Part.4 イージー・トゥー・ユース

Part.4 ソフト
ファミリーシアターのソフトを考える

映像とは視覚の芸術のみならず、記憶の芸術でもあります。即ち、映像を一緒に見るということは記憶を共有することになります。しかし、映像には「毒」があります。しかも、ホームシアターでは「毒」の効果を倍増させる迫真に満ちた音響も伴い、さらに最近の高画質プロジェクターは極めてリアルな描写で「毒」を描きます。リアリティに満ちたホームシアターの映像を浴びた子供たちにとって、現実とバーチャルの境目がつきにくくなる可能性もあります。夏目漱石は「オセロ」でイアーゴを演じた役者を観客が殺してしまったエピソードを書いていますが、古今東西を問わず、現実とバーチャルを混同するケースはたいへん多い。ホームシアターを持つ親にとって、その点は見逃せないことでしょう。そこで、ここでは、'わが家の1枚'といった読者の方々のソフトを楽しむスタイルから、映像の「毒」を家族で見る場合、どこまで許容するかということまで、マジメに考えて見ます。