- 横一線の新規ビジネスは
トップに立つチャンス
我々自身の手で
“4Kマーケット”を構築する
- (株)NTTぷらら
- 代表取締役社長
- 板東 浩二氏
Kouji Bandou
「4K」をカンフル剤としてテレビ市場の仕切り直しに大きな期待が集まる中、注目されたNTTぷらら「ひかりTV」の4K VODサービスが10月27日にスタートを切った。次なるステージを目指し、新規顧客獲得へ新サービスを矢継ぎ早に打ち出すNTTぷらら。4Kマーケット構築へ向けても、コンテンツサイドのけん引役としての強い意志を見せる、同社の戦略と意気込みを板東社長に聞いた。
“つながるテレビ”がどんどん増えていく
そこに我々にとっての大きなビジネスチャンスがある
4Kの啓発は
見ていただくのが一番
── 「ひかりTV」4K VODの商用サービスが10月27日からいよいよスタートとなりました。導入後の反響、手応えについてお聞かせください。
板東反応は非常にいいですね。コンテンツ事業者さんやテレビメーカーさんからも「是非、一緒にやらせていただきたい」という力強い声を数多くいただいています。4Kテレビも今後大きな伸長が期待されており、その動きに連動して、数字の面からもボリューム拡大を図ります。
現在、ひかりTVチューナーを内蔵した4Kテレビがシャープから発売されており、年末年始ごろにはチューナーが内蔵されていない4Kテレビでも視聴を可能とする「ひかりTV 4Kチューナー」をNTTぷららからレンタル提供します。来春に向け、東芝、パナソニック、ソニー、LGからもソフトウェアのアップデートもしくは新機種での対応を順次進めていただける予定です。それに加えて、約120本でスタートした4Kのコンテンツも、来年3月末には200本以上に拡充していく計画です。
── テレビをはじめとする関連市場活性化の観点から、家電量販店の売り場においては4Kデモの充実を望む声は少なくありません。今回のプロモーション戦略についてお聞かせください。
板東できればわれわれ自身の手で、4Kのマーケットを何とか構築していきたいと考えています。そのためにはやはり、4Kがどれだけキレイなのか、お客様に実際に体感いただくことが一番早いと思います。現在、量販店のテレビ売り場に、シャープさんと一緒になって、4K映像を見ていただける態勢を数百店舗で整えています。「4Kならこんなにキレイに見られます。是非、ひかりTVも一緒にいかがですか」とセットで薦めていただける環境づくりをスタートしたところです。
── どれだけ多くの4Kとの接点を創っていけるかが大切になりますね。
板東量販店店頭などで4Kのコンテンツを実際に見ていただきたいですね。4Kの魅力を啓発する発信拠点にしていければと考えています。
── スカパー!で来年3月より、4K専門チャンネルをスタートすることが発表されましたが、ストリーミングでの4Kチャンネル編成についてはどのようにお考えですか。
板東総務省が発表したロードマップの中でも2015年度中に行うことをすでに明言していますので、当社も実施について検討しているところです。例えば、自主放送チャンネルを現在、3チャンネルで放映していますが、そこに4Kのチャンネルを加えて、ひかりTVの4K自主放送チャンネルとして提供する方法があります。
4Kのコンテンツ制作には多大の費用が必要となりますので、ビジネスとして成立するかを含めた検討を行っています。ただし、4Kカメラで映像制作して、それを編集し、番組にする一般的な方法では費用がかかりますが、例えば、4Kカメラで撮影する映像をそのまま24時間流す方法もひとつのアイデアとしてあり、これなら費用もかなり抑えることができます。いろいろなやり方があるはずですね。
新規顧客獲得へオープン化と
キャリアフリー化を推進
── 来年度からはNTT以外の回線事業者に対するサービス展開も計画されていますが、最新の状況とその方針、狙いについてお聞かせください。
板東2008年3月にひかりTVのサービスを開始したときには、NTT東西の光回線を使用されるお客様をターゲットに、NTT東西のクローズドなネットワークを用いることでセキュリティと品質を確保しながら、加入者拡大に取り組んできました。
しかし、開始から丸6年を経過し、ひかりTVの映像サービスを要望するお客様はほぼ刈り取ることができたと実感しています。これからの成長を見据えれば、他の回線のお客様への取り組みが必要となります。
まずはマルチデバイス化の観点から、伸長著しいスマートフォンのユーザーの取り込みを狙い、3年前の2011年8月から、スマートフォンやタブレットでビデオオンデマンド作品が視聴できる「ひかりTVどこでも」のサービスをスタートしています。
── モバイル分野では、月額2980円で通信速度が3Mbpsものスピードが出る「ぷららモバイルLTE定額無制限プラン」も大変好評だとお聞きします。通常は月額350円の利用料が必要な「ひかりTVエントリープラン」を無料で利用できるなど、モバイル動画視聴の環境をパワフルにサポートされていますね。
板東今後、LTEよりもさらにスピードの速いインフラの導入も予定されているようですので、そうした進展にも目を配りながら、オープン化、キャリアフリー化を一層進めていく必要があると考えています。市場動向を見守りながら柔軟に対応していきますが、仕組みをもっていないことには、いざという時にも対応できませんから、仕組みそのものは来春くらいまでには実現していきたいと考えています。
── 「ひかりTV」をご存じないお客様もまだ大勢いらっしゃると思います。
板東8月8日から、“大人をアクティブにする学び場”をコンセプトにした、大人のためのオンラインコミュニティサービス「部活DO!」(ブカツドオ)をスタートしました。同じ趣味や興味をもつ仲間との出会いのきっかけを作ったり、新しい趣味を持ちたい方への有意義な情報提供を行ったりするコミュニティサービスです。
我々が今までリーチできなかったお客様を掘り起こすことも狙いのひとつで、東京・銀座にオープンした「GINZA 部活CAFE&BAR」は、そのリアルな展開の場のひとつとなります。これからも、より多くのお客様にご満足いただける新しいサービスを打ち出していきたいと考えています。
ブロードバンド化がテレビのさらなる
変化を引き出す
── 若者のテレビ離れなども指摘されています。放送と通信の融合が進むこれからの状況を、板東社長はどのように展望されますか。
板東テレビについても、携帯電話からスマートフォンへの急速な進化のイメージと同じような形をたどるのではないかと、強く思っています。十数年前の携帯電話は、まさに電話をするために利用するものでしたが、1999年にNTTドコモが「iモード」のサービスを導入し、色々なコンテンツやアプリが使えるようになり、若者を中心に一気に使われ始めました。そして、大きな転換期となったのは、2007年に登場した「iPhone」です。一気にスマートフォンが広まりました。名称はスマート“フォン”ですが、その実態はもはや情報端末に等しいと言えます。
それでは、テレビはどうなるのか。ブロードバンド化が進み、映像も扱えるようになり、そのインフラへテレビがつながっていくのは自然の流れと言えます。現在、大画面テレビにおけるネットへの接続率は約3割とも言われますが、時間軸の問題はあるものの、この数字がもっと高まり、“つながるテレビ”が増えていくことは間違いありません。そこに、我々にとっての大きなビジネスチャンスがあると確信しています。
テレビは今後、スマートフォン同様、双方向で使えるようになってきます。テレビとネットの連携がさらに進められる中で、テレビはもっと変わっていくだろうし、また、変えていく必要があります。また、ニュースやスポーツのライブ中継を除けば、これからはオンデマンドによる使い方が主流になってくると思います。
── 私たちの生活を取り巻く環境は猛スピードで進化しています。迅速な対応が求められる中で、現在、4Kをカンフル剤に、テレビ市場にも仕切り直しに大きな期待が集まっています。まだまだ、業界としても啓発の緒に就いたばかり。御社のご活躍も大いに期待されます。
板東横一線で始まった新規ビジネスには、トップに立つ大きなチャンスがあります。新しい“4Kマーケット”を、我々自身の手で大きく成長させていきたいですね。