「ハイレゾがバクチクする。」2種類のハイレゾ音源リリース
BUCK-TICKの'90年ヒット作『惡の華』ハイレゾ版をビクタースタジオで聴いた
(株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントは、同社が運営するGettingBetterレーベルより、ロックバンド・BUCK-TICKのヒット作『惡の華(悪の華)』のハイレゾ配信を2月1日に開始する。配信サイトは「VICTOR STUDIO HD Music.」。
『悪の華』は、1990年2月1日にリリースされたBUCK-TICKの4thアルバム。当時先行シングルであったアルバム表題曲「悪の華」をはじめとする全10曲を収録しており、同バンドの代表作の1つに位置づけられている1枚だ。2015年は本作の発売から25周年を迎える年にあたり、これを記念してハイレゾ版の配信が決定した。当時と異なる点として、タイトルの「悪」の字が「惡」に変更されている。
なお詳細は後述するが、今回配信される『惡の華』ハイレゾ音源は2種類ある。1つは1990年収録のアナログマスター音源をマスタリングしなおしてハイレゾ化した「1990年版」。もう1つは、当時の24chマルチテープから新たにミックスを行いビクターのK2HD技術を使ってアップコンバート/補正した音源を96/24マスタリングした「2015年リミックス版」。いずれもファイル形式は96kHz/24bitのWAV/FLACで、アルバム販売価格は3,500円(単曲:540円)。なお、この「2015年リミックス版」音源を1万人限定で無料配信する特別キャンペーンも実施する。
また、今回のハイレゾ配信開始と同時に、同じく25周年を記念した完全生産限定メモリアルボックス『惡の華-Completeworks-』がリリースされることも決定している。こちらはBUCK-TICKメンバー監修のもと、アルバムのオリジナルマスターテープからエンジニアの比留間整氏が新たにリミックスした高音質プラチナSHM仕様盤や、同じ比留間氏がミックスを手がけたシングル版「惡の華」のプラチナSHM盤を同梱。さらに、オリジナル音源から制作されたアナログLPも収めている。また、アルバム全曲PVの入ったVHS作品を新しく収録したBlu-ray&DVDも同梱する。
これら『惡の華』25周年記念タイトルのリリースを記念して本日、2種類のハイレゾ音源とアナログLP盤の試聴会が開催された。場所は、1990年のオリジナル版『悪の華』がレコーディングされた「ビクタースタジオ301st」。
■2種類のハイレゾ音源の違いとは?
試聴会では、本作の制作に携わったビクターエンタテインメント 制作グループ ゼネラルマネージャー プロデューサー 横田直樹氏による解説を交えながら、1990年リリースのオリジナル商品版CDとハイレゾ配信用音源の比較試聴や、上述のメモリアルボックスに同梱されるアナログLP盤再生などが、ビクタースタジオの業務用機材を使用した贅沢な環境で行われた。
試聴会の冒頭で横田氏は「『悪の華』は、いま私たちがいるビクター301スタジオでレコーディングされました。今日は、BUCK-TICKメンバーがこの場所で25年前に聴いていた音を楽しんでいって下さい」と挨拶した。
以下に、今回配信開始する2種類のハイレゾ音源について、横田氏の解説をもとにご紹介する。
1つめの「1990年版」は、1990年収録の『悪の華』アナログマスターテープを、JVCケンウッド・クリエイティブメディア マスタリングセンターのマスタリングエンジニア 小鐵徹氏がリマスタリングし、96kHz/24bitフォーマットで記録したもの。なお、このハイレゾ用データを元にして、限定メモリアルボックス収録のアナログLP盤が制作された。マスタリングを担当した小鐵氏はビクターの“アナログの匠”と呼ばれている人物で、ハイレゾ版制作の際にはアナログ化も想定した上でリマスタリングが行われたという(※記事初出時、小鐵徹氏の所属をビクタースタジオと記載しておりましたが、JVCケンウッド・クリエイティブメディアに修正いたしました)。
2つめの「2015年リミックス版」は、上述の限定メモリアルボックスに収録されるプラチナSHM盤用のリミックス音源データをマスタリングしたもの。これは、当時24chマルチテープに録音された各パートのデータを96kHz/24bitにアーカイブしたデータから、各楽曲の特性にあわせてエンジニアの比留間整氏がトラックダウンしなおし、それをビクタースタジオのK2HDプロセッシングによって176.4kHz/24bitにアップコンバートしたものを使っている。これをHRカッティング技術を用いてプラチナSHM盤に収録するわけだが、同じデータをハイレゾ配信用に96kHz/24bitでマスタリングしたのが「2015年リミックス版」だ。なお、96kHz/24bitマスタリングはビクタースタジオの内田孝弘氏が担当している。
試聴会では、2種類のハイレゾ音源を再生した。楽曲は「惡の華」「NATIONAL MEDIA BOYS」「LOVE ME」の3曲。ハイレゾ版の再生を終えたあと、横田氏は「ハイレゾ音源では、ボーカルの瑞々しさや、空気感の深みなどをより感じ取れたのではないしょうか。この作品が生まれた部屋で、現在考えられる最高の音質と最高の機材で聴いて頂けたと思います」と来場者に語りかけた。
記者が聴いた感じでも、通常のCD音源と「1990年版」ハイレゾ音源を比較して、ハイレゾ版では全体に低音の充実度やドラムの精細感が増し、横田氏の言葉通り櫻井氏のボーカルに一層瑞々しさが感じられたことが印象的だった。また、同じデータをもとに制作されたというアナログLP盤の再生時には、それまで記者が漠然とアナログ再生に抱いていた“優しい音”というイメージを覆す解像度の高い音を楽しめたことに素直に感動した。
なお今回は、スタジオ内に設置されたJVCのコンシューマー向け“ウッドコーンオーディオシステム”での再生も行われた。横田氏によれば、ビクタースタジオではどの部屋にもウッドコーンオーディオを設置しており、制作時には必ず「民生機だとどのように聴こえるか」を確認しているのだという。今回は、2015年リミックス版の「惡の華」をウッドコーンで再生。横田氏は「スタジオで本作のリファレンスに使用したのがウッドコーンオーディオですから、ご自宅で楽しむときにも同じウッドコーンオーディオをお薦めします」とアピールした。
(編集部:杉浦みな子)
『悪の華』は、1990年2月1日にリリースされたBUCK-TICKの4thアルバム。当時先行シングルであったアルバム表題曲「悪の華」をはじめとする全10曲を収録しており、同バンドの代表作の1つに位置づけられている1枚だ。2015年は本作の発売から25周年を迎える年にあたり、これを記念してハイレゾ版の配信が決定した。当時と異なる点として、タイトルの「悪」の字が「惡」に変更されている。
なお詳細は後述するが、今回配信される『惡の華』ハイレゾ音源は2種類ある。1つは1990年収録のアナログマスター音源をマスタリングしなおしてハイレゾ化した「1990年版」。もう1つは、当時の24chマルチテープから新たにミックスを行いビクターのK2HD技術を使ってアップコンバート/補正した音源を96/24マスタリングした「2015年リミックス版」。いずれもファイル形式は96kHz/24bitのWAV/FLACで、アルバム販売価格は3,500円(単曲:540円)。なお、この「2015年リミックス版」音源を1万人限定で無料配信する特別キャンペーンも実施する。
また、今回のハイレゾ配信開始と同時に、同じく25周年を記念した完全生産限定メモリアルボックス『惡の華-Completeworks-』がリリースされることも決定している。こちらはBUCK-TICKメンバー監修のもと、アルバムのオリジナルマスターテープからエンジニアの比留間整氏が新たにリミックスした高音質プラチナSHM仕様盤や、同じ比留間氏がミックスを手がけたシングル版「惡の華」のプラチナSHM盤を同梱。さらに、オリジナル音源から制作されたアナログLPも収めている。また、アルバム全曲PVの入ったVHS作品を新しく収録したBlu-ray&DVDも同梱する。
これら『惡の華』25周年記念タイトルのリリースを記念して本日、2種類のハイレゾ音源とアナログLP盤の試聴会が開催された。場所は、1990年のオリジナル版『悪の華』がレコーディングされた「ビクタースタジオ301st」。
■2種類のハイレゾ音源の違いとは?
試聴会では、本作の制作に携わったビクターエンタテインメント 制作グループ ゼネラルマネージャー プロデューサー 横田直樹氏による解説を交えながら、1990年リリースのオリジナル商品版CDとハイレゾ配信用音源の比較試聴や、上述のメモリアルボックスに同梱されるアナログLP盤再生などが、ビクタースタジオの業務用機材を使用した贅沢な環境で行われた。
試聴会の冒頭で横田氏は「『悪の華』は、いま私たちがいるビクター301スタジオでレコーディングされました。今日は、BUCK-TICKメンバーがこの場所で25年前に聴いていた音を楽しんでいって下さい」と挨拶した。
以下に、今回配信開始する2種類のハイレゾ音源について、横田氏の解説をもとにご紹介する。
1つめの「1990年版」は、1990年収録の『悪の華』アナログマスターテープを、JVCケンウッド・クリエイティブメディア マスタリングセンターのマスタリングエンジニア 小鐵徹氏がリマスタリングし、96kHz/24bitフォーマットで記録したもの。なお、このハイレゾ用データを元にして、限定メモリアルボックス収録のアナログLP盤が制作された。マスタリングを担当した小鐵氏はビクターの“アナログの匠”と呼ばれている人物で、ハイレゾ版制作の際にはアナログ化も想定した上でリマスタリングが行われたという(※記事初出時、小鐵徹氏の所属をビクタースタジオと記載しておりましたが、JVCケンウッド・クリエイティブメディアに修正いたしました)。
2つめの「2015年リミックス版」は、上述の限定メモリアルボックスに収録されるプラチナSHM盤用のリミックス音源データをマスタリングしたもの。これは、当時24chマルチテープに録音された各パートのデータを96kHz/24bitにアーカイブしたデータから、各楽曲の特性にあわせてエンジニアの比留間整氏がトラックダウンしなおし、それをビクタースタジオのK2HDプロセッシングによって176.4kHz/24bitにアップコンバートしたものを使っている。これをHRカッティング技術を用いてプラチナSHM盤に収録するわけだが、同じデータをハイレゾ配信用に96kHz/24bitでマスタリングしたのが「2015年リミックス版」だ。なお、96kHz/24bitマスタリングはビクタースタジオの内田孝弘氏が担当している。
試聴会では、2種類のハイレゾ音源を再生した。楽曲は「惡の華」「NATIONAL MEDIA BOYS」「LOVE ME」の3曲。ハイレゾ版の再生を終えたあと、横田氏は「ハイレゾ音源では、ボーカルの瑞々しさや、空気感の深みなどをより感じ取れたのではないしょうか。この作品が生まれた部屋で、現在考えられる最高の音質と最高の機材で聴いて頂けたと思います」と来場者に語りかけた。
記者が聴いた感じでも、通常のCD音源と「1990年版」ハイレゾ音源を比較して、ハイレゾ版では全体に低音の充実度やドラムの精細感が増し、横田氏の言葉通り櫻井氏のボーカルに一層瑞々しさが感じられたことが印象的だった。また、同じデータをもとに制作されたというアナログLP盤の再生時には、それまで記者が漠然とアナログ再生に抱いていた“優しい音”というイメージを覆す解像度の高い音を楽しめたことに素直に感動した。
なお今回は、スタジオ内に設置されたJVCのコンシューマー向け“ウッドコーンオーディオシステム”での再生も行われた。横田氏によれば、ビクタースタジオではどの部屋にもウッドコーンオーディオを設置しており、制作時には必ず「民生機だとどのように聴こえるか」を確認しているのだという。今回は、2015年リミックス版の「惡の華」をウッドコーンで再生。横田氏は「スタジオで本作のリファレンスに使用したのがウッドコーンオーディオですから、ご自宅で楽しむときにも同じウッドコーンオーディオをお薦めします」とアピールした。
(編集部:杉浦みな子)