巻頭言
いい年にしよう
和田光征
WADA KOHSEI
あけましておめでとうございます。
2009年は、未曾有の世界的大不況下での幕開けとなりました。この原稿を執筆した日、米国が史上初となるゼロ金利政策を即日実施しました。同時に、長期国債の買い入れも検討するなど、市場への資金供給量を増やす「量的緩和」政策も表明し、景気悪化への歯止め、そして回復と物価安定へのすべての手段を動員する、とFRBが述べています。
このことから日本の金利は逆転し、円相場は88円63銭に急上昇し、18日日本時間AM4時頃には87円台となり、NY市場86円も視野にとのニュースが流れていました。
1月に発足のオバマ政権は、数千億ドルの大型景気対策を準備しており、財政主導で需要喚起、金融システムの強化、住宅市場のテコ入れ策等、景気援助に期待が集まっています。厳しい米国景気はいつ浮揚するのか、そのことは同時に世界経済への浮揚にも関わるわけであり、世界各国の協調強化で速やかな景気浮揚基調を期待して止みません。
いずれにしても、米国は景気浮揚のため動き出しました。消費等に影響が出始めた時、輸出立国である日本にも影響は出てくるであろうと思います。しかしながら、急激な円高は経済を圧迫することでもあり、日本の完全なる景気浮揚は、2011年次頃になるかも知れません。
少なくとも2009年は厳しい状況におかれることと思いますが、しかし、2009年〜2011年の3年は“陽”であり、厳しい中にも積極経営が求められ、そのことしか生き残っていく術はないと思います。まさに「動物商法」の時代なのです。
輸出企業にしても、内需を高めざるを得ないのが現状ではないでしょうか。国内営業の強化はむしろ今求められていることです。消費者はまだまだお金を持っているのです。しかし安心、安全を考えますから、出費を押さえ込むのは必然です。また、買い方も慎重になります。
従って、自分にとって必要なもの、いいものしか購入しなくなることは当然ですし、当然ながら絶対量も減りますから、全体から見ると消費の低迷という統計指数が描かれるでしょう。この数字は総花的要素ものっていますから、消費者の潜在的に自分の人生をエンジョイする、あるいは家族の絆を強め幸福にするための出費は特別であるという意識は依然として根強いものがある筈です。
海外旅行は止めたけれども、家でブルーレイの映画ソフトを楽しむ、という人は確実に増えています。家での滞留時間が長くなればなる程、家庭内娯楽が求められるわけですから、例としてホームシアターは狙い目でもあるのです。まさに2WAYシアターの提案が有効です。しかし、そのためにお客様が店舗まで来られるということは減少しますから、売る側は動物となってお客様を訪ねる必要があります。あるいは、効果的なイベントで有望客を確保し、成約に結びつけるしかありません。
お客様の実態をしっかり掴み提案していくしかないのが、こうした時代の経営だと思います。いい年を、ではなく、業界全体でそんな思いをもって積極的に「いい年」にしていきましょう。
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