ニューノーマル時代に向けたサービス展開とは
シャープがマスクにかける思いとは? “亀山モデル”から続く信頼と期待に応える取り組みを聞いた
新型コロナウイルス流行にともなうマスク不足に対し、ことし3月からマスク生産に名乗りをあげたシャープ。4月から開始した一般消費者向け抽選販売も大きな注目を集め、現在も抽選方式が続けられている。
11月にはついにマスク累計出荷枚数が1億枚を突破するなど、国内のマスク供給に貢献し続けているシャープ。その生産/販売にまつわるエピソードや今後の展望について、販売担当の大山貞氏/生産担当の西村英一郎氏のお二人にオンラインでお話を伺った。
―まず、マスクの生産や販売について、最新の状況をお聞かせください
西村氏:生産枚数ですが、12月現在、1日に「ふつうサイズ」を約60万枚、「小さめサイズ」を約10万枚、合わせて約70万枚を生産しています。当初は2台しかなかった生産設備も、今ではふつうサイズ用が7台、小さめサイズ用が2台の9台体制に拡大しました。
生産したマスクはすべて「SHARP COCORO LIFE」ECサイトで一般向けに販売しており、当初行っていた政府への納入は一旦休止しています。政府からも、一般消費者にマスクを行き渡らせて欲しいと言われています。
大山氏:一般の方への「ふつうサイズ」抽選販売はことし4月28日からスタートしましたが、第1回では当選者4万人に対し470万人以上にご応募いただきました。12月2日に行った第32回目の抽選でも1万人近い方に新規応募いただき、応募総数は約913万人となっています。
また、9月からは女性や小学校高学年以上のお子様向けの「小さめサイズ」の販売を開始しました。こちらは初回当選者1万人に対して12万人以上から応募があり、12月2日までの応募総数は23万人を越えています。
―そもそも、テレビや家電、スマートフォン等電子機器を中心に製造していた御社が、どのような経緯でマスク生産を手掛けることになったのでしょうか
大山氏:ことし2月、マスク不足が大きく取り上げられる中で政府から声がかかりました。その大きな理由は、弊社が液晶パネル製造のためのクリーンルームを保有していたことです。
できるだけ早く出荷して欲しいという政府からの要望に応えるため、全社一丸となった “One SHARP” で設備の手配、立ち上げ、材料調達など生産体制を整え、3月24日から生産を開始することができました。
特に苦労したのは材料の調達です。材料が無くては設備も動かせませんので、マスク不足の中、資材部門に材料メーカーの間を走り回って集めてもらいました。
また、マスク生産を発表したところ、設備メーカーの方々から「マスクを作るのであればこういうふうに協力できる」というお声がけをいただき、大変ありがたかったことを記憶しています。
―マスクには液晶パネルも製造できる三重工場(三重県多気郡多気町)で製造されていることなど、御社ならではの特徴が活かされていますが、特にこだわられた点はどこでしょうか
西村氏:3月からなんとか生産を始めたマスクなので、当然のことながら、これまで長らくマスクを生産してきた専門メーカー様を、最初の段階で上回ることができるとは思っていませんでした。そこで、お客様の下に届いたときに安心してもらえるよう、とにかくクリーンな生産環境とフィルター性能に徹底してこだわりました。
生産現場では不織布マスクと防じんマスクを二重に着けた上から、さらにフェイスシールドの着用を義務付けています。その他、手指の消毒、検温、クリーンルームの入退出履歴の管理など、とにかく塵やウイルスを持ち込ませないこと、もし万一のことが起こっても大ごとにならないよう徹底しています。
マスクの性能は、いかに顔にフィットするか、フィルターとしてきちんと機能を果たせるかにかかっています。フィルター性能の指標には、PFE(微粒子のろ過効率)、BFE(細菌のろ過効率)、VFE(ウイルスのろ過効率)といったものがありますが、苦労して集めてもらった材料のお陰もあり、外部機関の試験でいずれの指標でも99%を達成しています。 “トリプル99%” のマスクとして、自信を持っておすすめできる品質だと思います。
―シャープが衛生製品のマスクを手掛けることについてや、実際にマスクを使った方からはどんな反応が寄せられましたか?
大山氏:シャープマスクにご興味を持った方の多くが、弊社で展開していた「亀山工場モデル」の液晶テレビなどを通じ、液晶パネルがホコリなどを極限まで排除したクリーンルームで製造されることを既にご存知でした。そのイメージをマスクの製造に結びつけ、ポジティブに捉えていただけたように思います。
実際に購入された方からは、主にマスクそのものの使いやすさ、呼吸のしやすさについてお褒めの言葉をいただきました。女性向け/小学校高学年以上のお子様向け選択肢を「小さめサイズ」によって増やしたことも評価されています。
その一方、当選したマスクをそろそろ使い切るという方からは、無くなったときすぐに買えるようにして欲しい、定期的に購入したいという要望が届いています。
―それでは、今後のマスク生産/販売はどのような方針で行われるのでしょうか
大山氏:現在のマスクを取り巻く環境は、そもそもマスクの生産が追いつかない、行き渡らないという段階から、欲しいときに手に入れることができるという段階に変わっています。その一方、これからの季節ではPM2.5や花粉症など新型コロナウイルス対策以外での需要が高まり、定期的に、確実にマスクを手に入れたい方が増えてくることが予想されます。そういった状況に合わせ、販売方針を見直す必要があると考えています。
その一環として今月、ひと月に「ふつうサイズ」「小さめサイズ」のマスクをそれぞれ1箱〜10箱ずつまでお届けする「マスク定期便サービス」を開始しましたし、抽選販売もおひとり2箱まで/2箱購入時は送料無料という条件に変更しました。
―最後に、消費者の方々へ伝えたいメッセージがあればお聞かせください
大山氏:新型コロナの動向は今後も常に見なければなりませんが、それとは別にヘルスケアへの関心や健康志向の流れは今後ますます強まっていくと思われます。
そうした一人ひとりが健康を守る “ニューノーマル時代” で少しでも役に立てる製品やサービスを、社内の技術を活用しながらお届けしていきたいと考えています。先日発表した、液晶パネルで培った「モスアイ技術」を活用したフェイスシールドもそのひとつです。今後もいろいろと展開していきますので、ぜひご期待いただきたいと思っています。
西村氏:私達のマスク生産は、社会貢献という意味合いがかなり大きい事業だと捉えています。世の中で求められているもの、生産量をきちんと意識し、ニーズにマッチしたものを作っていきたいというのが生産者としての思いです。
―本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました
11月にはついにマスク累計出荷枚数が1億枚を突破するなど、国内のマスク供給に貢献し続けているシャープ。その生産/販売にまつわるエピソードや今後の展望について、販売担当の大山貞氏/生産担当の西村英一郎氏のお二人にオンラインでお話を伺った。
―まず、マスクの生産や販売について、最新の状況をお聞かせください
西村氏:生産枚数ですが、12月現在、1日に「ふつうサイズ」を約60万枚、「小さめサイズ」を約10万枚、合わせて約70万枚を生産しています。当初は2台しかなかった生産設備も、今ではふつうサイズ用が7台、小さめサイズ用が2台の9台体制に拡大しました。
生産したマスクはすべて「SHARP COCORO LIFE」ECサイトで一般向けに販売しており、当初行っていた政府への納入は一旦休止しています。政府からも、一般消費者にマスクを行き渡らせて欲しいと言われています。
大山氏:一般の方への「ふつうサイズ」抽選販売はことし4月28日からスタートしましたが、第1回では当選者4万人に対し470万人以上にご応募いただきました。12月2日に行った第32回目の抽選でも1万人近い方に新規応募いただき、応募総数は約913万人となっています。
また、9月からは女性や小学校高学年以上のお子様向けの「小さめサイズ」の販売を開始しました。こちらは初回当選者1万人に対して12万人以上から応募があり、12月2日までの応募総数は23万人を越えています。
―そもそも、テレビや家電、スマートフォン等電子機器を中心に製造していた御社が、どのような経緯でマスク生産を手掛けることになったのでしょうか
大山氏:ことし2月、マスク不足が大きく取り上げられる中で政府から声がかかりました。その大きな理由は、弊社が液晶パネル製造のためのクリーンルームを保有していたことです。
できるだけ早く出荷して欲しいという政府からの要望に応えるため、全社一丸となった “One SHARP” で設備の手配、立ち上げ、材料調達など生産体制を整え、3月24日から生産を開始することができました。
特に苦労したのは材料の調達です。材料が無くては設備も動かせませんので、マスク不足の中、資材部門に材料メーカーの間を走り回って集めてもらいました。
また、マスク生産を発表したところ、設備メーカーの方々から「マスクを作るのであればこういうふうに協力できる」というお声がけをいただき、大変ありがたかったことを記憶しています。
―マスクには液晶パネルも製造できる三重工場(三重県多気郡多気町)で製造されていることなど、御社ならではの特徴が活かされていますが、特にこだわられた点はどこでしょうか
西村氏:3月からなんとか生産を始めたマスクなので、当然のことながら、これまで長らくマスクを生産してきた専門メーカー様を、最初の段階で上回ることができるとは思っていませんでした。そこで、お客様の下に届いたときに安心してもらえるよう、とにかくクリーンな生産環境とフィルター性能に徹底してこだわりました。
生産現場では不織布マスクと防じんマスクを二重に着けた上から、さらにフェイスシールドの着用を義務付けています。その他、手指の消毒、検温、クリーンルームの入退出履歴の管理など、とにかく塵やウイルスを持ち込ませないこと、もし万一のことが起こっても大ごとにならないよう徹底しています。
マスクの性能は、いかに顔にフィットするか、フィルターとしてきちんと機能を果たせるかにかかっています。フィルター性能の指標には、PFE(微粒子のろ過効率)、BFE(細菌のろ過効率)、VFE(ウイルスのろ過効率)といったものがありますが、苦労して集めてもらった材料のお陰もあり、外部機関の試験でいずれの指標でも99%を達成しています。 “トリプル99%” のマスクとして、自信を持っておすすめできる品質だと思います。
―シャープが衛生製品のマスクを手掛けることについてや、実際にマスクを使った方からはどんな反応が寄せられましたか?
大山氏:シャープマスクにご興味を持った方の多くが、弊社で展開していた「亀山工場モデル」の液晶テレビなどを通じ、液晶パネルがホコリなどを極限まで排除したクリーンルームで製造されることを既にご存知でした。そのイメージをマスクの製造に結びつけ、ポジティブに捉えていただけたように思います。
実際に購入された方からは、主にマスクそのものの使いやすさ、呼吸のしやすさについてお褒めの言葉をいただきました。女性向け/小学校高学年以上のお子様向け選択肢を「小さめサイズ」によって増やしたことも評価されています。
その一方、当選したマスクをそろそろ使い切るという方からは、無くなったときすぐに買えるようにして欲しい、定期的に購入したいという要望が届いています。
―それでは、今後のマスク生産/販売はどのような方針で行われるのでしょうか
大山氏:現在のマスクを取り巻く環境は、そもそもマスクの生産が追いつかない、行き渡らないという段階から、欲しいときに手に入れることができるという段階に変わっています。その一方、これからの季節ではPM2.5や花粉症など新型コロナウイルス対策以外での需要が高まり、定期的に、確実にマスクを手に入れたい方が増えてくることが予想されます。そういった状況に合わせ、販売方針を見直す必要があると考えています。
その一環として今月、ひと月に「ふつうサイズ」「小さめサイズ」のマスクをそれぞれ1箱〜10箱ずつまでお届けする「マスク定期便サービス」を開始しましたし、抽選販売もおひとり2箱まで/2箱購入時は送料無料という条件に変更しました。
―最後に、消費者の方々へ伝えたいメッセージがあればお聞かせください
大山氏:新型コロナの動向は今後も常に見なければなりませんが、それとは別にヘルスケアへの関心や健康志向の流れは今後ますます強まっていくと思われます。
そうした一人ひとりが健康を守る “ニューノーマル時代” で少しでも役に立てる製品やサービスを、社内の技術を活用しながらお届けしていきたいと考えています。先日発表した、液晶パネルで培った「モスアイ技術」を活用したフェイスシールドもそのひとつです。今後もいろいろと展開していきますので、ぜひご期待いただきたいと思っています。
西村氏:私達のマスク生産は、社会貢献という意味合いがかなり大きい事業だと捉えています。世の中で求められているもの、生産量をきちんと意識し、ニーズにマッチしたものを作っていきたいというのが生産者としての思いです。
―本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました