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人気ショップ店員に訊いてみた!ボーズBluetoothスピーカー「SoundLink Color」が人気の秘密とは?
【番外編】
Phile-web編集長 風間も試聴!“なかなかのユーティリティープレーヤーぶり”
(Text:風間雄介)
Bluetoothスピーカーの多機能化が著しい。防水性能や耐衝撃性能を高めた製品が増えてきたし、スマホの専用アプリと連動して音を自分好みに調整したり、2台を連動させてステレオ再生が可能なものもある。激戦市場だけに、差別化を図るために必死なのだ。
そんな中、今回テストしたボーズ「SoundLink Color」はというと、防水対応はしていないし、耐衝撃性能を特に高めたわけでもない。専用アプリもなければ、複数台連動再生もできない。筐体が特別に大きいわけでも、ものすごく小さいわけでもない。バッテリー持続時間は8時間というのも平均的で、特別に長持ちするわけではない。音声ガイド機能を備えていることが特徴の一つだが、他社製品で同種の機能を採用しているものがあり、これもさほど目新しさを感じない。
率直に言って、目立ったフィーチャーはあまりない。そんなこともあってか、同社Bluetoothスピーカーのヒットモデル「SoundLink Mini II」の陰に隠れているような印象さえ受ける。5色展開は華やかで、外観はとても美しいのだが、機能を重視するガジェットファンからすると、あまり注目すべきポイントではない。
■とにかく音に「ムリがない」
さて、筆者自身「それほど特徴がないかも」と思いながら使い始めたのだが、実際に音を聴き、しばらく使ってみると、かなり気に入った。できれば1台欲しいなと真剣に検討しているほどだ。
では何が気に入ったのかというと、とにかく音に「ムリがない」ことに好感を持った。
Bluetoothスピーカーの差別化競争が激しさを増す中、音についても、低域をやたらと持ち上げるなど、個性を持たせる製品が増えている。一方で製品の小型化も求められるため、その折り合いがつかず、バランスが崩れている製品も散見される。
そんな中にあってSoundLink Colorは、「出ない音は出さない」とスパッと諦めている(…かどうかはわからないが、そう感じた)。この筐体サイズで出せる低域には限界がある。そこをムリに出そうとしていないから、不自然な強調感がなく、全体の調和が保たれており、聴いていて違和感を覚えることがない。
もう一つ美点として挙げたいのは、音楽ジャンルによる得意・不得意があまりないということ。様々なジャンルの音楽を聴いたが、「これは明らかに苦手」というジャンルはなさそうだった。言うまでもなくこれは、音楽再生機器において、とても重要なことだ。
低域をことさら強調している製品は、EDMやR&B、ヒップホップなどを再生しているぶんには、確かに派手で気持ちいい。だが、同じ設定でクラシックを聴いたら不自然になってしまうものもある。どんな音楽ジャンルでもきっちり再生するSoundLink Colorのユーティリティープレーヤーぶりは貴重だ。
この自然な音調は、小音量再生時にもよい効果をもたらす。BGMとして再生するときにも、耳障りな音がしないので、音楽を聴きながらの作業も集中してこなすことができる。
それでは全く音に特徴がないのかというと、そんなことはない。特に中域のクリアさは特筆に値する。たとえば森山直太朗「愛し君へ」を聴くと、ボーカルが綺麗に抜け、また唇の擦過音もしっかりと伝えるなど、ニュアンスに富んだ再現性能に驚かされる。そのほか、キャロル・キングや斉藤由貴など、女性ボーカルもいくつか聴いたが、いずれも表現力に富み、ボーカルとの相性の良さが実感できた。
最後に機能面についても若干補足しておこう。冒頭であまり特徴がないと書いたが、機能的に劣っているというわけではないので、誤解のないようお願いしたい。ポータブルBluetoothスピーカーとして求められる基本性能は十分満たしている。またボタン類が上部に集中しているので、迷わず操作できる点も気に入った。
1点だけ気になったのは、電源が入っているかどうか、若干わかりにくいところ。使い続けるうちに慣れたが、電源ランプは、電源ONのあいだは常時点灯するようにしてほしかった。
Hi-Fiオーディオファンなら好感を持つであろうフラット志向のサウンドと、派手なギミックはないが、基本性能をしっかりと押さえたスペック。加えて5色のファッショナブルなカラーリングが用意されており、好みのものを選ぶ楽しみも用意されている。15,000円というプライスタグも良心的で、バランスのよい製品に仕上がっている。
取材協力:e☆イヤホン様
レビュー執筆:編集部 風間雄介
記事構成:ファイル・ウェブ編集部