンファイバー製硬質発泡構造にて熱に変換・吸収する。

分解能のアップとS/N向上。エネルギーバランスの盤石な安定感が得られるのがセールスポイント。重くないのでプレーヤーの軸受けへの負担も少なく、安心して使える。

（提供：ティグロン）

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本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。