巻頭言

それでも世の中は変わる

和田光征
WADA KOHSEI

新政権の予算が4月から執行されるのか否か、予算国会は荒れ模様の中論戦が始まったが、結局は採決され予算案は通過し執行されることになるだろう。

それを受けて国民は、新政権の従前とは全く変革された施策を享受し、政権が変わるということはこういうことだったのかを実感することになり、政権党及び政権の支持率は上昇し、景気もまたなだらかな浮揚を始めるのではないだろうか。その先に参議院選挙が待っている訳で、現政権がもし単独過半数を押さえることになれば、景気もいよいよ浮揚曲線を描きはじめ、デフレ対策も一定の成果をあげ始めるのではないだろうか。

何はともあれ政権が安定することは国民生活にとって何よりも重要であり、ましてや冷たい政治から脱却でき、人間の本来の幸福を取り戻した訳だから、余計安定してもらわないと困る、それが国民の心情である。

当然ながら予算の執行がベースであり、その内訳は税収と国債である。総額が95兆円なのだが菅財務相が総予算205兆円と発言し、目を見張った方も多かったのではないだろうか。私も驚いた口だから無知もはなはだしいと思ったが、多くの国民は同じ思いを持ったのではないだろうか。

埋蔵金の話もよく聞かされた。そんな原資がどこにあるのかと思ったのだが、菅さんの登場でその詳細がよく分かった。各省のある意味では事業部収入みたいなもので、省庁独自の予算である。例えば運転免許の更新料や登記類などである。確かに各省庁管轄の収入は莫大なものであり、それが特別会計の原資であり、税収、国債をベースにした一般会計で予算のことばかり知らされていた国民は当然ながら110兆円の中味を識りたいし、その使途についても知りたいところである。

仕分けについて政権交代のコアを見た思いがしたが、政府は4月以降特別会計の仕分けを徹底的にやるとの方針である。官僚機構の闇の部分が白日のもとに曝されることになるが、政権交代の大きなエポックとなるだろう。

一般会計では税収不足が言われて久しいが、今期の税収は35兆円と過去最低で、95兆円予算の半分にも満たない。故に国債発行となり、借入金含めて国の借金は864兆円強となっている。気の遠くなる話だが、新しい政権によってどう変わっていくのかしっかり見届けたい。

4月からの予算執行で家電エコポイントは継続されることになり、まずは一安心、同時に住宅エコポイントの登場もあり業界にとってはフォローの風が引き続き吹くこととなるが、エコポイント対象以外では、年末苦戦を強いられた業界も多い。

とりわけオーディオ専門店の経営が厳しいようであり、私はオーディオ専門店そのものも業態変化の渦中にあると思う。確実にユーザーの性向は変わっているし、従前の経営手法であれば当然資金ショートしてしまう。厳しい環境にあるが、新しい専門店へと脱皮し、今こそ専門店の時代を演出したいものである。地場に密着した系列店が健闘しているのはまさに動物商法そのもので時諠を得ている。

時代は間違いなく変わっていく。新しいうねりに乗り遅れないよう頑張っていきましょう。

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