公開日 2021/08/17 06:30
【SFP徹底研究】第3回 環境整備こそネットワークオーディオの命
ネットオーディオ、「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的? KLIMAX DSMで徹底検証!
秋山 真
■ネットワーク環境の整備こそ、ネットワークオーディオの命
最初から場違いなことを書くようだが、実は筆者はネットワークオーディオを実践していない。なぜなら、ネットワーク環境によって音質がガラガラ変わり、プレーヤー本来の実力を出せていないケースをあちこちで体験しているからだ。そのため、自宅ではローカルPCとUSB-DACを組み合わせた比較的クローズドなPCオーディオ環境でファイル再生を行っている。
しかし、全くネットワーク周りのノウハウを蓄積してこなかったのかというとそうではない。というのも、私のもう1つの主戦場でもある映像コンテンツの世界では、Netflixなどのサブスクリプションサービスが急速に普及し、あっという間にストリーミング再生が主流になってしまったからだ。しかし、普通に再生しただけではBDやUHDBDの足元にも及ばない貧弱な画質・音質であり、ビットレートの差を考慮したとしても、これはどげんかせんといかんと思った。そこで試したのが光メディアコンバーターを使ったLANの光アイソレーションだったのだが、これが驚くほど映像に効いた。
ところが音声は一長一短でイマイチぱっとしない。S/Nは良くなったけど、力感が減って全体的にこじんまりしたような……。理論的に間違ったことはしていないのに何故だろう。
今後はオーディオ再生でも、Amazon Music HDやApple Musicといったサブスクリプションサービスを本格的に導入していかなくてはならない。しかし、ネットワークオーディオは機器の実力もさることながら、周辺環境による影響があまりにも大きい。周辺環境をきちんと整えなければ、機器の本来の実力を発揮することは難しいのではないか、というのは長く私のテーマとしてあった。
そんな私の心を見透かしたかのように、PHILE WEB編集部から天使のような悪魔のお誘いがやってきた。「最高のネットワークプレーヤーを使ってネットワーク環境の実験をしてみませんか?」というのである。最高のネットワークプレーヤーとは、もちろんリンの新しい「KLIMAX DSM」のことだ。お値段も最高なれど音質はもっと最高という噂はあちこちから耳に入っていたが、そんな「KLIMAX DSM」を使ってネットワーク環境問題にシロクロつけられるなんて、マジ最高ではないか。二つ返事で快諾したのは言うまでもない。
■「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的?
今回は、かねてより話題になっている「光アイソレート」の実践である。これまでの連載をお読みになったかたはすでにご理解頂いていると思うが、“メタル”のLANケーブルではなく“光ファイバー”ケーブルを使うことで、ノイズの回り込みを防ぎ、音質改善が実現できるのではという考え方である。
しかし、それでは実際のオーディオシステムの「どこに」光アイソレートをかませるのが有効なのだろうか?ネットワークの上流か、あるいは再生機器に近い側のほうが効果が高いのか?
今回の実験では、SFPポートを搭載するDELAのネットワークハブ「S100」に加え、DELAのオプションセット「OP-S100」、SONOREのメディアコンバータ―「OpticalModule Deluxe」、それにオリオスペックオリジナルのメディアコンバーター(正確に言うと換装ケース)をさまざまな箇所につなぎこみ、効果を確認してみた。なお、光ファイバーケーブルは「シングルモード」と「マルチモード」の2種類があり、それぞれ対応するモジュールが必要となるが、今回は入手のしやすさも鑑み、2芯のマルチモードでテストを行っている。
【基本セッティング(1)】すべてメタルケーブルで接続
試聴室に入ると、威風堂々とした佇まいのKLIMAX DSMがスイッチングハブのDELA「S100」を経由して、サーバー(fidata「HFAS1-S10」)と接続されていた。LANケーブルは全て普通のメタルケーブルだ。これが今回の実験のデフォルト状態となる。
DELA S100(約15万円)は、以前にもBUFFALOブランドの汎用ハブ「BS-GS2016/A」(約3.6万円)と比較した経験があるが、そこには3.6万円と15万円のCDプレーヤーを聴き較べているような明確な音質差があって、ネットワーク機器にも電源や筐体といった高級オーディオ的なアプローチは有効だと確信するきっかけにもなった製品だ。
さっそくウォーミングアップを兼ねて様々な音源を矢継ぎ早に再生してみると、どれを聴いてもこの時点で十分に満足のいく音が出ている。もちろんKLIMAX DSMあってこその話なのだが、10年ひと昔とはよく言ったもので、私の頭の中のネットワークオーディオに対するネガティブなイメージは一瞬で消え失せた。
特に筆者の最近の愛聴盤であるテイラー・スウィフトの「Fearless (Taylor's Version)」のような優秀録音では、ニュアンスたっぷりの美音に聴き惚れてしまい取材目的を忘れてしまいそうだ。それでは困るので、今回のメインソースにはYOASOBIの「THE BOOK」を選ぶ。決して悪い録音ではないが、ハイエンドオーディオ的な視点で聴くと「もう少しこうだったら」と思える部分がなくもない。そのあたりの印象がどう変わっていくかがチェックポイントだ。その他にも全体の構成が掴みやすいジョン・メイヤーの「New Light」や、最低域の確認に最適なビリー・アイリッシュの「bud guy」も適宜織り交ぜながら試聴を進めた。
最初から場違いなことを書くようだが、実は筆者はネットワークオーディオを実践していない。なぜなら、ネットワーク環境によって音質がガラガラ変わり、プレーヤー本来の実力を出せていないケースをあちこちで体験しているからだ。そのため、自宅ではローカルPCとUSB-DACを組み合わせた比較的クローズドなPCオーディオ環境でファイル再生を行っている。
しかし、全くネットワーク周りのノウハウを蓄積してこなかったのかというとそうではない。というのも、私のもう1つの主戦場でもある映像コンテンツの世界では、Netflixなどのサブスクリプションサービスが急速に普及し、あっという間にストリーミング再生が主流になってしまったからだ。しかし、普通に再生しただけではBDやUHDBDの足元にも及ばない貧弱な画質・音質であり、ビットレートの差を考慮したとしても、これはどげんかせんといかんと思った。そこで試したのが光メディアコンバーターを使ったLANの光アイソレーションだったのだが、これが驚くほど映像に効いた。
ところが音声は一長一短でイマイチぱっとしない。S/Nは良くなったけど、力感が減って全体的にこじんまりしたような……。理論的に間違ったことはしていないのに何故だろう。
今後はオーディオ再生でも、Amazon Music HDやApple Musicといったサブスクリプションサービスを本格的に導入していかなくてはならない。しかし、ネットワークオーディオは機器の実力もさることながら、周辺環境による影響があまりにも大きい。周辺環境をきちんと整えなければ、機器の本来の実力を発揮することは難しいのではないか、というのは長く私のテーマとしてあった。
そんな私の心を見透かしたかのように、PHILE WEB編集部から天使のような悪魔のお誘いがやってきた。「最高のネットワークプレーヤーを使ってネットワーク環境の実験をしてみませんか?」というのである。最高のネットワークプレーヤーとは、もちろんリンの新しい「KLIMAX DSM」のことだ。お値段も最高なれど音質はもっと最高という噂はあちこちから耳に入っていたが、そんな「KLIMAX DSM」を使ってネットワーク環境問題にシロクロつけられるなんて、マジ最高ではないか。二つ返事で快諾したのは言うまでもない。
■「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的?
今回は、かねてより話題になっている「光アイソレート」の実践である。これまでの連載をお読みになったかたはすでにご理解頂いていると思うが、“メタル”のLANケーブルではなく“光ファイバー”ケーブルを使うことで、ノイズの回り込みを防ぎ、音質改善が実現できるのではという考え方である。
しかし、それでは実際のオーディオシステムの「どこに」光アイソレートをかませるのが有効なのだろうか?ネットワークの上流か、あるいは再生機器に近い側のほうが効果が高いのか?
今回の実験では、SFPポートを搭載するDELAのネットワークハブ「S100」に加え、DELAのオプションセット「OP-S100」、SONOREのメディアコンバータ―「OpticalModule Deluxe」、それにオリオスペックオリジナルのメディアコンバーター(正確に言うと換装ケース)をさまざまな箇所につなぎこみ、効果を確認してみた。なお、光ファイバーケーブルは「シングルモード」と「マルチモード」の2種類があり、それぞれ対応するモジュールが必要となるが、今回は入手のしやすさも鑑み、2芯のマルチモードでテストを行っている。
【基本セッティング(1)】すべてメタルケーブルで接続
試聴室に入ると、威風堂々とした佇まいのKLIMAX DSMがスイッチングハブのDELA「S100」を経由して、サーバー(fidata「HFAS1-S10」)と接続されていた。LANケーブルは全て普通のメタルケーブルだ。これが今回の実験のデフォルト状態となる。
DELA S100(約15万円)は、以前にもBUFFALOブランドの汎用ハブ「BS-GS2016/A」(約3.6万円)と比較した経験があるが、そこには3.6万円と15万円のCDプレーヤーを聴き較べているような明確な音質差があって、ネットワーク機器にも電源や筐体といった高級オーディオ的なアプローチは有効だと確信するきっかけにもなった製品だ。
さっそくウォーミングアップを兼ねて様々な音源を矢継ぎ早に再生してみると、どれを聴いてもこの時点で十分に満足のいく音が出ている。もちろんKLIMAX DSMあってこその話なのだが、10年ひと昔とはよく言ったもので、私の頭の中のネットワークオーディオに対するネガティブなイメージは一瞬で消え失せた。
特に筆者の最近の愛聴盤であるテイラー・スウィフトの「Fearless (Taylor's Version)」のような優秀録音では、ニュアンスたっぷりの美音に聴き惚れてしまい取材目的を忘れてしまいそうだ。それでは困るので、今回のメインソースにはYOASOBIの「THE BOOK」を選ぶ。決して悪い録音ではないが、ハイエンドオーディオ的な視点で聴くと「もう少しこうだったら」と思える部分がなくもない。そのあたりの印象がどう変わっていくかがチェックポイントだ。その他にも全体の構成が掴みやすいジョン・メイヤーの「New Light」や、最低域の確認に最適なビリー・アイリッシュの「bud guy」も適宜織り交ぜながら試聴を進めた。