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<山本敦のAV進化論 第173回>

これぞドコモ流の音楽・映像配信! 乃木坂46も生配信する「新体感ライブ」の本気度に迫る

公開日 2019/02/28 06:30 山本 敦
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NTTドコモとNTTぷららは2017年から翌年18年にかけて共同で計3回、音楽ライブのトライアルを実施している。ユーザーに対して行ったアンケートからは「マルチアングル映像配信」と「ARフィギュア」に特別多くの反響が寄せられ、それがきっかけで新体感ライブ導入時の2本柱として選ばれた。

山崎氏は「今後もサービスを継続的に拡充していく」との方針を示している。なお、新体感ライブの運営元はNTTドコモとなり、NTTぷららがシステムの開発、およびコンテンツホルダーへのアプローチなどの制作まわり全般を手がける役回りを担っている。

新体感ライブの2つのコアコンテンツ

新体感ライブはiOS/Androidのモバイルアプリ、またはウェブブラウザから利用できる。「マルチアングルライブ」はアーティストの音楽ライブを複数のカメラで撮って、アプリの画面上でズームインしたい視点を画面タップで選べるというもの。例えば複数名によるアーティストグループの “推しメン” だけを追いかけ続けたり、心酔するギタリストの手もとのプレイに目線を集中させることも可能になる。面白い試みだ。

無料お試しコンテンツとして配信されているSILENT SIREN「フジヤマディスコ」のライブ映像。6つのカメラによるマルチアングル切り替えが楽しめる

ライブの実施時間に合わせた生配信を基本としているが、村山氏は「コンテンツホルダーの意向をうかがいながら、イベントの終了後にも視聴できる見逃し配信もなるべく実現したい」と述べている。

ちなみに新体感ライブのアプリには、生配信ストリーミングのコンテンツ配信をマルチアングル視聴でない通常視聴時に、コメント投稿できる機能も実装されている。

ARフィギュアも新体感アプリ内のARカメラ機能を使うサービスだ。ARマーカーをプリントしたアーティストのグッズなどにスマホのカメラをかざすと、CGのアーティストがアプリの画面に現れて音楽を演奏する。本稿執筆時点ではSILENT SIRENの楽曲『Go Way!』のARミュージックビデオが試せるので、体験してみることをおすすめしたい。

SILENT SIREN「Go Way!」のARキャラクター版ミュージックビデオが新体感ライブのアプリから視聴できる

どちらのサービスも1本のコンテンツ単位で課金されるのが特徴だ。マルチアングル映像配信は1回のライブ、または見逃し配信を含めた映像のパッケージ提案となっている。ARフィギュアはコンテンツの仕様にもよるが、基本的には買い切りで何度も楽しめる。山崎氏によると「ライブの予習・復習にも最適なコンテンツとしてトライアル時から評判が良かった」という。

新体感ライブでは第1弾として、2月にサカナクションとSILENT SIRENのライブ配信を行った。同じ月にはSTU48のARフィギュアをCDの特典サービスとしてローンチして好評を得ているという。また2月24日に乃木坂46が大阪京セラドームで実施したライブは、グループから卒業する西野七瀬の晴れ舞台だったこともあり、生配信も大いに盛り上がったようだ。3月5日には[ALEXANDROS]のARフィギュアも発売される。

SILENT SIRENのライブ映像が記事公開時点でお試し配信中

新体感ライブが視聴できる端末はiOS 10.0以上、Android 5.0以上のスマホとタブレット、およびWebブラウザと間口が広く、dアカウントを取得すれば誰でも楽しめるキャリアフリーのサービスだ。

映像コンテンツは外出先でモバイル通信ネットワークを使って電車の中でも視聴できるし、ドコモのフリーWi-Fiスポットにつなげば、データ消費量を気にせず楽しめる。自宅で視聴する際にはスマホやタブレットをWi-Fiにつないでストリーミングを受信、さらにテレビへミラーリングして大画面にも映せる。

コンテンツの再生品質はユーザーがアプリの画面から任意で5段階(最高/高/中/低/最低)から選択できる。アプリの画面に表示される鍵マークのアイコンをタップすると切り替えダイアログが表示される仕様だ。詳細はNTTぷららの村山氏が説明してくれた。移動中にモバイル通信ネットワークを使って見る時には、データの消費量が気になるもの。その場合は品質を低めに設定してデータ消費量を抑えることもできるので安心だ。なお音声は個別の設定ができない。映像の最高〜中レベルで高めの音声ビットレート、映像の低〜最低で低めのビットレートに固定されているという。

公演会場、映画館でのライブ上映とも連携を図る

個別課金型の音楽ライブの生配信については、モバイル端末向けとして本格的に稼働しているサービスが他になかったことから、「NTTドコモが是が非でも早く始めたいと考えていた」と山崎氏が振り返る。山崎氏は、国内では若い音楽ファンを中心にフェスなどライブ会場に足を運んで音楽を楽しみたいファンが増えていたことと、その市場ボリュームが明らかに拡大して盛り上がりを見せていたことをその理由として付け加えている。

ただし、映画館のスクリーンなど劇場施設にファンを集めて行う「ライブ上映」のビジネスについては、モバイル視聴よりも先に活況を呈していた。NTTドコモの報道発表に名前を連ねる(株)ライブ・ビューイング・ジャパンは国内で音楽のライブ上映の市場をリードする企業のひとつだ。NTTドコモは今後、ライブ・ビューイング・ジャパンと連携して、劇場施設とモバイル端末の双方で音楽ライブのストリーミングを楽しめる環境を充実させていくことにも注力するという。

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