巻頭言

時はたまゆら / 和田光征 WADA KOHSEI


あけましておめでとうございます。

いよいよ2004年のスタートですが、2001年から2003年までの3年間の時の流れのなんと速かったことでしょうか。瞬く間だったように思えます。

何故、こんなにも速かったのか、一言で言えば政治、経済、社会すべてにおいて大変革の嵐が吹き荒れた激動の3年間だったからと思います。

企業は旧態を改革し、新たな価値の創造を求められました。中でも松下電器の中村社長による「破壊と創造」は象徴的だったと思います。中村社長のスタート時の記者会見では「ソニーに負けている」旨の質問が多くありました。その頃、ソニーはバイオ、プレイステーション、テレビ等々まさにひとり勝ちを謳歌していました。しかし、当時、私はAVCにおいては松下の方が優位にあったと認識していました。

この3年間、V商品による垂直立ち上げの実現をなし、復活の原動力になったのがAVC商品だったのです。2003年には「破壊」から「創造」へ確実に転換し、新生松下電器が完全に姿を現し、成長軌道をしっかりと歩み始めました。素晴しいの一言に尽きます。2004年の成長度合は晴々としたものであると想像に難くありません。

また、この3年間の業界を押し上げた大型デジタル商品の急成長もまた、あっという間に時間が流れ去った要因でもあると思います。薄型テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラは新三種の神器と言われ、デジタル機器は業界の未来を鮮やかに描き切ってくれています。

さて、小泉首相もこの3年間が政権運営の中核だったと思います。1年で3万人もの国民が生活苦で命を絶つところに小泉政権の特徴が表出しています。フセインが拘束され小泉政権に追い風等と言われていますが、経済は相変わらずデフレの傾向にあり、2004年も国民は不安を強いられていく、そんな思いがしてなりません。小泉政権は国民に不安ばかり強いてきました。このことも別の意味で3年間の時の流れを速めたように思います。

2001年から2003年はまさに陽数の3年間に相応しく恣ョ揩ナした。2004年から始まる3年間は陰数となり激しく動くというよりは、すべてにおいて整う方向、安定の方向へと向かうのではないでしょうか。流通の再編も最終コーナーへと整理整頓され、メーカーも勝ち組、負け組へと再編され、落ち着いていく、そんな思いがしてなりません。

この3年間の苦しみは、ユーザーのライフスタイルをすっかり変えてしまったように思います。それは決してマイナス方向ばかりではなく、高質なるライフスタイル、どちらかと言えばヨーロッパ型へと変質していったのではないでしょうか。安売りばかりで販売店が成立するのではなく、価値あるソフトウェアを駆使したスタイルの業態こそ、求められていると言えましょう。

真の顧客満足を根っこに置いた企業、業態が確実に勝利を収めていくのでははいでしょうか。

いずれにしても、2004年からの3年間、あっという間のことだろうと思います。まさに「明日の今日」的発想しか生き残れない、そんな時代が続きます。

いい年でありますように。

 

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