iPodのデジタル接続にも対応したハイコンポ“M38シリーズ”

本体にiPodデジタル接続対応USB端子も備える、コンパクトなCDチューナーアンプ「RCD-M38」と、スピーカーシステム「SC-M37」の組み合わせによるハイコンポ“M38シリーズ”。カラーバリエーションは「SC-M37」にブラック塗装のモデルが加わったことで、プレミアムシルバーとブラックの2パターンによるコーディネートが楽しめるようになった。

アンプとしての基本部分は、同社アンプ製品に共通する「ミニマムシグナルパス」設計を採用している。伝達経路を可能な限り単純化・最短化することで、音声信号の鮮度を保つ狙いだ。音調やダイナミクスにも大きな影響するノイズ対策にも注力。デジタル部とアナログ部の干渉を防ぐ分離設計が徹底されている。筐体はコンパクトだが、パワーアンプ出力は左右各30Wを確保。スピーカー端子も確実な接続が可能なネジ留め式と本格派だ。

そのスピーカーだが、シリーズモデルとして「SC-M37」が用意されている。同社の技術を活かしたブックシェルフ型であるので、普通に優秀なスピーカーであるが、ポイントがもうひとつある。RCD-M38にはSC-M37の特性に合わせたスピーカーオプティマイズ回路（専用フィルター）が用意されているのだ。両機を組み合わせる際にはこれをONにしたい。今回もこの条件で試聴した。

Jacintha「Lush Life」のシンバルは、少しきつめだが明るくてはっきりとした音色。音場全体も照明が強く見通しが良い。ボーカルの音像の大きさはちょうど適当で、定位も揺らぎがなく立ち姿がクリア。

Jimi Hendrix「Valleys Of Neptune」ではドラムスのアタック感が気持ちよい。ギターも硬質な音色で抜けが良く、全体に適度な粗さがむしろ良い。なお高域・低域のイコライザー調整とベースを強化するSDB、それらをバイパスするSOURCE DIRECTも用意。必要に応じて適用できる。

ソースをCDからiPodデジタルに変えると透明感を増し、音色や音場の立体感も高まる。シンバルは明るさをそのままに、きつさや雑味を薄れさせる。僕としてはこちらの方が好ましい。ちなみにiPodの操作は本体ディスプレイ＋リモコン、またはiPod側のどちらからも可能。リモコンに配置された「REMOTE/BROWESE」ボタンで切り替えられる。

デノンの高音質技術を小型筐体に詰め込んだ本機は、「大袈裟なオーディオシステムは遠慮したいけれど音楽はできるだけ良い音で聴きたい」という音楽ファンの願いに応えてくれるサウンドを達成している。

（text：高橋敦）