巻頭言

「VGP異聞」

和田光征
WADA KOHSEI

VGP、ビジュアルグランプリを創設して23年になる。業界の建設的発展に寄与する、という基本的な理念は脈々と水脈の如く流れ今日に至っており、その使命を完璧な形で果たしている。
 
業界が発展するということは、つくられたものが人々に渡り、そのことによって人々が豊かになるということである。何はともあれ、人々にいいものが確実に渡らないことには意味がない。そして、つくる人々が使う人々の豊かさを深く思いながら「ものづくり」をする、この基本的な本質の認識と実践が根本に必要なのだ。
 
商う人も、こうしたことを根底の思想として十分に理解し、商う店のこととしてのみ考えないことが、ものが正しく流通される要諦なのである。つくる人々が永遠に創造し続けることへの思い、使う人々への思いを、流通させる人々は深く理解し、値ごろをもって人々にお渡しすることである。
 
その流れが正しいかたちである時、業界は発展するのであり、その時業界にかかわる人々、メーカー、ディーラー、ユーザーの三位が一体となって繁栄していくのである。
 
その重要な橋渡しとしてメディアはあり、VGPが存在するのである。今並べたような背景をもって、しっかりと運営してきたが故に、VGPはスタンダードアワードとして確立したのである。
 
そのルールとして、まずメーカーにVGPへエントリーしていただくのだが、今回は約1000機種がエントリーされた。それをデータとしてまとめ、全国100近い審査店であるメガ量販や地域量販、専門店、そして審査委員に送付し、VGPにふさわしい機種をノミネートしていただく。この段階でエントリーされた機種は300機種ほどに集約され、各部門のビジュアルグランプリがまず選出される。そこからAVレビュー誌が誌上で金・銀・銅の三賞候補の選定結果を発表し、いよいよ審査会が開催される訳である。
 
そうした経緯を経て三賞が決まる。授賞数は、特別金賞3、金賞14、銀賞11、銅賞11。エントリーされた1000機種から、最終的に三賞として評価されたのは39機種ということだ。そこにはかなり厳しい関門があると言えまいか。
 
今回から、新たにVGPピュアオーディオグランプリもスタートさせた。いよいよ秋にはVGPデジタルカメラグランプリもスタートするが、カメラ本体ばかりでなく、プリンターはじめさまざまなデジタルカメラ周辺機器も評価していく予定であり、今から業界の注目を集めている。
 
VGPをスタンダードアワードとし、業界最高権威としてのポジションを確立させ、さらに強化発展させて業界の繁栄に寄与していきたい。
 
今回、新しい流れを創造し、特別金賞に輝いた日立の液晶テレビWooo UTシリーズが特別賞として「ハイデザインコンセプト賞」を受賞した。これからは各社がテレビに対して360度インテリア指向の機種を投入してくると思われ、ひとつのジャンルが創られるものと楽しみである。
 
また、シャープの液晶テレビAQUOSのフラグシップであるRシリーズ、そして主力であるGシリーズの発表が審査会に間に合わなかったことから、今回は特別賞の授賞となったことを付記しておきたい。
 
店頭でVGPマークを求めて購入するお客様が増大しているとの報告を、メガ量販、専門店からいただいている。
 
強い認識のもと、責任を果たしていきたい。


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