待望の「Aシェル」採用モデルも
<HIGH END>オルトフォン、新カートリッジ「MC Windfeld Ti」「SPU Wood A」披露。その詳細をレポート
Ortofon(オルトフォン)は、現在ドイツ・ミュンヘンで開催中の「HIGH END 2017」会場にて、MCカートリッジの最新モデル「MC Wind feld Ti」と「SPU Wood A」を発表した。それぞれ外観は大きく異なるものの、いずれも過去から現在に至るまでのオルトフォンの伝統に則った上で、同社の最新技術を投入して完成した製品となっている。
■MC Windfeld Ti
「MC Windfeld Ti」は、ハイエンドクラスのカートリッジの新製品となるモデル。日本でも高い評価を獲得したMC Windfeldの後継機にあたり、デザインそのものは従来機を踏襲し、ボディ材にはステンレススチール材を採用。大きく変わったのは振動系で、同社の上位モデルに位置するMC A95と同様のものを搭載しているのが特徴だ。
また、従来機でも採用された完全一体成形となる中央ポールピースは、今回天板の面積を拡大し、さらにダンピング性能を高めることに成功した。特に注目したいのは、この一体成形のポールピースに採用されたチタン。ひとことにチタンと言ってもさまざまな種類があるが、今回MC Windfeld Tiで採用されるのは、そのなかでも特に強度の高いタイプのもの。通常では硬度が高く、加工すら不可能なところを、オルトフォンは同社が誇るSLM技術によってチタンの微粒子を溶接しながら成形することで、一体型部品として成形することに成功した。
これにより、そもそもの物理的な剛性を向上させることになったほか、ダンピング性能のさらなる改善を実現。カートリッジそのものとしての完成度を高めることに成功している。「オルトフォンだからこそこのチタンを採用し、ここまでの加工が実現できた。これはおそらく他社では真似のできない技術」と開発者のLeif Johannsen氏は胸を張る。ちなみに、モデル名末尾の「Ti」は、このオルトフォンだからこそ加工できたチタン素材が由来となっており、このポールピースがMC Windfeld Tiにとって大きな意味を持つことがよく分かる。
また、ヘッドシェルとの接点もこの中央ポールピースが担うことになるが、今回はその面積を左右へ拡大。ただしフラットなデザインを採用するのではなく、3つの接触点を設けることでトーンアームと機械的に完全に一体化することに成功している。上位モデルとなるMC A90からのノウハウを踏襲した構造だが、こうした構造によりアームに装着する際にネジの締め具合でアジマスを細かく調整できるなど、セッティング面での機能性も確保した。
MC Windfeld Tiは内部インピーダンスが7Ωと低いこともポイントで、推奨ロードインピーダンスは10Ω。これは現代のMCプリアンプやステップアップトランスとの組み合わせを想定した数値ということができる。出力電圧は0.2mVと低く抑えられており、周波数レンジは−3dB時で10Hz〜50kHz。カタログスペックだけをみても、現代カートリッジの最先端に位置すると見て良さそうだ。針先に採用されるのは、垂直接触面積に優れているというOrtofon Replicant 100。カッティングスタイラスに近い形状というのも特徴で、特別に磨き上げられた上で、ボロンカンチレバーにマウントされている。
なお、価格はまだ未定なものの、日本円で50万円前後となる見込みだ。
■SPU Wood A
SPU Wood Aは、今回のHIGH END 2017のオルトフォンブースで、もう一つの目玉となったMCカートリッジ。SPUはGシェルとAシェルで音質傾向も異なると一般的に言われているが、今回は久しぶりの登場となるAシェル採用のモデルだ。
外観上の特徴は、そのカラーリング。ブナ材で成形されたシェルを漆で仕上げたことにより、これまでのAシェルにはなかった風合いを持つことも魅力のひとつで、中央にあしらわれたオルトフォンのロゴバッジがより一層プレミアムな雰囲気を漂わせている。またスタイラスカバーも従来からカラーリングを一新しており、現代でなければ手に入らないAシェルモデルとしての価値を高めている。
SPU Wood Aはまだ完成したばかりとのことで、詳細は公開されなかったが、生産そのものは全世界250個限定となる予定だ。価格も未定だが「多くの人にとって身近な存在になるであろう価格」を想定しているとのこと。
昨年はGシェルタイプのSPU #1が、さまざまな意味での「マイ・ファースト・SPU」として日本でも大きな話題を集めた。今年のSPU Wood Aも、世界中のレコード愛好家から注目を集めるMCカートリッジとなることは間違いない。
■MC Windfeld Ti
「MC Windfeld Ti」は、ハイエンドクラスのカートリッジの新製品となるモデル。日本でも高い評価を獲得したMC Windfeldの後継機にあたり、デザインそのものは従来機を踏襲し、ボディ材にはステンレススチール材を採用。大きく変わったのは振動系で、同社の上位モデルに位置するMC A95と同様のものを搭載しているのが特徴だ。
また、従来機でも採用された完全一体成形となる中央ポールピースは、今回天板の面積を拡大し、さらにダンピング性能を高めることに成功した。特に注目したいのは、この一体成形のポールピースに採用されたチタン。ひとことにチタンと言ってもさまざまな種類があるが、今回MC Windfeld Tiで採用されるのは、そのなかでも特に強度の高いタイプのもの。通常では硬度が高く、加工すら不可能なところを、オルトフォンは同社が誇るSLM技術によってチタンの微粒子を溶接しながら成形することで、一体型部品として成形することに成功した。
これにより、そもそもの物理的な剛性を向上させることになったほか、ダンピング性能のさらなる改善を実現。カートリッジそのものとしての完成度を高めることに成功している。「オルトフォンだからこそこのチタンを採用し、ここまでの加工が実現できた。これはおそらく他社では真似のできない技術」と開発者のLeif Johannsen氏は胸を張る。ちなみに、モデル名末尾の「Ti」は、このオルトフォンだからこそ加工できたチタン素材が由来となっており、このポールピースがMC Windfeld Tiにとって大きな意味を持つことがよく分かる。
また、ヘッドシェルとの接点もこの中央ポールピースが担うことになるが、今回はその面積を左右へ拡大。ただしフラットなデザインを採用するのではなく、3つの接触点を設けることでトーンアームと機械的に完全に一体化することに成功している。上位モデルとなるMC A90からのノウハウを踏襲した構造だが、こうした構造によりアームに装着する際にネジの締め具合でアジマスを細かく調整できるなど、セッティング面での機能性も確保した。
MC Windfeld Tiは内部インピーダンスが7Ωと低いこともポイントで、推奨ロードインピーダンスは10Ω。これは現代のMCプリアンプやステップアップトランスとの組み合わせを想定した数値ということができる。出力電圧は0.2mVと低く抑えられており、周波数レンジは−3dB時で10Hz〜50kHz。カタログスペックだけをみても、現代カートリッジの最先端に位置すると見て良さそうだ。針先に採用されるのは、垂直接触面積に優れているというOrtofon Replicant 100。カッティングスタイラスに近い形状というのも特徴で、特別に磨き上げられた上で、ボロンカンチレバーにマウントされている。
なお、価格はまだ未定なものの、日本円で50万円前後となる見込みだ。
■SPU Wood A
SPU Wood Aは、今回のHIGH END 2017のオルトフォンブースで、もう一つの目玉となったMCカートリッジ。SPUはGシェルとAシェルで音質傾向も異なると一般的に言われているが、今回は久しぶりの登場となるAシェル採用のモデルだ。
外観上の特徴は、そのカラーリング。ブナ材で成形されたシェルを漆で仕上げたことにより、これまでのAシェルにはなかった風合いを持つことも魅力のひとつで、中央にあしらわれたオルトフォンのロゴバッジがより一層プレミアムな雰囲気を漂わせている。またスタイラスカバーも従来からカラーリングを一新しており、現代でなければ手に入らないAシェルモデルとしての価値を高めている。
SPU Wood Aはまだ完成したばかりとのことで、詳細は公開されなかったが、生産そのものは全世界250個限定となる予定だ。価格も未定だが「多くの人にとって身近な存在になるであろう価格」を想定しているとのこと。
昨年はGシェルタイプのSPU #1が、さまざまな意味での「マイ・ファースト・SPU」として日本でも大きな話題を集めた。今年のSPU Wood Aも、世界中のレコード愛好家から注目を集めるMCカートリッジとなることは間違いない。
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