PRデンマークからCEOが来日
DALI「MENUET」30周年記念インタビュー。コンパクトな筐体に秘められた魅力を振り返る
ハイファイオーディオの入り口に
冒頭に触れた通り、本格的なハイファイスピーカーとして、手頃な価格も人気を集める理由だ。ウォーレ氏も「MENUETでは、比較的手頃な価格で、オーディオファイルのハイエンド体験をもたらすシステムが作れる」と自信を見せる。
そしてMENUETがオーディオのエントリーとしても最適な理由は、価格だけでなく、「シンプルな2ウェイ・スピーカーなので、音は非常にダイレクトで、音楽から感情を伝えるのに非常に適している」ことも大きいとのこと。ウォーレ氏は「小さなスピーカーなので何でもできるわけではないが、音楽的な感情の本質的な部分に焦点を当てることができる。ほとんどの人がそれを聴いて、これ以上は必要ないと言うだろう」と説く。
「このスピーカーは、音楽の内なる価値、音楽のメッセージを非常にうまく表現してくれる。だからこのスピーカーは、多くの人に愛されるのだと思う」(ウォーレ氏)。30年にも渡ってMENUETが愛されてきたのは、こういった音楽の本質的な部分に向き合ってきたからなのかもしれない。
余談だがウォーレ氏に好きな音楽を尋ねてみると、家では主にバッハのようなクラシックを聴くものの、仕事では決して使わず、バリエーションに富んでいるとのこと。60年代のロックも好きで、新しい音楽も取り入れるようにしているという。
そして「良いライブが大好きなんだ」と語る姿からは、音楽が本当に好きな様子が伝わってくる。先ほどMENUETが “音楽的な感情の本質的な部分” を伝えてくれるスピーカーだと書いたが、そういった点はウォーレ氏の音楽に対する姿勢も影響しているのかもしれない。
MENUETのこれから
これからのMENUETの展開についても聞いてみたが、「まだ計画すら始めていない」とのこと。「常に新しいモデルを作り続けている会社がたくさんあることは知っているが、我々としては競争力のある製品であれば、それが価値となり、長い寿命になると信じている」という。
その一方で、「いつか新しい技術を取り入れて、どれが未来の世代に役立つか確かめたい」と話す。これからもMENUETの大切な部分を守りつつ、小さな進化を重ねながら、長く愛されるスピーカーを目指していくのだろう。
最後にオーディオファイルの読者に向けて、メッセージをいただいた。
「常に自分の感覚を信じ、批判的になることだ。自分が何を所有したいのかをどう判断すればいいのか。1分間のデモンストレーションに惹かれたら、一番色気のあるスピーカーに惹かれるだろう。しかしこれは長い目で見れば、堕落につながってしまう。
たとえば新しいテレビを買おうと思って店に行くと、10人中9人が彩度の高いテレビを買うだろう。最も彩度の高いテレビがあなたの目を満たし、他のテレビは青白く見えるから。しかし正しいのは、もう一つのテレビかもしれない。
したがって私は、批判的であることをおすすめする。様々な音楽を聴くとき、音楽を変えたら、これが同じスピーカーなのか、と感じることがある。音楽が音を決めていることが分かるから、理想的なスピーカーが消えてしまう。少し矛盾しているが、それがオーディオの醍醐味だ」
今回ウォーレ氏の話から感じたのは、音楽に対する熱意と、オーディオに対する真摯な姿勢だ。そんな人達が関わっているのだから、DALIのものづくりも説得力を持ち、MENUETも人々に愛され続ける製品になったのだろう。
前述したように、最新モデルの実勢価格も下がってきているようなので、この機会にあらためてチェックしてみてはいかがだろうか。連綿と受け継がれてきたMENUETの音が、あなたに新しい体験をもたらしてくれることだろう。
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)