巻頭言
前に進める年
和田光征
WADA KOHSEI
新年あけましておめでとうございます。
2013年から始まった太陽の年、その仕上げとしての2015年はスタートした。しかし、単純に始まった訳ではない。それは2013年をどう始めたかがポイントとなる。2015年を最終年とした中期計画を着実に実現するための1年の始まりなのである。
同時に国家も、2013年アベノミクスをスタートさせ、その一区切りを迎えるのが2015年と言ってもいいだろう。
アベノミクス以前は円が1ドル72〜73円と超円高で、株価も8900円前後であった。そんな状況からアベノミクスは安倍政権によって打ち出され、円安、高株価へと舵を切り、12月の総選挙の信任も得て、まさに仕上げに向かって動き出している。
アベノミクスは、第一の矢として公共事業を打ち出し、政府が需要を創出するのがまず始めであり、そのためには豊富な資金がいる。第二の矢は異次元の金融緩和であり、黒田日銀総裁が大量に発行された国債を市中銀行から大量に買い続けるために、円を大量に刷る。結果、円安となり一時1ドル120円超までとなってしまった。当然ながら輸出は伸び景気は良くなるという期待感から、17000円超の株高となった。
しかし、過度の円安は部材を輸入品に頼る中・小企業を直撃し、輸入業者や家計を直撃した。消費税率が3%上がり8%になったが、消費者にはまるで8%上がったような心理が蔓延して予想以上に消費が落ち込んでしまった。
日銀は追加の金融緩和作を打ち出したが、現在その効果は出ていない。2%分の消費増税も先送りしたが、アベノミクスでも景気回復は簡単ではないことが証明されてしまった。物価上昇は、賃上げが実感できない領域にきていると思わざるを得ない。
同時に国債の残高もGDPの240%となり、日本は世界に類を見ない借金大国になってしまった。第三の矢が機能していないことも問題である。
しかし、稚拙な民主党政権があのまま続いて別の意味で国家が崩壊していたことを思えば、アベノミクスは歓迎せざるを得ない。あとは厄介な負の部分を克服して、景気を良くして頂きたい。
わが業界も国内においては円安の直撃を受けているのが現状だ。しかしアベノミクス以前の負から見れば、2015年は大いに期待がもてるのではないだろうか。2013年に成長戦略を打ち出した企業は、さらに遠くを睨んだ戦略を加えて前に進むべき年。それが2015年ではないかと確信するのである。
先般、ソニーの懇親会に出たが、「国内は大健闘している」と強調され、記者諸君からも「その通り」との声が上がった。私も河野社長のマーケティング、そして技術陣に、大賀時代の息吹を見る思いであった。ハイレゾ時代のオーディオ戦略、そして4K戦略、デジカメ戦略等々、いよいよソニーらしくなってきたなと確信したのだった。
業界あげてさらなる市場創造を図ることが2015年の成功を確実にすることであり、2016年正月の美酒を味わうことになる。