プレス向け内覧会の模様をレポート

ラックスマンのレコードプレーヤー「PD-151」は、専用モーター開発で上級機に並ぶ性能を獲得した

公開日 2018/10/15 20:13 編集部:川田菜月
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ラックスマンは本日、先週末に発表されたベルトドライブ方式のアナログプレーヤー「PD-151」(関連ニュース)の製品内覧会を開催した。

「PD-151」

PD-151は既報の通り、定評ある上位モデル「PD-171A」(495,000円/税抜)の基本構成を踏襲しつつ、価格を抑えたスタンダードモデルとして開発。価格は298,000円(税抜)で、11月20日頃の発売を予定している。

同社は1975年発売のダイレクトドライブ式のアームレスモデル「PD-121」をはじめとし、アナログ全盛時代から製品を展開。ラインナップは一旦途絶えたが、2011年に約28年ぶりとなる本格的なベルトドライブ方式アナログレコードプレーヤー「PD-171」を発売。当時は昨今のアナログブーム再燃が本格化する前であったが、高い評価を得た。

「PD-171A」

その後、アームレスモデルの要望から2013年には「PD-171AL」を発売するが、本機はアームレス化によるサイズ変更に合わせて、センタースピンドルの精度やモータートルクの向上も実現して実質的なグレードアップ・モデルとなった。これを受けて2014年には、PD-171ALにアームを搭載した「PD-171A」を発売。2機種が現行ラインナップとして展開していた。

なお、PD-171Aを発表した時から、もう少し価格を抑えた次期スタンダートモデルの開発を検討していたとのこと。しかし物量を必要とするアナログプレーヤーにおいて性能を保ったままのコストダウンは非常に難しく、その開発は難航したという。しかし、後述するようにコストを抑えつつ従来と同等クラスの性能を持つモーターの開発が実現したことから、今回のPD-151が実現できたとしており、同社は「PD-171Aに勝るとも劣らないモデルとして、基本性能を徹底的に磨きあげた」とアピールする。

PD-151では、本機のために開発されたオリジナル高精度ブラシレスDCモーターを搭載。このモーターは高信頼低速モーターをベースに、ベアリングや回転精度のコントロール機構、コイルの巻き方までを改良して約2年をかけて開発したものとなる。

約2年かけて開発したというオリジナル高精度ブラシレスDCモーターを搭載

左がPD-151の、右がPD-171Aのモーターだ

同社によればワウフラッターはPD-171Aのモーターと同等以上の性能を誇ること。小型化も実現したが、これはモーター周辺回路のコストダウンにも寄与しているという。

PD-171Aのモーターでは大型モーターをドライブするためにD/Aコンバーターを使って位相の異なるサイン波を生成、これをパワーアンプにいれてモーターを駆動とする方式を採っていた。これに対してPD-151のモーターでは、PID制御方式を採用している。PID方式は、船のスクリューや方向舵などを制御するのに用いられる技術であり、この方式により、立ち上がり・下がりがなだらかで、正確かつ静かなモーター制御を可能にしたとのこと。

またベアリング、コイルの巻き数など様々改良を施しており、トルクを向上させたことで78回転にも対応。各回転数独立調整機能付きの3段階回転数切替(33 1/3、45、78回転)も行える。

スピンドル機構については、まずPD-171Aと同じφ16mmの高硬度高精度ステンレス製センタースピンドルを採用(軸受けはPD-171Aとは異なる)。ボールベアリングを受けるスラスト軸受けにはPEEK素材を用いているが、これは耐熱性/機械的強度/耐薬品性などに優れるという熱可塑性プラスチックで、同社の検証において約1,000時間回転させても20μほどしか変形しなかったという。

左がPD-151の、右がPD-171Aのスピンドル機構

φ16mmの高硬度高精度ステンレス製センタースピンドル(左側がPD-151に搭載したもの、右側がPD-171Aに搭載したもの)

ターンテーブル部は、アルミ削りだし板のトッププレートを実質的なメインシャーシとして、主要部品を吊り下げて組み付けるアンダースラング構造を採用。高剛性と制振性を実現するとしている。PD-171Aでは15mm厚/5.3kgだったところ、PD-151では10mm厚/4.0kgとなっている。振動源となるモーターとトランスは制振ゴムでフローティングしている。

アルミ削りだし板のトッププレートをメインシャーシにした、アンダースラング構造を採用

表面はダイヤモンドカット仕上げとなっており、外観の美しさも追求したとのこと。全体サイズは初代PD-171と同様ながら、トップパネル上はアームとモーター、ターンテーブルのみという装飾を排したシンプルなデザインで、機能美を追求したという。脚部には大口径インシュレーターを搭載、新開発の制振ゴムを採用しており高さ調整(最大8mm)も可能。

トーンアームにはJELCO製のユニバーサル型スタティックバランスS字トーンアーム「SA-250」を搭載。シンプルな操作感と高いクオリティに定評があるモデルで、ラックスマン仕様にシルバーカラーを換装している。なお、ダストカバーは別売(価格50,000円/税抜)。カムサポート式ヒンジを装備した4mm厚アクリル製のものを用意する。

ラックスマン仕様にシルバーカラーを換装したJELCO製トーンアームを搭載

トーンアームの適合カートリッジ自重は4〜12g(付属マグネシウム製ヘッドシェル自重13g)、実効長・オーバーハングは229mm(有効214mm)・15mm、トラッキングエラーは+1.9°〜-1.1°。消費電力は5W。外形寸法は465W×133H(ターンテーブル上面まで)H×393Dmm、質量は15.7kg。

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