真のオーディオファイルのために設計
全ては「ベストサウンド」のために。RHA幹部に聞く、新最上位イヤホン「CL2 Planar」の秘密
RHAが新イヤホン「CL2 Planar」を発売した。その名の通り「Planar」(平面)駆動のドライバーを採用したハイエンドモデルで、価格は113,900円(税抜)だ。
先日、鴻池賢三氏によるレビュー記事をお届けしたが、それに続いて今回は、本機の開発を手がけた、RHAのプロダクトデザイン部門のトップであるKyle Hutchison(カイル・ハッチソン)氏へのインタビューをお届けする。
この注目製品がどのように生まれたのか、RHAが考えるポイントはどこか、ぜひハッチソン氏の言葉に耳を傾けてみて欲しい。
−−CL2の音を聴くとき、RHAとして最も注目してもらいたい点はどこでしょう?
CL2 Planarは、作られた時の音楽をそのまま再現する、新しい基準となるために作られました。そして「平面駆動サウンド」のショーケースとなり、正確で力強く、深く調和が取れているという評判を得ることを目指しました。
CL2は、何よりも正確さとディテールにこだわりながら、同時に魅力的なリスニング体験を求める、真のオーディオファイルのために設計されました。
−− 前モデル「CL1」でもそうでしたが、2種類のケーブルそれぞれで線材を変えた狙いはなんでしょうか?
市場調査を通して、お客様は選択を好むということを知りました。優れた音質とともに選択肢を提供することで、お客様がRHAに何度も何度も戻ってきて頂けるようにしたい、というのが主な理由です。
多くのCL2のお客様は、スマートフォンやノートPC、タブレットなどでもお使いになりたいと思っています。これが3.5mmを同梱した理由です。ですが同時に多くのお客様は、ハイレゾ対応のDAPでも楽しみたいと考えており、これが2.5mmバランスケーブルを付属した理由です。
−− 今回のタイミングで、ケーブル端子をsMMCXからMMCXに変更した一番の理由は何でしょうか?
CL2 Planarは、CL1からいくつかの改良が加えられていますが、我々はCL2 Planarを後継機とは考えていません。CLシリーズは、我々が実験してきたオーディオテクノロジーを紹介するために存在します。
CL1は、圧電ドライバーを紹介するために作られました。そしてCL2は、平面駆動ドライバーを皆様にお届けするように作りました。
CL2にはMMCXを採用し、これによってCL2をオーディオ機器システムの中心に使って頂けるようにしました。CL2のハウジングに多くのケーブルを挿して使って頂けますし、逆にCL2のケーブルにほかのイヤホンを着けることもできます。
−− 同梱のBluetoothケーブルは、これまで発売してきたBluetoothケーブル部と同じものでしょうか。変更している部分はありますか?
はい、2つは似ていますが、CL2ネックバンドは黒いPVDステンレス仕上げで、MMCX端子を使っているのが異なります。ですので、ほかのMMCXイヤホンでもお使いいただけます。
−− 市場全体を見てもまだまだ珍しい平面駆動型ドライバーを採用していますが、そもそも平面駆動型ドライバーを選んだ理由は何でしょうか?
選んだというより、我々自身が、それが可能であることを見たかったということです。我々は、それを達成できるかどうかを見てみたかった。我々はものすごいオーディオファンで、ですからRHAにいるのです。技術が生み出すサウンドシグネチャーを、我々は本当に楽しんでいます。
インイヤーオーディオの限界をテストしたかったですし、私たち独自のデザイン言語を使って、本当に特別な何かを設計しようとトライしました。そして、平面磁界オーディオ技術と、それがもたらす「平面駆動サウンド」は、これまで存在していたものや、これまでの密閉型イヤホンのようにサウンドが小さくなっていませんでした。我々は、この技術と、我々がこれまでイヤホン開発で培った経験とを組み合わせたいと思いました。
−− 平面駆動型ドライバーの採用により、既存の製品から何を変えたかったのでしょう? 逆に変えたくなかった部分はありますか?
CLシリーズは、我々の最新かつ最高のオーディオ技術を紹介するために作られました。私たちが作った最初の「ダイナミックドライバーでない」ドライバーはCL1 Ceramicに搭載した圧電ドライバーでしたが、平面駆動型のイヤホンが、そこから発展させる際に大変興味深い開発になると考えました。
そこで我々は、RHAの特徴的な設計を組み合わせたいと思いました。射出成形された人間工学に基づいたハウジングと、新しいもの、つまり平面ドライバーです。ですから、製品の中心部の多くを変えましたが、それでもRHAのイヤホンの特徴が色濃く残っているのです。
−− 一般的に平面駆動型ドライバーには大きな駆動力が必要というイメージがありますが、どのようにしてアンプ無しで使えるようにしたのでしょう?
平面駆動型ドライバーはとても電力を使うことで知られています。ですが、その技術を直径10mmの部品に等愛すると、必要な電力は大幅に減ります。
−− ドライバーユニットはどのような形状なのでしょう?また、ドライバーユニットはハウジングの中でどのように配置されているのでしょうか?
ドライバーの形は小さな円盤に凝縮されています。それには同軸の時期アレイ、平面コイル、カスタム振動板が搭載されています。これらのコンポーネントが完璧に平面な磁場を生成する必要があるので、これらの磁石の配置はとても正確な手順が求められます。たとえ磁場からミリメートルずれても音質が損なわれてしまうのです。
−− 多数のイヤーピースを同梱していますが、RHAとしてリファレンスとなるイヤーピースは決めていますか?
イヤーピースの装着感はリスナーの耳の形状によって完全に異なるので、何をリファレンスとするかは決めていません。
−− 同じCLシリーズの「CL1」「CL750」では、「Dacamp L1」などアンプや高出力なプレーヤーとの併用を推奨していましたが、CL2ではどうでしょう?
ヘッドホンアンプやDAPを使用することをお勧めしますが、必須ではありません。感度が89dB、インピーダンスが15Ωですから、ほとんどのソース機器で駆動することができます。イヤホンを同梱の3.5mmまたは2.5mmのケーブルを使って、ソース機器へそのまま挿入することで、信じられないようなリスニング体験が得られます。
−− CL2はジルコニウムハウジングイヤホンの2モデル目です。MA750やTシリーズで採用してきたステンレスハウジングと比較して、どのような特性が得られるのでしょうか?
酸化ジルコニウムは、繰り返し使用することができる、耐久性の高いセラミック化合物です。そしてそれは、音響的にも理想的です。なぜならレゾナンスが低く、音を歪ませないからです。さらに、見た目にも美しいので、結果として製品がより素晴らしいものになります。
−− 「T20」「T10」ではチューニングフィルター機能が特徴的でした。ハウジング形状が似たCLシリーズから省略された理由は何でしょう?
平面駆動技術を使って、ベストなサウンド製品作ることに集中したかったのです。最終的にできあがった製品は、とても良い、アメージングなサウンドを実現できました。力強く、没入感があり、エモーショナルです。
−− 我々もCL2 Planarのサウンドを堪能したいと思います。本日はありがとうございました。
先日、鴻池賢三氏によるレビュー記事をお届けしたが、それに続いて今回は、本機の開発を手がけた、RHAのプロダクトデザイン部門のトップであるKyle Hutchison(カイル・ハッチソン)氏へのインタビューをお届けする。
この注目製品がどのように生まれたのか、RHAが考えるポイントはどこか、ぜひハッチソン氏の言葉に耳を傾けてみて欲しい。
−−CL2の音を聴くとき、RHAとして最も注目してもらいたい点はどこでしょう?
CL2 Planarは、作られた時の音楽をそのまま再現する、新しい基準となるために作られました。そして「平面駆動サウンド」のショーケースとなり、正確で力強く、深く調和が取れているという評判を得ることを目指しました。
CL2は、何よりも正確さとディテールにこだわりながら、同時に魅力的なリスニング体験を求める、真のオーディオファイルのために設計されました。
−− 前モデル「CL1」でもそうでしたが、2種類のケーブルそれぞれで線材を変えた狙いはなんでしょうか?
市場調査を通して、お客様は選択を好むということを知りました。優れた音質とともに選択肢を提供することで、お客様がRHAに何度も何度も戻ってきて頂けるようにしたい、というのが主な理由です。
多くのCL2のお客様は、スマートフォンやノートPC、タブレットなどでもお使いになりたいと思っています。これが3.5mmを同梱した理由です。ですが同時に多くのお客様は、ハイレゾ対応のDAPでも楽しみたいと考えており、これが2.5mmバランスケーブルを付属した理由です。
−− 今回のタイミングで、ケーブル端子をsMMCXからMMCXに変更した一番の理由は何でしょうか?
CL2 Planarは、CL1からいくつかの改良が加えられていますが、我々はCL2 Planarを後継機とは考えていません。CLシリーズは、我々が実験してきたオーディオテクノロジーを紹介するために存在します。
CL1は、圧電ドライバーを紹介するために作られました。そしてCL2は、平面駆動ドライバーを皆様にお届けするように作りました。
CL2にはMMCXを採用し、これによってCL2をオーディオ機器システムの中心に使って頂けるようにしました。CL2のハウジングに多くのケーブルを挿して使って頂けますし、逆にCL2のケーブルにほかのイヤホンを着けることもできます。
−− 同梱のBluetoothケーブルは、これまで発売してきたBluetoothケーブル部と同じものでしょうか。変更している部分はありますか?
はい、2つは似ていますが、CL2ネックバンドは黒いPVDステンレス仕上げで、MMCX端子を使っているのが異なります。ですので、ほかのMMCXイヤホンでもお使いいただけます。
−− 市場全体を見てもまだまだ珍しい平面駆動型ドライバーを採用していますが、そもそも平面駆動型ドライバーを選んだ理由は何でしょうか?
選んだというより、我々自身が、それが可能であることを見たかったということです。我々は、それを達成できるかどうかを見てみたかった。我々はものすごいオーディオファンで、ですからRHAにいるのです。技術が生み出すサウンドシグネチャーを、我々は本当に楽しんでいます。
インイヤーオーディオの限界をテストしたかったですし、私たち独自のデザイン言語を使って、本当に特別な何かを設計しようとトライしました。そして、平面磁界オーディオ技術と、それがもたらす「平面駆動サウンド」は、これまで存在していたものや、これまでの密閉型イヤホンのようにサウンドが小さくなっていませんでした。我々は、この技術と、我々がこれまでイヤホン開発で培った経験とを組み合わせたいと思いました。
−− 平面駆動型ドライバーの採用により、既存の製品から何を変えたかったのでしょう? 逆に変えたくなかった部分はありますか?
CLシリーズは、我々の最新かつ最高のオーディオ技術を紹介するために作られました。私たちが作った最初の「ダイナミックドライバーでない」ドライバーはCL1 Ceramicに搭載した圧電ドライバーでしたが、平面駆動型のイヤホンが、そこから発展させる際に大変興味深い開発になると考えました。
そこで我々は、RHAの特徴的な設計を組み合わせたいと思いました。射出成形された人間工学に基づいたハウジングと、新しいもの、つまり平面ドライバーです。ですから、製品の中心部の多くを変えましたが、それでもRHAのイヤホンの特徴が色濃く残っているのです。
−− 一般的に平面駆動型ドライバーには大きな駆動力が必要というイメージがありますが、どのようにしてアンプ無しで使えるようにしたのでしょう?
平面駆動型ドライバーはとても電力を使うことで知られています。ですが、その技術を直径10mmの部品に等愛すると、必要な電力は大幅に減ります。
−− ドライバーユニットはどのような形状なのでしょう?また、ドライバーユニットはハウジングの中でどのように配置されているのでしょうか?
ドライバーの形は小さな円盤に凝縮されています。それには同軸の時期アレイ、平面コイル、カスタム振動板が搭載されています。これらのコンポーネントが完璧に平面な磁場を生成する必要があるので、これらの磁石の配置はとても正確な手順が求められます。たとえ磁場からミリメートルずれても音質が損なわれてしまうのです。
−− 多数のイヤーピースを同梱していますが、RHAとしてリファレンスとなるイヤーピースは決めていますか?
イヤーピースの装着感はリスナーの耳の形状によって完全に異なるので、何をリファレンスとするかは決めていません。
−− 同じCLシリーズの「CL1」「CL750」では、「Dacamp L1」などアンプや高出力なプレーヤーとの併用を推奨していましたが、CL2ではどうでしょう?
ヘッドホンアンプやDAPを使用することをお勧めしますが、必須ではありません。感度が89dB、インピーダンスが15Ωですから、ほとんどのソース機器で駆動することができます。イヤホンを同梱の3.5mmまたは2.5mmのケーブルを使って、ソース機器へそのまま挿入することで、信じられないようなリスニング体験が得られます。
−− CL2はジルコニウムハウジングイヤホンの2モデル目です。MA750やTシリーズで採用してきたステンレスハウジングと比較して、どのような特性が得られるのでしょうか?
酸化ジルコニウムは、繰り返し使用することができる、耐久性の高いセラミック化合物です。そしてそれは、音響的にも理想的です。なぜならレゾナンスが低く、音を歪ませないからです。さらに、見た目にも美しいので、結果として製品がより素晴らしいものになります。
−− 「T20」「T10」ではチューニングフィルター機能が特徴的でした。ハウジング形状が似たCLシリーズから省略された理由は何でしょう?
平面駆動技術を使って、ベストなサウンド製品作ることに集中したかったのです。最終的にできあがった製品は、とても良い、アメージングなサウンドを実現できました。力強く、没入感があり、エモーショナルです。
−− 我々もCL2 Planarのサウンドを堪能したいと思います。本日はありがとうございました。