HOME > インタビュー > 何よりも「心」を揺さぶる音をつくりたい − JiLL-Decoy association「Lining」発売記念インタビュー

世界に3台しかない〈Clarity〉でDSD制作

何よりも「心」を揺さぶる音をつくりたい − JiLL-Decoy association「Lining」発売記念インタビュー

公開日 2012/07/11 16:30 取材・構成/ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

何よりも「心」を揺さぶりたい

−−− 今回のレコーディングは、世界に3台しかないコルグのDAW試作機〈Clarity〉を使っているのも注目点ですね。


世界に3台しかないKORGのDAW試作機〈Clarity〉
towadaさん:はい。次の世代を担うかもしれないDSDという方式にはすごく興味があって。前作の「Lovely e.p.」でもコルグの「MR-2000」を使いました。僕はアナログテープとかオープンリールとかが好きで興味はあるんですが、ちょっと「時代の後ろを振り向く」感じがしちゃっていて。昔のものを引っ張り出してきて昔みたいに録りたいというのは、それはそれで良いやり方なんですが、もっと前向きに良い音というのを見据える人間もいないといけないなと思っているんです。

今回使った〈Clarity〉は、DSDでマルチトラック録音・編集、ミックスができるのがメリット。以前から存在は知っていて、ぜひ使わせてくださいとお願いしました。バンドの演奏で、〈Clarity〉を使って5.6MHzで録ったのは多分、ジルデコが世界で初めてなんじゃないでしょうか。

〈Clarity〉を使ってみて感じたのは、やっぱり良い音にしていこうという気持ちが集結すると、そういうものができあがってくるんだな、と。良い音で録れるはずだという気持ちで演奏すること、開発途中だから編集はほぼできないという緊張感を持って演奏することってすごく大切だし、今までの音楽でもそれが発展につながってきたんだと思うんです。そういう自分たちの気持ちや、エンジニアさんやその他のスタッフさんの気持ちを届けるために、〈Clarity〉はすごく貢献してくれたと思います。

−−− chihiRoさんがブログで「chihiRoでも音の違いが分かる!」と書いていたのが印象に残っているのですが。

chihiRoさん:普段からミックスの時にtowadaとかkubotaとかエンジニアさんとかの男性陣が「あそこはもっとこんな風にして」とか「ここはやっぱりこうだよね」と言い合っているのを聞いて「んー、分かんないな」と思うときも結構あるんですけど、今回スタジオで録ったまんまの音を聴いたときに、これは私でも分かる!と思って。やっぱりこだわるってすごく大事なんだなって思いました。リスナーからしたら気付かないようなこだわりかも知れないんですけど、そこを諦めてしまっては、どんどん音楽の質が落ちていってしまうんだろうなと思ったので。それに、もし気付いてもらえなかったとしても、全体としてすごく良い音楽だなって感じてもらえるだけで、こだわる価値は大いにあるなと感じましたね。

towadaさん:音に関して蘊蓄を並べようとしたらいくらでもできるんですけど、やっぱり何よりも「心」をね、揺さぶりたいなと思っているんです。

すごく音が悪いローファイなものの方が気持ちが伝わると思うのであれば、それを使うのはアリだし。仕方なくそれを使っているとか、知らないうちにこうなっちゃったとかいう、前向きでない理由が積み重なると、良くないんだなと思いますね。


   ◇  ◇  ◇   


−−− 今年の夏はビルボードでのライブも決まっていますよね。こちらでは「Lining」に収めた曲を生で聴けるんでしょうか?

chihiRoさん:そうですね、それを中心にいま組み立てています。「Lining」に参加してくださったミュージシャン以外の方も大勢ゲストで来てくださるので、一緒にやるのが楽しみです。

ビルボードって本当に憧れの場所で。憧れのミュージシャンのライブも沢山見てきた場所だったので、そこで自分たちができるというのは、10年間続けてきたご褒美を貰ったような気分です。だんだん日にちが迫ってきている今は、絶対良いものにしてやるぞという気持ちでいっぱいですね。今までの10年間をちゃんと活かせるような、お客さんに真正面で向き合えるようなライブにできたらいいなと思っています。

−−− そして連続リリースの締めくくりとなる3作目の「Dance Music」をコンセプトにしたアルバムも制作が進行中ですよね。

chihiRoさん:3作目はいろいろな方が関わってくださっているので、これまでの2作とはまた全然違う作業で楽しいです。

−−− ダンスミュージックの音は、原音主義というのとはまた違う、作り込んだ感じの音だと思うので、「Lovely」「Lining」とはガラッと雰囲気の変わった音作りになるんだろうな、と思っています。

kubotaさん:ガラッと変わります!

−−− そちらもまた楽しみにしています。今回は有り難うございました。


【JiLL-Decoy association 今後のライブ情報】

・2012/07/13(金)大阪 cafe Room
『Lining』アコースティック・プレツアー in 大阪

・2012/07/14(土)岡山 城下公会堂
『Lining』アコースティック・プレツアー in 岡山

・2012/07/15(日)高松 デザインラボラトリー蒼
『Lining』アコースティック・プレツアー in 高松

・神戸メリケンパーク(月)
Kiss MUSIC PRESENTER みなとまつりエディション!

・2012/07/29(日)代官山LOOP
Nu Soul 〜Monday満ちる×JiLL-Decoy association〜

・2012/08/18(土)ビルボードライブ東京
ジルデコ・ラウンジ 結成10周年記念スペシャル! in ビルボードライブ東京

・2012/08/24(金)福岡 PLUG Bar×EL MUNDO
ジルデコ『Lining』リリースパーティー in 福岡

・2012/08/25(土)福岡 PLUG Bar×EL MUNDO
ジルデコ・ラウンジ in 福岡

・2012/08/26(日)熊本 Restaurant Bar CIB
ジルデコ・アコースティックライブ in 熊本

・2012/08/30(木)名古屋 Blue Note
ジルデコ『Lining』リリースライブ・スペシャル! in 名古屋

・2012/09/07(金)東京・丸の内 COTTON CLUB
東京JAZZ2012 “the CLUB” OPENING PARTY

・2012/09/17(月)高知 CARAVAN SARY
ジルデコ『Lining』リリース・ツアー in 高知

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE