公開日 2024/09/21 11:00
ゼンハイザーのタラモア工場見学(1)
あの人気ヘッドホンはこう作られる! アイルランドのゼンハイザー工場に潜入した
編集部:平山洸太
「ゼンハイザー(Sennheiser)」というブランドは、イヤホンやヘッドホンが好きなユーザーであれば、ほぼ必ずといっていいほど耳にしたことがあるだろう。多くの “銘機” を世の中に送り出してきた同社であるが、それらの製品が、どこでどのように作られているかご存知だろうか?
実は同社のオーディファイル向け製品は、いずれもアイルランドのタラモアという町にある工場で作られている。しかも、音の要となるドライバー部分(トランスデューサー)から製品の組み立てにいたるまで、一つの工場内にて一気通貫で生産されているのだ。
今回記者は、このゼンハイザーのタラモア工場を見学する機会を得た。どのように作られていたか、なるべく詳しくお伝えできたらと思う。なお工場内は、ほぼ撮影禁止のため、記事内では公式提供の画像も含めて使用している。
まずはタラモア工場の概要について、簡単に触れていく。ここで作られているのはオーディオファイル製品であり、具体的にはヘッドホン「HD 800シリーズ」「HD 600シリーズ」、イヤホン「IE 900」「IE 600」、ヘッドホンアンプ「HDV 820」、そして1000万円級のエレクトロスタティック型ヘッドホンシステム「HE 1」(※日本未発売)となる。
タラモアの町は、アイルランドの首都であるダブリンから、車で1時間30分ほど西に移動した場所にある。ちなみに今回の経路では、成田空港からドバイ経由でダブリンまで約21時間。そこからバス移動となり、移動している時間だけでも丸一日近くかけてたどり着いたことになる。
ご存知の方も多いかと思うが、以前はHD 800シリーズおよびIE 900/600については、ドイツのハノーファーにある工場で組み立てられていた。2022年にゼンハイザーのコンシューマー部門をスイスのSonova社が買収したのをきっかけに、タラモア工場にすべて集約。今日では、上記のように多くのモデルがここで生産されている。
また上述の通り、トランスデューサーの生産もタラモア工場で行っているのも、大きな特徴だろう。1つの屋根の下でトランスデューサーと組み立てが行われることで、それぞれの間で細かい調整と連携が行える、というわけだ。
では、トランスデューサーの自動生産ラインを見ていこう。トランスデューサーを構成する要素としては、振動板、コイル、磁気回路、ハウジング、PCB基板など多くのパーツがある。この工場では、振動板の成形やコイルを巻く段階から行われている。
同社のトランスデューサーとしては、イヤホン用からヘッドホン用まで、SYS7、SYS10、SYS14、SYS32、SYS38、SYS40、SYS56という種類が用意されているという。これらのトランスデューサーが、それぞれの製品に合わせて採用されている。SYS40とSYS56がハンドメイド、それ以外は全自動の製造となる。
トランスデューサーは多くの工程から作られている。そして先にお伝えしておきたいのが、製造された全てのトランスデューサーの特性がチェックされているほか、各工程でもカメラ検査を重ねることで、厳しい品質を保っているとのことだ。
今回、SYS38の製造ラインを主に見学した。SYS38が作られるまでの大きな流れは、振動板を成形してコイルを接着し、これをシャーシに固定してからPCBにワイヤーを接続。そして特性がチェックされた後、クリアしたもののだけが完成品となる。詳細については順を追って説明していく。
実は同社のオーディファイル向け製品は、いずれもアイルランドのタラモアという町にある工場で作られている。しかも、音の要となるドライバー部分(トランスデューサー)から製品の組み立てにいたるまで、一つの工場内にて一気通貫で生産されているのだ。
今回記者は、このゼンハイザーのタラモア工場を見学する機会を得た。どのように作られていたか、なるべく詳しくお伝えできたらと思う。なお工場内は、ほぼ撮影禁止のため、記事内では公式提供の画像も含めて使用している。
HD 800やHD 600、IE 900などをトランスデューサーから製造
まずはタラモア工場の概要について、簡単に触れていく。ここで作られているのはオーディオファイル製品であり、具体的にはヘッドホン「HD 800シリーズ」「HD 600シリーズ」、イヤホン「IE 900」「IE 600」、ヘッドホンアンプ「HDV 820」、そして1000万円級のエレクトロスタティック型ヘッドホンシステム「HE 1」(※日本未発売)となる。
タラモアの町は、アイルランドの首都であるダブリンから、車で1時間30分ほど西に移動した場所にある。ちなみに今回の経路では、成田空港からドバイ経由でダブリンまで約21時間。そこからバス移動となり、移動している時間だけでも丸一日近くかけてたどり着いたことになる。
ご存知の方も多いかと思うが、以前はHD 800シリーズおよびIE 900/600については、ドイツのハノーファーにある工場で組み立てられていた。2022年にゼンハイザーのコンシューマー部門をスイスのSonova社が買収したのをきっかけに、タラモア工場にすべて集約。今日では、上記のように多くのモデルがここで生産されている。
また上述の通り、トランスデューサーの生産もタラモア工場で行っているのも、大きな特徴だろう。1つの屋根の下でトランスデューサーと組み立てが行われることで、それぞれの間で細かい調整と連携が行える、というわけだ。
全自動のトランスデューサー生産ライン
では、トランスデューサーの自動生産ラインを見ていこう。トランスデューサーを構成する要素としては、振動板、コイル、磁気回路、ハウジング、PCB基板など多くのパーツがある。この工場では、振動板の成形やコイルを巻く段階から行われている。
同社のトランスデューサーとしては、イヤホン用からヘッドホン用まで、SYS7、SYS10、SYS14、SYS32、SYS38、SYS40、SYS56という種類が用意されているという。これらのトランスデューサーが、それぞれの製品に合わせて採用されている。SYS40とSYS56がハンドメイド、それ以外は全自動の製造となる。
トランスデューサーは多くの工程から作られている。そして先にお伝えしておきたいのが、製造された全てのトランスデューサーの特性がチェックされているほか、各工程でもカメラ検査を重ねることで、厳しい品質を保っているとのことだ。
今回、SYS38の製造ラインを主に見学した。SYS38が作られるまでの大きな流れは、振動板を成形してコイルを接着し、これをシャーシに固定してからPCBにワイヤーを接続。そして特性がチェックされた後、クリアしたもののだけが完成品となる。詳細については順を追って説明していく。
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