「天上のオルガン」384kHz/32bitマスターを聴く − 深田氏が語る録音秘話もレポート
3月7日(金)から9日(日)まで、秋葉原のダイナミックオーディオ5555で「スプリングフェスティバル2014」が開催され、同店に展示された製品を使って様々な試聴イベントが行われた。8日(土)には、好評配信中のハイレゾ音源『天上のオルガン』384kHz/32bitマスターを聴くイベントも開催。エンジニアの深田 晃氏も登場し、録音秘話などを交えつつ、貴重な音源を試聴することができた。
試聴はラックスマンの新フラグシップSACDプレーヤー「D-08u」をUSB-DACとして使用して行われた。スピーカーはTANNOYの「CANTERBURY GR」。
■エンジニア深田 晃氏が語る「天上のオルガン」録音秘話
プロの制作現場では2000年頃からデジタル録音(フォーマットはWAV)が行われるようになり、PCの性能が向上していくにつれ、ハイレゾでの制作も増えてきたのだという。「現在はCDやSACD、DVD Audioに代わるメディアとして“ハイレゾ”が注目されている」(深田氏)。
本作のコンセプトについて、深田氏は「パイプオルガンは、建物と一体になっている楽器。ここがまず面白い。今回の録音は、パイプオルガンそのものの音というよりは、建物と一体化しているオルガンが鳴っている、その場の音を録ったらどうなるのかなと考えたんです」と話す。
「天上のオルガン」は、収容人数1,997人の大ホールである「ミューザ川崎」と、それよりもずっと小さい「聖グレゴリオの家」(東久留米)の2会場で録音を実施。オルガンも、クーン社パイプオルガンとガルニエ社ポジティフオルガン(ミューザ川崎)、アーレント製パイプオルガン、ポジティフオルガン(聖グレゴリオの家)という4種類を用意した。異なる空間に響く、異なる楽器の音を楽しめるのも特徴のひとつとなっている。
録音に使われたマイクは計8本で、5.1chのサラウンド収録。ミューザ川崎のパイプオルガンは少し高めの位置にあるので、天吊りマイクも使用した。その際、ケーブル長が最短となるよう、ケーブルを床に垂らすかたちでセッティングしたという。またポジティフオルガン録音の際は、マイク全体を下げて楽器に近づけたとのこと。
今回はマイクの出力を分岐して、Pyramix(384kHz/32bit)とSequoia(192kHz/24bit)の2つで録音を行った。
「384kHz/32bit録音は、今あるシステムとして最高レベルのもの。ここからDSDにも変換できます。DSDは編集ができないのが難点なので、DXD(PCM 352.8 kHz/32bit)で録音・編集してDSDに変換する例はとても多いのです。また、1bit方式のDSDは高周波数域帯域にノイズが発生するのが特徴ですが、『天上のオルガン』で採用した384kHz/32bit録音の場合は100kHzまで全くフラットです」と説明する深田氏。PCMとDSDの違いについては「どちらがいいという話ではなく、それぞれニュアンスが違う」と語っていた。
オルガン録音の課題は、楽器の音色の幅が広く、鋭い音と柔らかい音の差が大きいのでバランスを取るのがとても難しいことだという。また、ストップの操作音などのノイズも入りやすい。そして聖グレゴリオ教会は空間の左端にパイプオルガンが設置されているので、通常の位置にサラウンドマイクを置けず、空間全体のいちばん響きのいいところに設置したのだという。
深田氏の解説を挟みつつ、「天上のオルガン」に収められた様々な曲を試聴。参加者はその音色の違いに耳を傾けていた。
◇ ◇ ◇
また、会場では384kHz/32bit音源を収めたDVD-Rも特別販売された。こちらはショップ等では普段取り扱われていないが、楽天のナクソス通販ページで購入することができる。
http://item.rakuten.co.jp/naxos/c/0000000941/
イベント終了後は、一斉に販売コーナーに向かいディスクを手に取る来場者の姿が多数見受けられた。
現在「天上のオルガン」は192kHz/24bit FLAC/WAV、96kHz/24bit FLAV/WAV、DSD(5.6MHz)、5.1chサラウンドなど様々なフォーマットで配信が行われている。試聴に使われたラックスマン「D-08u」はもちろん、CHORDのポタアン「Hugo」やTADのディスクプレーヤー「TAD-D1000」にD/Aコンバーター「TAD-DA1000」、Astell&Kernのポータブルハイレゾプレーヤー「AK240」など、32bit音源対応機器も増えてきている。今後、384kHz/32bit音源の配信スタートにも期待が高まるところだ。
試聴はラックスマンの新フラグシップSACDプレーヤー「D-08u」をUSB-DACとして使用して行われた。スピーカーはTANNOYの「CANTERBURY GR」。
■エンジニア深田 晃氏が語る「天上のオルガン」録音秘話
プロの制作現場では2000年頃からデジタル録音(フォーマットはWAV)が行われるようになり、PCの性能が向上していくにつれ、ハイレゾでの制作も増えてきたのだという。「現在はCDやSACD、DVD Audioに代わるメディアとして“ハイレゾ”が注目されている」(深田氏)。
本作のコンセプトについて、深田氏は「パイプオルガンは、建物と一体になっている楽器。ここがまず面白い。今回の録音は、パイプオルガンそのものの音というよりは、建物と一体化しているオルガンが鳴っている、その場の音を録ったらどうなるのかなと考えたんです」と話す。
「天上のオルガン」は、収容人数1,997人の大ホールである「ミューザ川崎」と、それよりもずっと小さい「聖グレゴリオの家」(東久留米)の2会場で録音を実施。オルガンも、クーン社パイプオルガンとガルニエ社ポジティフオルガン(ミューザ川崎)、アーレント製パイプオルガン、ポジティフオルガン(聖グレゴリオの家)という4種類を用意した。異なる空間に響く、異なる楽器の音を楽しめるのも特徴のひとつとなっている。
録音に使われたマイクは計8本で、5.1chのサラウンド収録。ミューザ川崎のパイプオルガンは少し高めの位置にあるので、天吊りマイクも使用した。その際、ケーブル長が最短となるよう、ケーブルを床に垂らすかたちでセッティングしたという。またポジティフオルガン録音の際は、マイク全体を下げて楽器に近づけたとのこと。
今回はマイクの出力を分岐して、Pyramix(384kHz/32bit)とSequoia(192kHz/24bit)の2つで録音を行った。
「384kHz/32bit録音は、今あるシステムとして最高レベルのもの。ここからDSDにも変換できます。DSDは編集ができないのが難点なので、DXD(PCM 352.8 kHz/32bit)で録音・編集してDSDに変換する例はとても多いのです。また、1bit方式のDSDは高周波数域帯域にノイズが発生するのが特徴ですが、『天上のオルガン』で採用した384kHz/32bit録音の場合は100kHzまで全くフラットです」と説明する深田氏。PCMとDSDの違いについては「どちらがいいという話ではなく、それぞれニュアンスが違う」と語っていた。
オルガン録音の課題は、楽器の音色の幅が広く、鋭い音と柔らかい音の差が大きいのでバランスを取るのがとても難しいことだという。また、ストップの操作音などのノイズも入りやすい。そして聖グレゴリオ教会は空間の左端にパイプオルガンが設置されているので、通常の位置にサラウンドマイクを置けず、空間全体のいちばん響きのいいところに設置したのだという。
深田氏の解説を挟みつつ、「天上のオルガン」に収められた様々な曲を試聴。参加者はその音色の違いに耳を傾けていた。
また、会場では384kHz/32bit音源を収めたDVD-Rも特別販売された。こちらはショップ等では普段取り扱われていないが、楽天のナクソス通販ページで購入することができる。
http://item.rakuten.co.jp/naxos/c/0000000941/
イベント終了後は、一斉に販売コーナーに向かいディスクを手に取る来場者の姿が多数見受けられた。
現在「天上のオルガン」は192kHz/24bit FLAC/WAV、96kHz/24bit FLAV/WAV、DSD(5.6MHz)、5.1chサラウンドなど様々なフォーマットで配信が行われている。試聴に使われたラックスマン「D-08u」はもちろん、CHORDのポタアン「Hugo」やTADのディスクプレーヤー「TAD-D1000」にD/Aコンバーター「TAD-DA1000」、Astell&Kernのポータブルハイレゾプレーヤー「AK240」など、32bit音源対応機器も増えてきている。今後、384kHz/32bit音源の配信スタートにも期待が高まるところだ。
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